出来高とは
出来高とは「売買高」とも呼ばれ、一定期間に売買が成立した取引量を示す指標です。
この「一定期間」は、特に指定がなければ1日の取引を指すことが多いですが、用途によって1週間や1ヵ月の取引の場合もあります。株価チャートで「週足」や「月足」、「年足」を表示させた場合、出来高の棒グラフ1本は、それぞれ「週間出来高」「月間出来高」「年間出来高」を示します。
出来高は、銘柄ごとに集計されています。さらに、上場銘柄の出来高を合計すると市場全体の出来高となります。
出来高は、取引参加者の関心の強さや売買の活発さを読み取る手がかりとなります。価格の上下と併せて出来高を見ることで、相場の勢いや持続性を立体的に捉えることができます。出来高は単なる売買の量ではなく、トレンドの信頼性や転換点を考える際の補助的な指標としても活用されています。
<出来高は、株価チャートの下部に表示されることが多い>

※(出所)三菱UFJ eスマート証券「EVERチャート」より一部筆者が加工
上場株式の「出来高」は活気のバロメーター
上場株式における「出来高」は、証券取引所で実際に売買が成立した株数をカウントしていきます。例えば100株の株式を買った投資家と売った投資家の間で取引が成立すると、100株の出来高です。出来高は売買注文が成立するたびに累積されます。
出来高が多いほど取引参加者が多いことを示し、売買の活発さが確認できます。市場のエネルギーといってもよいでしょう。単に取引の量を示すだけでなく、「どれだけの投資家に支持されて動いたか」を見る指標でもあります。
株価チャート画面に出来高チャートも表示されていると、株価がどの程度の売買を伴って動いたのかを読み取ることができます。株価の上下動という結果に併せて、出来高からその株式に対する人気や注目度を把握できます。
FXでは「正確な出来高」を把握することは難しい
出来高は株式でよく参照されますが、例えばFX(外国為替証拠金取引)でも出来高の概念はあります。ただしFXでは、上場株式と異なり、市場全体の出来高を示すのは容易ではありません。FXには取引所での取引も存在しますが、多くのFXは取引所を介さずに業者と直接取引を行うため、市場全体の出来高を正確に把握することが難しいのです。
そのため、FXでは上場株式ほど投資判断の際に出来高を重視しない傾向にあります。とはいえ、トレンドの把握や相場の勢いを判断する材料であることに変わりはありません。FXの出来高も上場株式と同様に、急増すれば取引が活発化したことを示します。また、取引量が多いほど安定した価格変動になります。取引量が多ければ流動性は高く、売買注文が成立しやすくなります。
これらの状況を把握するためにも、出来高は重要な情報です。FX市場全体の出来高を把握するのは困難だとしても、FX業者ごとの取引量は集計可能です。
FX業者が表示するチャート内の「出来高」は、多くの場合、そのFX業者内で成立した取引の売買数量を示しています。他社の取引を含まず、市場全体でもありません。
また、「出来高」に近い概念として「ティック数」や「ティックボリューム」があります。「ティック数」は一定期間にレートが更新された回数です。一方、「ティックボリューム」はティック数を疑似的な出来高として扱った概念で、取引の活発さを示す目安として用いられています。
出来高を使うメリット・デメリット
出来高を投資判断に使うメリットは、相場の勢いを把握できる点です。出来高は、単に取引量が多いか少ないかを示したデータではなく、トレンドの転換点や相場の強弱を示唆してくれます。売買のタイミングは、株価の動きだけを見ているより、出来高と併せて見た方が判断しやすくなります。
デメリットとしては、短期的には指標としての方向感が見当たらないことも多く、単独での売買判断には向かないことです。材料や相場環境に左右されがちな点もデメリットといえます。
出来高と株価の関係から売買のタイミングを見抜く方法
出来高と株価の関係から、相場の状況は大きく分けて4つのパターンに整理できます。
① 出来高が増加し、株価が上昇している局面
上昇する価格帯で多くの売買が成立しており、上昇トレンドが市場参加者に支持されている状態と考えられます。買い手の関心が高く、株価の上昇が出来高によって裏付けられている点が特徴です。
② 出来高が増加し、株価が下落している局面
売買が活発な中で価格が下落しており、売り圧力が強い状況を示します。保有株を売却する動きが優勢で、下落局面での取引が増えている可能性があります。
③ 出来高が減少し、株価が上昇している局面
株価は上昇しているものの、売買は活発ではありません。限られた取引の中で株価が押し上げられている状態で、上昇の勢いに欠ける局面と捉えられます。トレンドの持続性については慎重に確認する必要があります。
④ 出来高が減少し、株価が下落している局面
売買が低調なまま株価が下落しており、市場全体の関心が低下している状態と考えられます。積極的な売買が行われておらず、方向感を欠いた相場になりやすい点が特徴です。
天井と大底に見られる出来高の特徴
出来高は、事前に相場の天井や大底を正確に予測する指標ではありませんが、後から振り返ってみると特徴的な形を示していた、ということがあります。特に注目されやすいのが、高値圏や底値圏で出来高が急増したケースです。
① 高値圏で出来高が急増する局面:天井のサイン
株価が高水準にある中で売買が活発化する背景には、利益確定を目的とした売りと、上昇の継続を期待した新規の買いが交錯している状況が考えられます。このような局面では、出来高は増加しているものの、その後、株価の上昇が続かないというケースも少なくありません。
<天井のサイン>

※(出所)三菱UFJ eスマート証券「EVERチャート」より一部筆者が加工
② 底値圏で出来高が急増する局面:大底のサイン
下落が続く中で投げ売りが出る一方、割安だと判断した投資家による買いが入り、売買が活発化して出来高が増加する状況です。売りたい投資家が売り切ってしまえば、その後の株価は下げ止まったり反発に転じたりするケースも見られ、振り返ってみると大底を打ったことが確認できます。
<大底のサイン>

※(出所)三菱UFJ eスマート証券「EVERチャート」より一部筆者が加工
出来高を用いて取引する際の注意点
このように、出来高は相場のトレンドや転換点を示唆する助けにはなりますが、万能ではありません。材料や決算、相場のムードなどとセットで見て、あくまで補助指標として活用する位置づけが無難です。
出来高の急増は、その銘柄に対して注目が集まった証しでもありますが、投資判断に使うには、増加した理由が重要です。出来高は、好業績などのポジティブなニュースでも増えますが、業績悪化や不祥事などのネガティブな理由でも増えるからです。
また、何株以上の取引があれば「出来高が多い」といえるのか、といった基準があるわけではありません。銘柄ごとに発行済株式数や流通株式数が異なるうえ、銘柄によって通常の取引量が異なるからです。一般に、通常の取引ペースから見て、明らかに取引量が増えたというような局面が「出来高が増えた」といわれます。
まとめ
出来高は、一定期間にどれだけの売買が行われたかを示す指標であり、株価の動きの背景を読み取るための重要な手がかりです。株価の上下という結果だけでなく、その値動きがどの程度の売買を伴っていたのかを確認することで、相場の勢いやトレンドの信頼性をより立体的に捉えられます。
もっとも、出来高は単独で売買判断を行うための指標ではありません。出来高の増減が何を意味しているのかを、株価の推移や相場環境、材料の有無などと併せて考える姿勢が重要です。あくまで補助的な指標として活用し、全体像を確認する視点を持つことで、より納得感のある投資判断につながるでしょう。





