利上げとは?わたしたちの生活・株価への影響をわかりやすく解説 利上げとは?わたしたちの生活・株価への影響をわかりやすく解説

利上げとは?わたしたちの生活・株価への影響をわかりやすく解説

執筆者:カブヨム編集部

利上げは中央銀行の金融政策のひとつとして取り上げられますが、「利上げって何?」と思っている方も多いのではないでしょうか。最近では、日本でも2016年に始まったマイナス金利政策を含む超低金利からの転換が注目され、金利や物価への関心が増しています。実際に、利上げが行われると経済や物価、さらには私たちの生活にも影響があります。この記事では、利上げの基本的な仕組みと、利上げが私たちの生活や株価にどのような影響を及ぼすのかを分かりやすく解説します。

利上げとは?

「利上げ」とは、中央銀行が政策金利を引き上げることを指します。
わかりやすく言えば、お金を借りる際の金利(=利息)が高くなることを意味します。
例えば、日本であれば日本銀行(日銀)、アメリカであればFRB(連邦準備制度理事会)といった中央銀行が、「このままではインフレ(物価上昇)が進みすぎる」と判断した場合、利上げを行うことで消費や投資を抑え、経済全体のバランスを取ります。
逆に、景気が低迷しているときには、金利を引き下げてお金の流れを活発にし、経済を刺激するといった施策を取ります。

イメージ

※画像は筆者が作成

参考:日本銀行「日本銀行について」

利上げによる影響は?

利上げは経済全体にさまざまな波及効果をもたらします。ここでは主な影響をいくつか確認していきましょう。

物価上昇が鈍化やすい

利上げの主要な目的のひとつは、インフレを抑えることです。金利が上がると、企業や個人が資金を借りるコストも高くなるため、支出や投資を控える傾向が強まります。その結果、経済全体の需要が抑えられ、モノやサービスの価格が過剰に上昇するのを防ぐ効果が期待されます。

株価が下がりやすい

金利の上昇は、企業の資金調達コストを高め、利益の圧迫や設備投資の抑制につながる可能性があります。この結果、企業の成長性への期待が後退し、業績見通しにも不透明感が広がることがあります。また、市場全体では、株式よりも利回りが得やすい債券や預金などに資金が流れやすくなり、株価の下押し要因とされることが多くなります。

為替が円高に振れやすい

他国と比較して日本の金利が相対的に上昇すると、日本円の利回りの魅力が高まり、投資先として円を選ぶ動きが強まる傾向があります。この結果、外国為替市場では円を買う動きが活発になり、円の需要が高まることで円高が進行しやすくなると考えられます。
ただし、為替相場は金利差だけでなく、経済指標、中央銀行の政策方針など複数の要因で変動するため、一概に「金利が上がれば円高」とは言い切れない点には注意が必要です。

貯蓄が促進されやすい

金利が上昇すると、銀行の預金に対して支払われる利息も増えるため、預金のメリットが高まり、自然と貯蓄志向が強くなる傾向があります。つまり、金利の上昇は貯蓄を促す要因にもなります。
特にリスクを抑えて資産を守りたいと考える人にとって、高金利の環境は魅力的です。

住宅ローンなどの利息負担が増えやすい

住宅ローンなど変動金利型の借り入れを利用している方は、金利の上昇に応じて返済額が増加する可能性があります。利上げによって借入金利が上がると、毎月の支払いが以前よりも大きくなり、家計にとって大きな負担となることがあるため注意が必要です。
特に、比較的ローン残高が多い家庭や返済期間が長い場合、小さな金利の変動でも支払総額に大きな影響を与えることがあります。そのため、将来の金利上昇リスクを想定し、返済計画を見直したり、固定金利型への借り換えを検討したりすることが、安定した資金管理につながります。

利上げによるメリットが大きい業種

前述のとおり、一般的に利上げ局面では株価が下落しやすい傾向はありますが、利上げの恩恵を受ける業種も存在します。ここでは、利上げの恩恵を受けやすい業種と、その代表的な企業をご紹介します。


※ご注意事項※
・本コラムは特定の銘柄に対する投資勧誘を意図するものではなく、あくまで銘柄選びの参考までに作成しています。適合性、有用性、正確性、完全性を担保するものではございませんので、あらかじめご了承ください。
・2025年8月21日時点の内容です。

金融

金融機関は、利上げが行われると利益が出やすくなる業種のひとつです。金利が上がると、銀行が貸し出すお金の利息(貸出金利)も上がります。一方で、預金に対して支払う利息(預金金利)の上昇は貸出金利に比べて相対的に緩やかになりやすいため、その差(利ざや)が広がり、銀行のもうけが増えやすくなります。
特に、企業や個人へのローンを多く取り扱っている銀行は、こうした影響を受けやすくなります。そのため、利上げの場面では、金融機関に注目が集まり、株価が上がることもあります。


銘柄名 概要 株価 1単元 最低購入金額
三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306) メガバンクの三菱UFJ銀行などを傘下に置く三菱グループの金融持株会社であり、国内最大級の金融グループ。 2,254.5円 100 225,450円
東京海上ホールディングス(8766) 東京海上日動火災保険、東京海上日動あんしん生命、日新火災海上保険などを傘下に置く日本の保険持株会社。
損害保険を中核に生命保険・海外事業を展開。
6,425円 100 642,500円
第一生命ホールディングス(8750) 大手生命保険の一角。
組織形態は、多くの生命保険会社に見られる相互会社形態ではなく、株式会社である。
1,239円 100 123,900円

※株価は2025年8月21日終値時点
※単元は2025年8月21日時点

また、国内の金利が上昇することで円高が進みやすい局面では、輸入品を多く扱う小売業、外食産業、航空業界では、材料や燃料のコストが下がりやすくなり、業績が良くなって株価が上がることがあります。一方で、借入依存度が高い業種や多くの設備投資が必要な企業は、利上げによって金利の支払いが増えるため、同じ利上げ環境でも留意が必要です。そのため、どの企業が金利変化に強いかどうかを知るためには、企業のバランスシートを確認する必要があります。

まとめ

利上げは、景気や物価を調整するために中央銀行が行う大切な政策です。金利が上がると、物価の上昇を抑えたり、私たちのお金の使い方や投資に影響を与えます。最近では、長く続いた低金利からの変化が注目され、金利が今後どう動くかに対する関心も高まっています。私たちの暮らしにも大きな影響を及ぼすため、こうした金利や経済の動きについても理解しておきましょう。

最短10分で申込み完了!
無料口座開設はこちら

ページの先頭へ戻る