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テーパリングとは?投資に与える影響は? テーパリングとは?投資に与える影響は?

テーパリングとは?投資に与える影響は?

テーパリングとは?

テーパリングとは、中央銀行が行う金融政策のひとつで、主にアメリカの中央銀行(以下、FRB)が行っているものです。簡単に言えば、中央銀行が資産購入を段階的に減少させる政策のことです。

中央銀行は、市場に資金を供給するために国債や住宅ローン担保証券などの資産を購入することがあります。これを量的緩和といいます。量的緩和を行うと、市場で流通するお金が増えるため、金利が下がる傾向にあります。金利が下がれば、企業などは融資を受けやすくなり、経済活動が活発になります。

一方で、経済活動が活発になりすぎると、物価が上昇してインフレの懸念が高まります。経済活動が過剰に加熱しそうであると中央銀行が判断すると、市場への資金供給を減少させるために、資産購入を減らすことがあります。これがテーパリングです。テーパリング後は、市場で流通するお金が減るため、金利が上がり、経済活動の勢いは弱まる傾向にあります。

<量的緩和とテーパリングのイメージ>

量的緩和とテーパリングのイメージ

※画像は筆者が作成

テーパリングが投資に与える影響とは?

テーパリングは金利や株式市場のみならず、投資家心理にも大きな影響を与えます。そして、その影響はアメリカだけにとどまらず、世界的な金融市場に波及し得るものです。テーパリングは、FRBが行う金融政策とはいえ、日本の個人投資家にとっても決して他人事ではないのです。では、テーパリングは金利や株式市場、投資家心理など、どのように投資に影響を与えるのでしょうか。

金利への影響

テーパリングが行われると、金利は上がる傾向にあります。

テーパリングが行われる理由のひとつにインフレ抑制が挙げられます。つまり、テーパリング前の景況は過熱状態にあり、資金需要(融資需要)が高まっています。その環境下でテーパリングを行い、中央銀行が資産購入を減らせば、市場への資金供給も減少するため、金融機関が融資できる資金は少なくなると考えられます。その結果、限られた資金で需要に応えるために、金利を上げて融資対応をするという状況が生まれます。

株式市場への影響

テーパリングが行われると、株式市場にも影響があります。なぜならテーパリングが量的緩和の終焉とみなされる場合があるからです。

テーパリングは、中央銀行による資金供給という「支援」が減少する動きです。テーパリングが量的緩和の終焉と投資家にみなされると、経済活動の鈍化を予測した動きが生まれ、株式市場が一時的に不安定になる場合があります。加えて、テーパリングによって金利が上がりますので、資金調達のコストは高くなります。資金調達のコストが高くなれば、企業の業績に対する投資家の期待が低下するため、株価下落にもつながる可能性があります。

ただし、テーパリングのペースが緩やかであったり、中央銀行の政策方針が明確に示されたりすることで、株式市場の混乱が落ち着く場合もあります。

投資家心理への影響

テーパリングは、投資家心理にも影響を与えます。テーパリングをマイナスと受け取る投資家が多い場合、株式市場が不安定になる可能性があります。一方で、プラスと受け取る投資家が多い場合は、株式市場にあまり影響を与えない可能性があります。

テーパリングが量的緩和の終焉であると、マイナスに受け取る人が多い場合、企業の業績が鈍化する可能性への不安が高まります。不安が高まれば投資家は株式市場から資金を引き揚げようとします。保有する株式の売却を図ろうとする投資家が多くなれば、売り圧力が強まるので株価は下落する可能性が高まり、株式市場の混乱にもつながるケースもあります。

一方、テーパリングが経済回復の証拠であるとプラスに受け取る人が多い場合、株式市場にはあまり影響がないこともあります。

テーパリングの事例

近年では、テーパリングは2014年と2021年に実施されています。

2014年に実施されたテーパリングは株式市場に大きな混乱を与えました。2013年に議会公聴会の質疑において、FRB議長が突如テーパリングを示唆したことが原因です。当時は、2008年のリーマンショックによる景気低迷が、量的緩和によって改善されつつある状況下でした。そのため、今後も量的緩和が拡大するとの見通しが投資家の中で広がっていました。しかし、そのような時期に、急にテーパリングが示唆されたことによって、利上げの時期も早まるのではという憶測が広がりました。その結果、FRB議長の発言の翌日には、米国10年国債利回りが急上昇してしまいました。

その反省を踏まえ、2021年に実施されたテーパリングは、時間をかけて慎重に進められました。

テーパリングが実施される前の状況を整理すると、2020年にアメリカの中央銀行にあたる米連邦準備制度理事会(以下、FBR)は、コロナ禍による経済の混乱および低迷からの回復をはかる必要性に迫られていました。そのため、ゼロ金利に加えて、国債や住宅ローン担保証券などを毎月1,200億ドル購入する量的緩和の実施に踏み切り、市場に資金供給を続けました。その強力な経済対策により、2020年中頃にはアメリカ経済は持ち直すこととなります。2020年12月頃には、雇用と物価安定の目標に向けて、景気の前進が見られたときにテーパリングを進めていくイメージを早々に示唆しています。

その後、アメリカ経済は好況が続き、過熱状態となりました。消費者物価指数(CPI)は急上昇し、インフレ率も長期的な目標を上回る状態となり、インフレ抑制を目的とする対策が必要となりました。そこでFRBは2021年11月に資産購入を毎月150億ドルずつ減らしていくテーパリング計画の開始を発表しました。

テーパリングの開始が発表された後、短期的には株価の下落が見られましたが、その後、徐々に株価は回復しました。2025年2月時点で過去最高水準の株価になるまで上昇を続けました。

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※2020年1月〜2025年2月(12日終値時点) 月足表示
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つまり、2021年に行われたテーパリングは、大きな株式市場の混乱を招くことなく、景気調整を実施できた好事例と考えられます。

テーパリングの影響を踏まえてリスク分散を図ろう

テーパリングは、実施ペースや発表のタイミングによっては、投資家に量的緩和の終焉とマイナスに受け取られて、株価の急落など株式市場に混乱をきたす可能性があります。しかし、テーパリングは、景気調整のために必要な経済対策であるため、ポジティブにとらえる視点も必要です。

過去の事例でも触れましたが、テーパリングの急な示唆は市場に混乱をきたす可能性が大きいため、テーパリングの示唆は開始時期のイメージを明確にした上で、時間をかけて行われる可能性が高いでしょう。
過去の事例を振り返り、「利下げで経済回復が果たせなければ、追加で量的緩和が行われるかもしれない」、「そろそろ経済対策がなくても好況は継続しそうだからテーパリングに踏み切るかもしれない」など自分なりの仮説を立ててみるのも良いでしょう。その上でFRBなどの発表に注目するとテーパリングが行われる時期を予測できるかもしれません。

重要なのは、テーパリングの発表が行われるなど、大きな動きがあったときに、どのような行動をとるかをあらかじめ考えておくことです。いざという時に慌てないために、株と逆の動きをとる債券に分散投資しておくなど、戦略を立てておくのもよいでしょう。
投資に「絶対」はありませんが、テーパリングへの理解を深めることで、自分なりの仮説を立てながら日ごろから投資戦略を練っていく姿勢を整えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

キムラミキ

キムラミキ

ファイナンシャルプランナー 社会福祉士

日本社会事業大学で社会福祉を学んだ後、外資系保険会社、マンションディベロッパーに在籍後、FPとして独立。現在は、株式会社ラフデッサン 代表取締役として、個人向けライフプラン相談、中小企業の顧問業務をお受けする他、コラム執筆、セミナー講師、山陰放送ラジオパーソナリティとしても活躍中。
また、ライフワークとして障がい児・者の親なき後の経済準備についての啓発活動を行う上での課題研究を行うため、放課後等デイサービスや学習に困り感のある子供の学習支援教室にて、障がいのある子供たちの学習支援にも取り組んでいる。

株式会社ラフデッサンHP
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