米国CPIとは?
米国消費者物価指数(米国CPI)は、米国国内の物価の変動を表す経済指標です。前月の指数を翌月の中旬に米労働省が公表しています。
公表される指数は複数ありますが、そのうち全体の動きを示すものを「総合指数」といい、そこから天候要因がある生鮮食品や市場の変動を受けやすいエネルギー価格を除いたものを「コア指数」といいます。
数値の見方としては、先月と比べて何%の変動があったのか、もしくは、昨年の同月比で何%変動したのか、などです。
たとえば、2024年6月は、先月(5月)と比較して、0.1%物価(総合指数)が下がったことがわかります(下表参照)。
<米国CPI前月比変化率(季節調整済み)>
CPIの公表時には「季節調整済み」という言葉がよく使われます。これは、例えば衣料品の価格は季節の初めは定価で販売されていたが、季節の終わりが近づくとセールで安くなる、年末やボーナス支給の後には消費が急増するなど、季節的な要因によって乖離した価格を調整することです。このような特殊な要因を省かないと過去の数値との比較ができないため、この季節調整済みの数値が使われます。
投資にはどう影響するの?
米国のGDP(国内総生産) は、需要項目別の構成でみると、個人消費が約70%を占め、政府支出や設備投資はそれぞれ20%以下になっています。つまり、個人消費のGDPに対する貢献度が非常に高いため、物価が上がると家計の消費意欲がそがれてしまい、個人消費の減少が懸念されることになります。ですから、米国CPIの上昇は米国経済の停滞につながるとされ、株式は売られる傾向にあります。
また、急激な物価上昇は経済にとってはよくないとされているため、中央銀行(FRB)はこの米国CPI を金融政策における判断材料の一つとして注目しています。
そして、CPIの上昇=インフレ懸念となるため、市場においてはインフレ対策として金融引き締めが行われる(金利が上がる)と予想され、金利が上昇すれば株式の魅力が薄れ、株価は下落傾向になります。
<CPIと株価の関係>
CPIの公表の前後は相場が荒れる可能性がありますので、公表日程を確認し、動きが落ち着いてから売買をするなど、対策を取る必要もあるでしょう。米労働省のホームページには、次回のCPI公表予定日時が記載されています。
なお、CPIの公表時点でCPIが上昇したら必ず株価が下がるというわけではありません。多くの経済指標がそうであるように、CPIも、公表前から市場予測が出ており、公表数値がその市場予測と乖離していると市場が反応し、荒れる傾向にあります。CPIの公表時の指数だけでなく事前の市場予想との比較を見ることも大切になります。