注目の暗号資産!株・FXとの比較や確定申告での扱いを解説 注目の暗号資産!株・FXとの比較や確定申告での扱いを解説

注目の暗号資産!株・FXとの比較や確定申告での扱いを解説

執筆者:カブヨム編集部

暗号資産は、価格変動や技術的な革新性などにより、近年ますます注目を集めていると言えるでしょう。しかし、暗号資産の取引にはリスクや税務上の義務も伴います。本コラムでは暗号資産の特徴を踏まえ、株やFXとの比較、確定申告での扱いなど幅広く解説します。

1. 暗号資産(仮想通貨)とは?

暗号資産(仮想通貨)とは、現物で発行されている貨幣とは異なる、デジタル技術を基盤にした新しい形の資産です。仮想通貨や暗号通貨などと呼ばれることもありますが、2024年12月現在、法令上は暗号資産と呼ばれています。

なお、「暗号資産交換業者登録」を受けた事業者のもとで取引をすることができます。利用する際は必ず登録を受けた事業者であるかどうか、金融庁・財務局のホームページでご確認ください。

暗号資産(仮想通貨) の特徴

  • 特徴①:ブロックチェーン技術の活用
    暗号資産は中央集権的な管理者が存在せず、ブロックチェーン技術を利用して取引の透明性とセキュリティを確保しています。それにより、取引データの改ざんが困難で、不正アクセスに対する耐性が高いと言われています。


  • 特徴②:迅速かつ少額な取引の実現
    インターネットを通じて世界中で迅速かつ少額な取引が可能です。暗号資産の価格は、市場のニュースや規制の変更に敏感に反応しますので、この点は重要だと言えるでしょう。また多くの仮想通貨取引所では、数百円程度など少額から取引を始めることができますので、比較的始めやすいのも特徴です。


  • 特徴③:短期間での価格変動が大きい
    暗号資産の価格は短期間で大きく変動することがあり、高いリターンを狙いたい方には特に魅力的に感じられるかもしれません。ただし同時に損失のリスクも高まりますので、資産運用という点で見れば暗号資産に一極集中するような投資方法は避けるべきでしょう。


  • 特徴④:規制の不確実性
    暗号資産に関する法規制は国によって異なり、また今後変更される可能性もあります。これにより、取引の安全性が損なわれるリスクについても頭に置いておく必要があるでしょう。



暗号資産に興味がある方も、必ずこうした特徴を押さえておき、取引を行う場合に生じうるメリット・デメリットをよく理解してから取引に臨むことが大切です。

2. 株・FX・暗号資産(仮想通貨)の商品性を比較

株式やFXは、暗号資産と同様に、取引の仕方によっては大きなリターンを狙いやすい商品です。同時に「インカムゲイン」と呼ばれる、資産を保有していることで得られる利益もあります。

株式投資は、企業が発行している株式を売買する投資商品です。
通常の売買のほか、「信用取引」を行うことで、レバレッジをかけて大きく利益を狙うことができます。一方、売買益を狙うだけではなく、株を保有していることでもらえる「配当金」や、「株主優待(※銘柄による)」などの魅力もあります。
なお、通常の国内株式の場合は100株単位での売買となり、購入する株にもよりますが、大企業の銘柄に投資する場合などはある程度の資金が必要となるケースもあるでしょう。しかし、証券会社によっては「単元未満株の取引」を導入しており、1株から売買することもできますので、比較的少額からでも取引が可能です。

FXは、「外国為替証拠金取引」のことを意味し、国が発行する法定通貨(米ドルなど)を投資対象としています。
外貨預金との主な違いは、「売りから入ることができる(円高でも利益のチャンス)」ということと、「レバレッジ」です。レバレッジをかけることで、少ない資金でも大きな取引をすることができますが、為替相場が予想と反対に動いた場合、損失が拡大する可能性がありますので、レバレッジのかけすぎには注意しましょう。
法定通貨の売買による為替差益のほかに、ポジションを保有し続けることでほぼ毎日得られる「スワップポイント」という利益もありますので、コツコツ利益を重ねたい方にも向いているでしょう。スワップポイントは取引する通貨ペアの政策金利の差により発生するもので、低い金利の通貨を売って、高い金利の通貨を買うことで獲得できます。

※スワップポイントは日々変動します。受け取りの場合と反対に、低い金利の通貨を買って、高い金利の通貨を売っているポジションでは、支払いが必要になりますのでご注意ください。

ただし、それぞれの商品には固有のリスクもあります。商品ごとの特徴を比較してよく理解し、ご自身に合った商品に投資をすることが重要です。特にレバレッジをかけると同時に損失のリスクも大きくなりますので、無理のない範囲で投資を行うことが大前提となります。

<株・FX・暗号資産(仮想通貨)の比較>


項目 株式投資 FX 暗号資産
(仮想通貨)
投資対象 株式会社が発行する株式 各国の法定通貨 デジタル通貨
取引可能時間 市場の開いている時間のみ取引可能 24時間取引可能
※土日除く
24時間取引可能
リスク 企業の業績や市場全体の影響を受ける 為替レートの変動リスクが高い 価格変動が非常に大きい
レバレッジ 証券会社によるが、一般的に低い(3.3倍など)
※信用取引の場合
一般的に高い(最大25倍) 一部取引所で利用可能(最大2倍)
手数料 売買手数料がかかる スプレッドや取引手数料がかかる スプレッドや取引手数料がかかる
必要資金 株価により高いこともある
※単元未満株の場合は比較的低く抑えやすい
比較的低い
(少額から取引可能)
比較的低い
(少額から取引可能)
利益 売買益、配当金 為替差益、スワップポイント 売買益、取引差益

※上の表は2024年12月現在、当社が作成
※上の表はあくまで各商品の一般的な傾向をまとめたものです。個別の投資対象の選定にあたっては、必ず商品の詳細情報をご確認ください。

3. ビットコインETFとは?日本で取引できる?

すでに証券口座を開設している方の中には、「暗号資産を直接保有するのではなく、暗号資産に連動するETF(上場投資信託)を検討したい」とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。

例えばビットコインETFは、ビットコインの価格に連動する金融商品です。ビットコインを直接保有するリスクを回避しながら、ビットコインの価格変動に投資できる点が魅力でしょう。

しかし残念ながら、2024年12月現在、日本では暗号資産に連動したETFは取引できません (ビットコインETFを含む)。そのため、他の投資手段を検討していく必要があります。

4. 暗号資産(仮想通貨)の課税区分は?確定申告は難しい?

投資で一定以上の利益を得た場合、確定申告が必要ですが、投資対象や所得額によっては課税区分や税率が異なります。確定申告を怠ると、延滞税や加算税が課されてしまいますので、暗号資産の課税区分について、詳しく見ていきましょう。

暗号資産(仮想通貨) の課税区分と確定申告


日本では、暗号資産の売却や使用による利益は原則として雑所得に区分されます。雑所得が年20万円を超える場合、所得税としての申告が必要となります。

所得税は、給与所得など他の所得と合算した総額に応じて累進課税が適用されるため、所得が増えるほどに税率が高くなる点に留意が必要です。最大で45%の所得税(住民税も加えると55% )がかかります。


<所得税の税率(2024年時点)>


課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え 4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

※上の表は国税庁を参考に、2024年12月時点で当社が作成
※参考:No.2260 所得税の税率|国税庁

暗号資産の確定申告の際には、取引の記録を正確に保管し、所得額(収入 - 必要経費)を正確に計算 します。必要経費の算出には、取得価額(暗号資産を購入した際のコスト )を計算する必要があります。

取得価額の計算方法には次の2つの方法があります。

  • 移動平均法: 取得価額を取引ごとに更新し、平均取得価額を計算します。
  • 総平均法: 一定期間内の全取引の平均取得価額を計算します。

計算の際は、仮想通貨取引所から提供される年間取引報告書を活用することが有効でしょう。

また、暗号資産で商品を購入した場合や、暗号資産同士の交換を行った場合など、取引状況によっては確定申告の計算が複雑になる こともあります。暗号資産の確定申告を行うにあたっては、必ず国税庁の最新情報をご確認ください。


他の投資商品の申告例


暗号資産で大きな利益を得られても、累進課税の影響で税金が高額になってしまった…というケースもあるので、事前に理解をしておくことが大切です。
また課税区分の関係上、累進課税が適用されない投資商品もあります。

たとえば株式投資の場合、利益が年20万円を超えるとご自身での確定申告が必要です。株式で得た利益は、申告分離課税の対象であり、所得額にかかわらず20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%)の税率がかかります。
ただし、非課税の「NISA口座」や、証券会社側で源泉徴収を行う「特定口座」を活用して利益が出たケースでは、ご自身での確定申告が不要です。

また、 FXにおいても年20万円を超える利益が出た場合はご自身での確定申告が必要になります。 国内のFX会社で得たFXの利益は申告分離課税の対象で、所得額にかかわらず20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%)の税率が適用されます。

ビットコインをはじめとする暗号資産は魅力的な投資対象ですが、日本国内ではまだまだ取引に慎重な方も少なくありません。また、実際に取引で利益が出た場合の税制上の取り扱いや、価格変動が大きいなど、十分に理解しておくべき特徴もあります。他の投資商品とも比較しつつ、ぜひご自身に合った投資をご検討ください。

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