債券の種類を解説!
「ストリップス債」を理解するために、まずは債券の種類を理解しておく必要があります。債券を利息の種類で分類すると、「利付債」と「ゼロクーポン債」に分けられます。
・利付債・ゼロクーポン債とは
「利付債」はあらかじめ決められたクーポン(金利)が、決められた期日(例えば年2回6月と12月など)に支払われる債券です。
一方、「ゼロクーポン債」はクーポン(金利)がつかない代わりに、その債券の額面金額よりも低い金額(割引価格)で購入し、満期まで保有すると額面金額で償還されるので、その差額(償還差益)が利益になる債券です。
<ゼロクーポン債の例>
・ストリップス債のしくみ
利付債の元本部分と利息部分(クーポン)を切り離し、それぞれをゼロクーポン債として販売される債券がストリップス債です。米国債の利付国債であるトレジャリーノーツ(中期国債)やトレジャリーボンド(長期国債)などを下図のようにストリップス債にしたものが、証券会社のサイトなどでよく見かけられます。
<ストリップス債のイメージ>
ストリップス債のメリットと注意点
下記は、米国財務省証券(米国債)ストリップス債の例です。
例えば10,000ドル分の額面を購入するのに、価格が額面価格の51.15%となっているので、5,115ドルで購入します。そして2040年2月15日の償還日に額面金額の10,000ドルが戻ってくることになり、差額の4,885ドルが償還差益ということになります。
<ストリップス債の例>
ただし、この償還差益に対して税金がかかります。特定口座の「源泉徴収あり」であれば、満期償還のときに購入額との差額(償還差益)に対して自動的に20.315%の税金が差し引かれ、申告の必要はありません。
・ストリップス債のメリット
利付債は毎年(毎回)の利払いごとに税金が差し引かれますが、ストリップス債は償還時に一括で課税となるため、毎年(毎回)発生する利息を税控除なしで再投資するのと同様の効果があります。
債券は支払われた利息を同じ債券に再投資することは難しいため、償還までの期間が長ければ長いほど、納税が後になるメリットは大きいでしょう。少額の利息を少しずつ受け取っても意味がないという方には向いているともいえますし、逆に、毎回の利払いを楽しみにしている方には向いていないのかもしれません。
・ストリップス債の注意点!
注意点としては、ストリップス債にはクーポンがついていないため、金利による価格変動の影響が利付債より大きい傾向にあります。昨日と今日では買付価格が異なることもありますし、既発債(外国債券は、一般の人が購入するほとんどが既発債で、すでに発行されているものを証券会社から購入する方法を取ります)のため、常に同じものがあるとは限りません。自分の条件に合う債券が見つかったら、その場で決断しないと翌日には買えない可能性もあります。
また、途中売却するときには価格が変動しているため、利益が出ることもあれば、損が出る可能性もあるため、購入の際には、満期償還まで持つ前提で選択していただくことをおすすめします。