投資開始の前に考えたい、「万が一」に備えるお金
投資でリスクを抑える方法の一つが長期投資です。なるべく長期で投資するには、少しでも早く投資を始めることが重要です。
もちろん、目先の生活に必要なお金まですべて投資に回すのは危険です。また万が一失業してしまった場合や、大きなケガや病気をして一時的に収入が途絶えてしまった場合、手元にある程度まとまったお金がないと困ってしまうでしょう。
とはいえ、「何が起きるかわからないから」と考え始めると、いくら預貯金をしても足りないような気がしませんか?
そこで知っておいてほしいのが、社会保障制度です。
会社員や公務員の場合、失業した時には雇用保険から失業給付が、ケガや病気で働けない時には健康保険から傷病手当金が給付されます。
給付額は原因や年収などで変わりますが、30歳で税込み月収30万円の人の場合、失業給付で月約16.5万円、傷病手当金で月約20万円が給付されます(※2023年現在)。
手取り収入の7割から9割程度の金額が一定期間公的な保障でカバーされるので、失業や病気などで一時的に収入が途絶える事態に直面した場合、こうした保障を思い出していただきたいです。
もちろん、社会保障制度があるから何が起きても大丈夫…というわけではありません。保障の範囲だけでは生活費が賄いきれないことや、失業や病気以外の要因で急遽現金が必要になることも十分考えられます。そのため、社会保障制度を加味しつつ万が一に備えられる分の預貯金を準備し、余裕資金を投資に回すことが重要です。これから預貯金に取り組む方は、まずは半年分の生活費にあたる金額を準備するなど、具体的な目標額を設定してみると良いでしょう。
株式や投資信託を現金化するには何日必要?
株式や投資信託として資産を保有していると、何かあったときに現金がすぐに用意できないから心配だ、という人もいるでしょう。
確かに、株式や投資信託は売却から現金の受け渡しまでに時間がかかります。このため、銀行の普通預金のようにATMなどで即日引き出すことはできません。しかし、国内株式や投資信託は、多くの場合1週間もかからずに現金化することが可能です。
株式や投資信託を現金化するため必要な日数を、具体的に見てみましょう。
国内株式:約定(取引が成立)した日を含めて3営業日目が代金の決済日(受渡日)となります。
証券会社の営業日は一般的に土日祝を除く日となります。このため、金曜日に約定した場合の3営業日目は、土日をはさむことで、火曜日となり、実際に受け渡しにかかる日数は5日となります。
投資信託:商品によって異なりますが、営業日の15:00までに売却の申し込みをした場合、申込日を含めて4~6営業日目が売却代金の受渡日となります。
<投資信託の現金化にかかる日数のイメージ>
売却代金はまず証券会社の口座に入金されるので、売却代金を使う場合には、証券口座から指定の銀行口座に出金する必要があります。
auカブコム証券では、ゆうちょ銀行以外の全ての金融機関で即日出金が可能です(ゆうちょ銀行は翌営業日)。
とはいえ、投資信託を現金化するまでには商品や曜日によっては1週間程度かかる場合もあります。その間に必要になりそうな生活費などの最低限の資金は、やはり手元や銀行で保有しておくのが望ましいと言えるでしょう。
社会保障制度や、投資商品の現金化にかかる時間を知っておけば、いざ現金が必要になったとき必要以上に慌てなくても良くなります。また早く投資をスタートさせれば、そのぶん長期投資が可能になり、投資経験を積むことができます。
ある程度の預貯金を準備しておくことは重要ですが、同時に預貯金にとらわれすぎなくても良いという考え方も、投資に踏み切る前に押さえておくとよいでしょう。