【わかりやすく解説】投信の基準価額とは?高い方がいいって本当? 【わかりやすく解説】投信の基準価額とは?高い方がいいって本当?

【わかりやすく解説】投信の基準価額とは?高い方がいいって本当?

基準価額とは?

基準価額とは、その投資信託が保有する純資産総額を口数で割って算出された値段のことです。新聞などで公表されている「12,856円」などの金額は1万口あたりの基準価額です。
基準価額は商品によって異なり、数千円から数万円の商品があります。
普段の暮らしの中では値段の高い商品≒よい商品というイメージがありますが、投資信託の場合、基準価額が高ければ優秀な商品であるとは限りません。
これは、多くの場合、運用が開始される日(設定日)の基準価額を1万口あたり10,000円(1口1円)としているためです。

下図のように、同じ指標に連動した運用成果を得ることができる商品でも、Aのタイミングで運用開始された商品①と、Bのタイミングで運用開始された商品②の基準価額は異なります。

<基準価額のイメージ>

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筆者が作成

このように、基準価額の高い低いだけでは投資信託の優劣は決まりません。
なぜなら、投資信託の損益は、基準価額だけでなく、「基準価額×口数」によって決まるためです。

例えば、商品①と商品②をBのタイミングでそれぞれ10万円分購入し、Cのタイミングで売却したとします。

Bのタイミングで購入できる口数は、それぞれ以下のようになります。
商品①:125,000口(100,000円÷8,000円×10,000口)
商品②:100,000口(100,000円÷10,000円×10,000口)

Cのタイミングで売却する場合の売却金額はそれぞれ次のようになります。
商品①:125,000口×8,800円÷10,000口 = 110,000円
商品②:100,000口×11,000円÷10,000口 = 110,000円

どちらの商品も10,000円の利益が出ており、基準価額の高い低いだけで投資信託の優劣は決まらないことがわかります。

基準価額は分配金によっても変わる

基準価額は、運用成果による騰落のほかに、分配金の支払いによっても変動します。

分配金は、純資産総額から支払われます。基準価額は純資産総額を口数で割って算出されているので、分配金が支払われた分だけ純資産総額が減り、結果として基準価額が下がります。

例えば、基準価額が12,000円の商品が分配金を200円支払った場合、分配金受け取り後の基準価額は11,800円となります。分配金を含めた資産総額は変わりませんが、基準価額は下がります。

<分配金の仕組み>

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筆者が作成

つまり、実際の損益は、基準価額だけではわからず、基準価額の変動と受け取った分配金の総額によって決まります。

商品によっては月報などに分配金再投資後の基準価額の推移グラフなどを掲載している場合があるので、分配金を含めた運用実績の確認に利用しましょう。

このように基準価額は設定日や分配金の金額によって異なり、運用成果の良し悪しを基準価額だけで判断することはできません。
投資信託を選ぶ時は、基準価額は参考程度とし、運用方針やトータルリターン、シャープレシオなどのデータも併せて確認しましょう。

※投資信託は銘柄により、信託報酬、解約手数料、その他手数料等を要するものがあります。本文中の購入、売却の例では手数料等を考慮しておりません。手数料等は銘柄ごとに要件・料率等が異なります。当社ホームページの目論見書および目論見書補完書面等にてご確認ください。

中野敦成

執筆者:中野敦成

FP事務所LBプランニング 代表
大阪府堺市生まれ。理系大学卒業後、自動車会社などで設計支援業務に携わる。
1998年の株式売買手数料の自由化やネット証券の誕生をきっかけに株式投資を開始。株の売買のための情報種数をしている中でファイナンシャルプランナー資格に出会う。
投資の知識のためにとファイナンシャルプランナー資格を取得した際に、「お金のことを知っていると知らないでは世界がこんなに変わるのか!」と感銘を受け、資格取得後、FP事務所LBプランニングを開設。
現在は大阪市内の事務所で個人向けのFP相談業務を中心に資産運用や保険、ライフプランに関する執筆・セミナーなどを行っている。

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