ストップ安、ストップ高とは?
株価情報で、「ストップ安」や「ストップ高」という言葉を目にしたことはありませんか? もしも自分が保有している株が「ストップ安」や「ストップ高」となったときに適切に対応するためにも、その意味を正しく理解しておくことは重要です。
ストップ安、ストップ高の仕組み
「ストップ安」や「ストップ高」は、1日の株価の上昇や下落の変動幅を一定範囲内に制限するための仕組みで、「値幅制限」ともいわれます。「値幅制限」は基準となる価格(一般的には前日終値)の上下約15~30%の間の金額で設定されています。その制限を超えた株価になった場合、その日は取引ができなくなります。
たとえば、ある銘柄の前日の終値が1,000円で、値幅制限が300円と設定されている場合、その銘柄のストップ安は700円となります。この制限により、投資家は予想外の損失を被るリスクを軽減することができるでしょう。
基準となる価格と、値幅制限の実際の数字は、以下より確認することができます。
また、例外もあります。2営業日連続でストップ安もしくはストップ安となるケースでは、状況により臨時で制限値幅が変更されることもあります。
ストップ安・ストップ高はなぜ発生する?
ストップ安が発生するのは、株を売りたいと考える人が多い場合であり、ネガティブなニュースなどが影響しやすいです。
反対にストップ高が発生するのは、株を買いたいと感じる人が多い場合であり、ポジティブなニュースの影響が考えられます。
<「ストップ安」、「ストップ高」の状況と要因>
※表:執筆者作成
実際の市場では、ストップ高やストップ安が頻繁に発生します。売買の制限が起こる結果、投資家は一時的に売買を控えるか、別の投資戦略を検討する必要があります。
ストップ安・ストップ高が設定される理由とは
ストップ安・ストップ高の仕組みがあることで、一時的に加熱した相場状況の中でも投資家が冷静に判断するきっかけを持つことができます。
また、投資家にとってリスクが高すぎる状態を防ぐ働きもあります。株式投資には価格変動のリスクがあり、利益につながるときは良いですが、大きな損失に直結することも十分あり得ます。1日の値動きに制限が設けられるストップ安・ストップ高は、投資家保護のための制度であると言えるでしょう。
もちろん、値幅制限があるとは言っても油断は禁物です。前提として、ご自身のリスク許容度を考慮した投資を行い、投資対象のリスク分散を徹底するなど、日頃から個人の範囲でも急騰・急落の対策を意識しておくことが大切です。
米国株には値幅制限がない?
ストップ安・ストップ高は日本の株式市場における投資家保護の仕組みのひとつであり、米国の株式市場において同じ制度はありません。ただし、米国の場合も次のような制度があり、市場の過度な混乱を抑制する働きをしていることは押さえておくとよいでしょう。
ストップ安、ストップ高における売買成立方法
株価がストップ安やストップ高の制限値段に達すると、その価格以外での売買注文は失効扱いになります。つまり、通常の売買注文を出すときのように「少し高く(または安く)して売ろう・買おう」といった価格調整ができず、制限値段での注文だけが取引の対象になります。
この状態では、取引所はその価格を「特別気配」として表示し、一定の時間ごとに売り注文と買い注文の数量を確認しながら、取引が成立可能かどうかを判断します。売りと買いの注文数量が一致すれば、その価格で取引が成立します。数量が一致しない場合でも、注文量に応じて一部の注文が比例配分で成立することがあります。
たとえばストップ高では、買いたい人が多くても、売る人がいなければ取引は成立しません。逆にストップ安では、売りたい人が多くても、買う人がいなければ同様に成立しません。
ストップ安、ストップ高が起こったらどう対応すればいい?
もしも自分が保有している株が「ストップ安」や「ストップ高」となったら、どのように対応すればいいのでしょうか?
一番大切なのは、「ストップ安」、「ストップ高」いずれの場合でも、焦らないということです。
特に株価が暴落している状況である「ストップ安」に直面すると、損失を広げないように、慌てて株を売りたいと考える人は増えるでしょう。しかし「ストップ安」となれば、その日は取引が成立しづらくなります。まずは、落ち着いて状況を把握することに努めましょう。
ネガティブなニュースによって一時的に株価が下落することもあります。下落の理由が一時的なものなのか、永続的なものなのか、冷静に判断してみましょう。一時的なものであると判断できれば、株を割安に購入できるチャンスでもあるわけです。実際、「ストップ安」となった翌日に、「ストップ高」となることもあります。
「ストップ安」や「ストップ高」となった時に限らず、感情的な投資判断は大きな損失につながることもあります。株価のみならず、その投資先企業の経営状況についての情報には日頃から目を配り、いざという時に冷静な判断ができるように心がけておくことが大切です。




