老後資金はあるけれど、現役時代にお金が足りない!?
資産運用に興味を持ち、老後資金形成を始める若い方が増えてきました。
iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入者数は、特に若い世代の延びが顕著で、税制上有利な制度を活用して、早い段階から老後資金形成をおこなう人が増えてきています。
しかし、家計相談をしていると、iDeCoなど老後に利用できるお金は潤沢にあるものの、現役時代の教育費などの資金が足りずに赤字になっているようなケースを見る機会が増えています。
資金があるにも関わらず、60歳までは引き出して使うことができない制度や商品を利用する一方、自動車ローンなど高い金利でお金を借りるというのは合理的ではありません。
いつ何のために利用するお金なのかという、いわゆる資産運用の「出口」についても、あらかじめ考えておく必要があります。
出口によって、利用すべき制度や商品が変わってくるからです。
資産運用計画表を作成して出口戦略を立てよう!
そこで、資産運用を始める場合は、ライフプラン表や資産運用計画表を作成して出口戦略を同時に考えましょう。
将来的に必要なお金を年齢別にイメージをして、その運用年数に応じて制度や商品を選択していきます。
<資産運用計画表例 30代夫婦 子ども二人>
(例)夫30歳 資産運用計画
年齢 | 用途 | 必要金額 | 資産運用 | 重視する点 | |
---|---|---|---|---|---|
3年後 | 33歳 | 車の買換え | 200万円 | 預貯金 | 流動性・安全性 |
15年後 | 45歳 | 第一子大学資金 | 300万円 | 学資保険 | 安全性 |
240万円 | ジュニアNISA | 収益性 | |||
18年後 | 48歳 | 第二子大学資金 | 300万円 | 預貯金 | 安全性 |
240万円 | ジュニアNISA | 収益性 | |||
20年後 | 50歳 | リフォーム代 | 200万円 | つみたてNISA | 流動性・収益性 |
35年後 | 65歳 | 老後資金 | 2,000万円 | iDeCo | 収益性 |
つみたてNISA | 収益性 |
筆者が作成
・数年以内に使う予定のお金
いつでも引き出せる「流動性」と元本を減らさないようにする「安全性」を重視して預貯金等を活用します。
・10年以上先に使う予定が確定しているお金
例えば、大学資金などは主に「安全性」を重視した定期預金等を活用しますが、一部は「収益性」を求めて運用をしてもよいでしょう。
・利用するまでに20年以上年数があるお金
長い期間をかけて準備をする老後資金などは「収益性」を意識して、金融商品を選びましょう。
ライフプランが不明確で老後資金以外は予定がないという場合は、突発的なライフプランの変化に対応できるようにある程度の「流動性」も確保しておきたいところです。
例えば、60歳まで引き出しができないiDeCoに掛金の上限まで全額を注ぎ込むのではなく、一部を「流動性」があるつみたてNISAで運用するなどバランスが大切になります。
iDeCoの掛金の額は、1年に1回は変更することができますので、資産運用計画の変更に合わせて柔軟に変えることも必要です。
資産運用は始めるよりも終わることが難しいと言われています。
何のために運用をするのか?
運用したお金をどう使っていきたいのか?
始める時には、出口戦略も同時に考えていきましょう。