ディフェンシブ銘柄とは？
コロナ後の景気回復を見越して株式は上昇基調にあります。
しかし、景気が回復せず下降局面に入ってしまったら、と不安に思う方もいるでしょう。
そんなときにディフェンシブ銘柄を知っておくと参考になるかもしれません。
ディフェンシブ銘柄とは、景気動向に業績が左右されにくい銘柄のことを言います。
景気が悪いからと言ってやめることができない生活必需品などの消費財を扱う銘柄が中心です。
例えばキッコーマン（2801）や味の素（2802）などの「食品」、武田薬品（4502）や中外製薬（4519）などの「医薬品」があげられます。
その他、「電力・ガス」、「鉄道・通信」などのインフラ関連も同様にディフェンシブ銘柄と言われています。
ちなみにその逆で景気上昇局面において上がりやすい銘柄をシクリカル銘柄（景気敏感株）と言います。
主に自動車、非鉄金属などの業種があげられます。
ディフェンシブ銘柄をうまく使うには？
実際にディフェンシブ銘柄、シクリカル銘柄の値動きを見てみましょう。
個別の銘柄では企業独自の材料が値動きに大きく反映されると思われるので、ここでは業種別ETFを使って比較をします。
下記の比較表では、指数の参考としてTOPIX連動型上場投信（1306）、ディフェンシブ代表として食品上場投信（1617）、シクリカル代表として自動車・輸送機上場投信（1622）の3つのETFを取り上げます。
2018年4月から2020年4月までの間で、月初から月末までにTOPIX連動型上場投信（1306）の基準価額の騰落率が5%以上あった月をピックアップしたものです。
＜業種別ETF騰落率比較＞
| TOPIX連動型 上場投信 （1306） |
食品上場投信 （1617） |
自動車・輸送機 上場投信 （1622） |
|
|---|---|---|---|
| 2018年9月 | 6.46% | 5.49% | 5.97% |
| 2018年10月 | -9.46% | -5.34% | -8.28% |
| 2018年12月 | -11.40% | -7.20% | -9.43% |
| 2019年1月 | 6.55% | 2.13% | 7.06% |
| 2019年5月 | -5.46% | -5.04% | -8.59% |
| 2019年9月 | 6.49% | 5.54% | 7.52% |
| 2020年2月 | -9.65% | -10.77% | -6.93% |
| 2020年3月 | -6.88% | 1.51% | -12.19% |
| 2020年4月 | 8.38% | 2.12% | 8.77% |
（野村アセットマネジメント「投資信託情報」のデータから筆者作成）
※赤字はマイナス
TOPIX連動型上場投信（1306）が下落した時には、食品上場投信（1617）は自動車・輸送機上場投信（1622）に比べて下落率が小さいことがおわかりいただけるでしょう。（2020年2月のコロナショックは例外）
逆に、TOPIX連動型上場投信（1306）が上昇した場合においては、食品上場投信（1617）は自動車・輸送機上場投信（1622）に比べて上昇率が小さいことが分かります。
株価はさまざまな要因で動くので、もちろん例外もありますが、大きくはこのような傾向があります。
今後、景気の上昇局面が続くのか、下降局面に入るのかはなかなか判断がつきません。
このような状況下で銘柄を選択するときには、違う業種への分散投資を検討してみてはいかがでしょうか。
例えば、例えば、自動車関連のようなシクリカル銘柄を保有しているのであれば、ディフェンシブ銘柄の購入を検討してみるなどです。
景気によって異なる動きをする銘柄を選ぶことで、景気下降局面でも下落率を抑えることができるかもしれません。
注意点としては、ディフェンシブ銘柄だから絶対に景気に左右されないということではなく、あくまでも分類上そのような傾向があるということを理解しておいてください。
銘柄選択時はその業種全体の動きに加え、業績など各企業独自の材料を分析することが必要です。
＜業種別ETF参考（運用：野村アセットマネジメント）＞
| 銘柄名 | 証券 コード |
分類 |
|---|---|---|
| ＮＥＸＴ ＦＵＮＤＳ TOPIX連動型上場投信 | 1306 | TOPIX連動 |
| ＮＥＸＴ ＦＵＮＤＳ 食品(ＴＯＰＩＸ－１７)上場投信 | 1617 | ディフェンシブ銘柄 |
| ＮＥＸＴ ＦＵＮＤＳ エネルギー資源(ＴＯＰＩＸ－１７)上場投信 | 1618 | ディフェンシブ銘柄 |
| ＮＥＸＴ ＦＵＮＤＳ 医薬品(ＴＯＰＩＸ－１７)上場投信 | 1621 | ディフェンシブ銘柄 |
| ＮＥＸＴ ＦＵＮＤＳ 電力・ガス(ＴＯＰＩＸ－１７)上場投信 | 1627 | ディフェンシブ銘柄 |
| ＮＥＸＴ ＦＵＮＤＳ 素材・化学(ＴＯＰＩＸ－１７)上場投信 | 1620 | シクリカル銘柄 |
| ＮＥＸＴ ＦＵＮＤＳ 自動車・輸送機(ＴＯＰＩＸ－１７)上場投信 | 1622 | シクリカル銘柄 |
| ＮＥＸＴ ＦＵＮＤＳ 鉄鋼・非鉄(ＴＯＰＩＸ－１７)上場投信 | 1623 | シクリカル銘柄 |
| ＮＥＸＴ ＦＵＮＤＳ 機械(ＴＯＰＩＸ－１７)上場投信 | 1624 | シクリカル銘柄 |
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※業種別ETFの一部抜粋です。
※ディフェンシブ銘柄かシクリカル銘柄かの表記はあくまでも筆者の判断です。
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髙木典子
合同会社HAL FP OFFICE代表
証券会社・銀行勤務を経て、ファイナンシャル・プランナーとして独立
個人のマネー相談だけでなく、大学の非常勤講師、専門学校・高校向けの授業、企業向けマネーセミナーや、PTA向けから子供向けおこづかい教室などのあらゆる世代の人たちに向けた金銭教育・投資教育を行い、中立公正な立場からお金についての知識を広げる活動を行っている。
保有資格
ファイナンシャル・プランナーCFP®
証券外務員
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