短期取引では必見!板の仕組みとは
株取引をこれから始める方にとっては、何をもとに売買の判断を行えばいいのか迷ってしまうことはないでしょうか。もし中長期的な取引ではなく、デイトレードやスキャルピングなどの短期取引を検討しているのであれば、一般的にチャートや出来高、板を確認するのがよいでしょう。
しかし、「板」は、テクニカル指標やファンダメンタル指標とも異なり、未経験者にとって分かりにくい要素です。
ここでは、初めて短期取引を行う方に向けて、板の基本的な意味や仕組みについて確認していきます。
実際の板とはどのようなもの?基本を確認
板は、株式の買いや売りの注文数などを一覧にした表のようなものです。
kabuステーションよりauカブコム証券が作成
※画像はイメージです
左側は売り注文の数、右側は買いの注文数、そして中央部分は注文価格を示しています。また、上方向にいくほど注文価格が上がり、下方向にいくほど下がっています。
イメージとしては、以下のような表記です。
売りの希望注文数 | 注文価格 | 買いの希望注文数 |
---|---|---|
200株 | 102円 | |
500株 | 101円 | |
100円 | 1,000株 | |
99円 | 300株 | |
98円 | 200株 |
リアルタイムな売買動向の参考に
実際の取引時間において、板の数値はリアルタイムに変動していきます。例えば株を売りたい時、100円で売り注文を出すと既に100円で買い希望注文が1000株出ているので、取引を成立することができます。一方、101円以上の価格で売り注文を出した場合は、買い注文側で101円以上の注文を新たに誰かが発注しない限り取引は成立しません。
また、売り側で成行注文(価格を指定せず即取引成立させる注文)を1,500株入れた場合は、100円の1,000株、99円300株、98円の200株が売買成立となり、97円まで下がります。(追加で買い注文が入らない場合を想定)
実際の板では、このように時々刻々と価格や注文数が変化していきます。
特に市場がオープンする時刻である寄付(9時~)直後では、秒単位で取引が成立したり新たな注文が入ったりと目まぐるしく変化しています。そのため、板の情報から大きな売り注文や買い注文が入っていないか確認するのも大切です。
なお、過去に取引が成立した価格と株数は、「歩み値=tick」というもので確認することができます。「歩み値」には、取引が成立した時間と価格、株数が表示される仕組みです。一般的にデイトレードでは、「歩み値」も確認することが多いといえます。
※kabuステーションでは「個別銘柄・T&S」で歩み値をご確認いただけます。
kabuステーションよりauカブコム証券が作成
※画像はイメージです
板読みを売買動向・銘柄の勢いの判断のひとつに
板は、他の投資家がどのタイミングでどこの価格にいくらの株数で注文しているのか、どこの価格帯に注文が集中しているのか確認しやすい情報です。
また、買いや売りどちらの注文が多いのかといった情報は、市場の方向性などを判断する材料として活用することが可能です。
【注意】板読みは確実ではない?予測できない点も
一方で、言語化することが難しい部分もあったり理屈の通らない現象が起きたりするため、板読みに関する一般的な理論を学んでも誤った判断を行う可能性はあります。
板読みに関しては、知識を蓄えるだけでなく投資家自身でトライ&エラーを繰り返しながら経験値や目に見えない感覚的な部分を養うのが大切です。
株式投資の板は、現在価格に加えてその他の価格で注文されている価格や株数を一覧にしたものです。特にデイトレードにおいて、買いと売りどちらの方向で動いているのか分析したり、機関投資家や他の個人投資家の心理を考えたりする上で活用場面があります。
まずは、今回紹介した板や板に関連する歩み値の仕組み、基本的な板読みの技術を学んでみてはいかがでしょうか。チャート分析とはまた違った角度で、板に加えて投資家心理に関しても勉強することが重要です。
※当コラムは投資の参考となる情報提供を目的としており、特定の銘柄等の勧誘、売買の推奨、相場動向等の保証等をおこなうものではありません。また将来の株価または価値を保証するものではありません。投資の最終決定はご自身のご判断と責任で行ってください。詳しくは「ご注意事項」をご確認ください。