信用取引のしくみ

現物株式の取引に慣れてきたら少しステップアップして信用取引にもチャレンジしてみたくなるかもしれません。
ここでは、信用取引のしくみや用語、注意点などを、はじめての方にも分かりやすくご紹介しています。

信用取引のしくみ

1. 信用取引とは

信用取引とは、証券会社に現金や株式を担保として預け、それによって証券会社から資金を借りて株式を買ったり、株式を借りて売ったりする取引のことです。

信用取引とは

信用取引では預ける担保のことを「委託保証金」と言います。
委託保証金の約3.3倍までの取引が可能です。そのため株価が高く、なかなか手が届きにくい銘柄を取引しやすくなるメリットがあります。

レバレッジ効果

また、現物取引では不可能な「売りからの取引」を行えます。上昇相場だけでなく、下落相場でも収益チャンスが増えるという点では非常に有用な制度です。
ただし、信用取引は現物取引とは異なり、取引期間に期限があります。買付した株式をずっと保有し続けることはできません。証券会社から資金や株を借りているため、定められた期間内に返済する必要があります。

下落相場でも取引のチャンス

💡 信用取引のメリット

  • 手持ち資金の約3.3倍までの取引が可能
  • 売りからの取引で下落相場も収益チャンス

2. 信用買い

信用買い

信用買いとは、現金や株式等を担保に、証券会社から資金を借りて株式を買うことです。「買建」と呼ばれ、信用買いで保有した株式は「買建玉」と呼ばれます。

現物買いの場合、証券口座に預けた資金以上の株式は買付できません。しかし、信用買いだと、口座資金以上の取引が可能になります。

ただし現物取引とは異なり、信用取引には期限があります。買付した株式をずっと保有し続けることはできません。証券会社から資金を借りているため、借りた資金を期限までに返済する必要があります。その資金は、買付した株式を売却(決済)することで返済します。

3. 信用売り

空売りの例

信用売りとは、現金や株式等を担保に、証券会社等から株式を借りて売ることです。「売建」と呼ばれ、売った株式は「売建玉」と呼ばれます。一般的に「空売り」と呼ばれている取引は、この信用売りのことです。

現物取引だと、手元に保有していない株式は売ることはできません。一方、信用売りは証券会社等から株式を借りて売り、期日までに買い戻す取引です。売った時の価格と買い戻した時の価格の差額が利益になります。株価が下がると予想した場合は、信用売りを利用することで利益を得られる可能性が生まれます。

ただし、信用売りの場合も証券会社等から株式を借りて株式市場で売却するため、ずっと売りを続けることはできません。定められた期限内に決済をして、株式を返す必要があります。

4. 同一銘柄の売買が有利な信用取引

同一銘柄の売買が有利な信用取引

信用取引は、同じ銘柄を何度でも売買することができるというメリットがあります。
現物取引では、1日にひとつの銘柄を同じ資金で何度も取引を行うことが禁止されています。

例えば100万円の資金があった場合、同じ日にA銘柄の取引は、1日で100万円買い→売りまでとなります。そのため、一度売却した後に、また上がりそうだと思っても、同じ資金(A銘柄を売却した代金)で買いなおすことができないのです。
しかし信用取引なら可能なため、資金効率が良いといえます。

5. 信用取引の注意点

保証金の最低水準を下回ると追証が発生

信用取引は資金以上の取引も可能ですが、その反面、損失も大きくなる可能性があります。
信用取引には最低限維持しなければいけない保証金の水準があり、これを委託保証金維持率と言います。auカブコム証券では委託保証金率は30%なので、建玉の30%以上の保証金がないと新規で注文を出せなくなります。
また、含み損が大きくなり、最低保証金維持率(auカブコム証券では20%)を下回ると追加保証金、いわゆる追証が発生します。期限内に追証分を解消できない場合は強制決済が発動し、保有している建玉が全て決済されます。
これは相場が急変した際などに損失が拡大しすぎるのを防止するためのルールです。しかし、金融ショックをはじめとする相場の急変動が起きると、強制決済をしてもストップ高やストップ安で約定できず、損失が拡大してしまう可能性もあります。

また信用取引で株式を取引している間は、現物取引とは異なり金利や貸株料を支払う必要があります。
詳しくは「信用取引(制度・一般) 商品概要」のページをご覧ください。

信用取引ではリスクをしっかりと把握し、許容できる範囲で無理のない取引をすることが大切です。

項目 現物取引 信用取引
空売り ✕ 買いのみ 〇 買い売り両方
取引可能金額 資金の範囲内 担保金の約3.3倍
取引コスト 売買手数料 売買手数料の他
金利・貸株料等の諸経費
日計り取引 同日に同一銘柄の同一資金による取引は一往復まで 銘柄に関わらず制限なし
まとめ

信用取引のしくみ

  • 信用取引は証券会社等から資金や株式を借りて取引する
  • 信用取引を利用すれば資金以上の株式を取引可能
  • 売りから取引を始められるので下落相場でも利益を得られる可能性がある
  • 取引できる金額が大きい分、リスクも大きいので注意が必要
1 信用取引のルール
2 信用取引を始める
3 管理・決済
4 ステップアップ