信用取引の決済方法

信用取引の決済方法は建玉と逆の売買を行って決済する反対売買以外にも「品受(現引)」と「品渡(現渡)」と呼ばれる決済方法があります。

信用取引の決済方法

1. 返済(反対売買)とは

返済(反対売買)とは

保有している建玉と反対の売買をして決済する方法です。買い建玉は売り返済、売り建玉は買い返済を行って決済します。新規建てした時の株価と返済時の株価の差額が損益となります。

買い建玉であれば、売り返済時の株価が新規建てした時よりも上昇していれば利益になり、下落していれば損失となります。

売り建玉の場合は、買い返済時の株価が新規建てした時よりも下落していれば利益になり、上昇していれば損失となります。

2. 品受とは

品受とは

買い建玉を決済する際に、売り返済をせずに買い建玉の受渡金額を支払って現物株式として受け取る決済方法です。現引とも言われています。

💡 こういう時に使うと良い

  • 信用取引の返済期限を超えて長期保有しておきたい
  • 建玉として保有することで発生する金利や管理費などのコストを抑えたい

3. 品渡とは

品渡とは

売り建玉を決済する際に、買い返済をせずに売り建玉と同じ数量の現物株式を引き渡して、売り建てした時の株価から諸経費を引いた分の現金を受取る決済方法です。「現渡」とも言われています。

💡 こういう時に使うと良い

  • 株主優待狙いの投資家が値下がりリスクを減らすために行う「優待クロス取引」を行う時

📝 「優待クロス取引」(つなぎ売り)とは

クロス取引(つなぎ売り)とは、現物株式で保有した銘柄と同一銘柄かつ同じ数量を、信用取引で売建する取引手法。保有銘柄の値下がりリスクの軽減に使われます。予想通りに株価が下落したら買い戻すことで、現物銘柄の値下がり分の損失を少なくできます。また、株価が上昇した場合は、保有している現物株を品渡することで信用売りの損失も減少可能です。
「優待クロス取引」とは、このクロス取引(つなぎ売り)という手法を利用して、株主優待の取得を目的に、同じ銘柄を同じ株数で現物株式の買いと、信用取引の売建てを同時に同じ株数・同じ値段で取引することで株価の変動で損が生じるリスクを抑えながら株主優待を取得することを言います。

優待クロス取引の詳細はこちら

4. 信用取引 3つの決済方法とメリットや使い分け方

信用取引 3つの決済方法とメリットや使い分け方

信用取引の決済方法は3種類

  1. 保有している建玉と反対の売買を行う
  2. 買建玉は品受(現引)
  3. 売建玉は品渡(現渡)

それぞれメリットがあり、場面に応じて使いこなせるようになると、利益のチャンスを拡大できる可能性があります。

返済(反対売買) 保有している建玉と反対の売買を行って決済する方法
  • 買建玉は売り返済、売建玉は買い返済。
  • シンプルに建玉を返済する方法。
品受(現引) 代金を支払って信用買いの建玉を現物株式として引き取る決済方法
  • 現物株式で保有したい場合(株主優待や配当金を受け取りたい等)
  • 継続保有したいが返済期限が迫っている場合。
  • 建玉保有中のコストを削減したい場合(将来的な上昇を見込んでいる等)
品渡(現渡) 信用売りの建玉を現物株式を使って決済する方法
  • 同じ銘柄の現物株を保有しており現物株式と信用建玉を両方決済したい場合。
  • 優待クロス取引をする場合。

📝 「品受」と「品渡」は現物株式が関係します

  • 品受:信用買いした建玉の代金を支払い、現物株として受け取る決済方法
  • 品渡:信用売りの建玉と同じ銘柄の現物株を渡す決済方法

5. 信用取引の決済の方法

auカブコム証券における信用取引の決済の方法を解説していきます。

PCの場合

信用取引の決済の方法

auカブコム証券の口座にログインし、マイページの上部メニューから「お取引」にマウスカーソルを合わせ、「信用取引」欄の「返済注文」を選択します。

保有している銘柄の一覧が表示されるので、返済したい銘柄を選択し、取引欄の「返済」や「品受」「品渡」を選択します。

返済注文画面が表示されるので、返済数量や指値や逆指値などの執行条件、注文期限などを設定し、「確認画面へ」をクリックします。

確認画面で注文内容を確認し、問題なければ返済注文を発注しましょう。無事に約定すれば返済完了です。

スマートフォンの場合

スマートフォンの場合

右上のハンバーガーメニューをタップして資産管理欄の「残高照会(売却)」ボタンをタップ。次画面の上部で「信用」ボタンをタップすると、保有している銘柄の一覧が表示されるので、返済したい銘柄を選択し、取引欄の「返済」や「品受」「品渡」を選択します。

なお、「品受」は「品受可能額」の範囲内で可能です。可能額が不足している場合は、不足分の現金を追加入金する必要があります。

返済注文画面が表示されるので、返済数量や指値や逆指値などの執行条件、注文期限などを設定し、「確認画面へ」をクリックします。

確認画面で注文内容を確認し、問題なければ返済注文を発注しましょう。無事に約定すれば返済完了です。

まとめ

信用取引の決済方法

  • 信用取引の決済方法には「反対売買」「品受」「品渡」の3種類がある
  • 「反対売買」は建玉とは反対の売買を行い決済する方法
  • 「品受」は、買い建玉の金額分を支払って、買い建玉を現物株式として受け取る法
  • 「品渡」は、売り建玉を保有している現物株式を使って決済する方法
1 信用取引のルール
2 信用取引を始める
3 管理・決済
4 ステップアップ