信用取引のリスク管理(追証と維持率)

信用取引は、証券会社に担保を預ける代わりに資金や株式を借りて取引する仕組みです。
もし、預けている担保が不足してしまうと、取引を続けられなくなってしまいます。

📝 担保として預けている保証金の状態を把握しておくことが、信用取引を続けていくために重要な要素

ここでは、信用取引で一番重要とされている保証金維持率と、管理方法について解説していきます。

信用取引のリスク管理(追証と維持率)

1. 信用取引の保証金とは

信用取引の保証金とは

信用取引は、無条件で株式や資金を借りられるわけではなく、一定の資金や保有している株式を担保として証券会社に預ける必要があります。

その証券会社に預ける担保は「委託保証金」と呼ばれます。必要となる委託保証金は取引する金額によって異なり、auカブコム証券の場合、買い建玉と売り建玉を合算した金額の30%が必要です。

委託保証金が含み損などで一定水準を下回ると追加保証金(追証)が発生し、期限までに追加資金を入金しなければいけません。もし、期限までに追加保証金を入金しなければ、保有している建玉は全て決済されます。

1-1. 委託保証金

委託保証金

委託保証金とは、信用取引を行うために証券会社に預ける担保のことです。現金以外に、株式などの有価証券で代用も可能です。

委託保証金は、最低でも30万円以上が必要と定められています。
例えば、30万円を入金して信用取引を行い、含み損などで委託保証金が30万円以下になってしまうと、30万円以上になるように入金する必要があります。

信用取引で含み損が発生すると、委託保証金から含み損の分が差し引かれます。
委託保証金が30万円以下にならないようにしっかりと管理し、余裕を持った取引を心掛けましょう。

1-2. 委託保証金率

委託保証金率

委託保証金率とは、約定代金に対して必要な委託保証金の比率で、約定金額の30%以上が必要と定められています。auカブコム証券における信用取引に必要な委託保証金率も30%です。

なお、委託保証金率に関係なく、最低委託保証金の30万円は必ず入金する必要があります。

委託保証金が減少すると、委託保証金率も低下してしまいます。そのため、建玉の評価損が大きくなると委託保証金率が大幅に下落して追証になる可能性があります。相場状況には注意を払っておきましょう。

1-3. 最低保証金維持率

最低保証金維持率

信用取引において、建玉を維持するために必要な委託保証金の割合です。この最低保証金維持率を下回ってしまうと、追証が発生します。

最低保証金維持率は証券会社によって定められており、auカブコム証券の場合、20%以上の最低保証金維持率が必要です。

例えば、委託保証金が50万円で、約定代金が100万円の新規買建てをした場合、委託保証金率は50%です。そこから株価が下落して35万円の含み損が出た場合、委託保証金の50万円から含み損の35万円が拘束されます。

【保証金維持率の計算式】
保証金維持率 =(受入保証金合計 - 建玉評価損 - 諸経費等 + 決済損益 - 信用取引に係る立替金) × 100 / 建玉金額(50万円-35万円)×100÷100万円=15%

追証が発生すると、保証金維持率が20%以上になるまで入金する必要があります。

決済損や代用有価証券の買付等による「必要入金額」と、「追証金額」が同時に発生している場合、入金によって追証を解消するには「必要入金額」と「追証金額」をそれぞれ足し合わせた金額の入金が必要となります。

2. 保証金維持率の確認方法

保証金維持率の確認方法 pc 保証金維持率の確認方法 スマホアプリ

保証金維持率は「資産管理」で確認できます。

マイページ上部のメニューから「資産管理」→「買付出金可能額」を選択します。

余力情報の「維持率」欄で保証金維持率を確認できます。
なお、数値は前営業日基準の維持率になります。

3. 追加保証金について

追加保証金について

担保として預けている株式や投資信託が値下がりした場合や、信用取引で保有している建玉で含み損が発生した場合、保証金維持率が20%以下になる可能性があります。

保証金維持率が20%以下になったら、追加資金を入金して20%以上まで回復させる必要があります。それが追加保証金、いわゆる追証です。

📝 もし追証になった場合

➔ 期限内に必要な金額を入金しなければいけません。

auカブコム証券の場合、追証が発生すると、保証金維持率が20%に達するまで期限内に入金する必要があります。決済損や代用有価証券の買付等による「必要入金額」と、「追証金額」が同時に発生している場合、入金によって追証を解消するには「必要入金額」と「追証金額」をそれぞれ足し合わせた金額の入金が必要となります。期限内に入金されない場合、口座内全ての建玉が強制決済されます。

3-1. 追加保証金が発生した場合

追加保証金が発生した場合

追加保証金が発生した場合、解決方法は追加資金を入金する、建玉を決済するなどの方法があります。

auカブコム証券の場合、追証を解消する方法には以下の3つの手段があります。

  1. 追加資金を入金する
  2. 追加保証金以上の証券を代用有価証券に振り替える
  3. 信用取引の建玉を決済する

追証の解消方法は証券会社によって異なります。自身が取引している証券会社の条件を確認してみましょう。

3-2. 追加保証金の確認方法

追加保証金の確認方法 pc 追加保証金の確認方法 スマホアプリ

発生した追証の金額も「資産管理」で確認できます。
マイページ上部のメニューから「資産管理」→「買付出金可能額」を選択します。

必要入金額/追証金額の欄で確認できます。期限までに両方の金額がゼロになるまで入金する必要があります。なお、追証が発生した翌営業日に表示されます。

4. 保証金シミュレーターを活用しよう

保証金シミュレーターを活用しよう

auカブコム証券では、保証金維持率や出金可能額などを計算してくれるツール「保証金シミュレーター」をPCサイトで提供しています。

必要入金額や建玉可能額、証拠金維持率などを自動で計算してくれる便利なツールです。

新規建てする際に必要な保証金、100万円入金した場合の建玉可能額がいくらなのか、現在の株価からいくら下落したら追証が発生するのかなどをシミュレーションできます。

「保証金シミュレーター」は上部メニューの「お取引」→「信用取引」を選択します。

「保証金シミュレーター」をクリックすると表示されます。

銘柄や枚数などを入力すれば計算してくれます。

まとめ

信用取引のリスク管理(追証と維持率)

  • 信用取引では最低でも30万円の委託保証金が必要
  • 含み損が発生したら委託保証金から差し引かれる
  • 約定金額の30%以上の委託保証金が必要
  • 委託保証金率とは、約定代金に対する委託保証金の比率
  • 委託保証金率が20%以下になると追証が発生する
  • auカブコム証券では保証金維持率などを計算できる「保証金シミュレーター」を提供
1 信用取引のルール
2 信用取引を始める
3 管理・決済
4 ステップアップ