米国上場企業の破産:チャプターイレブンとセブンの違いと株式処理について解説 米国上場企業の破産:チャプターイレブンとセブンの違いと株式処理について解説

米国上場企業の破産:チャプターイレブンとセブンの違いと株式処理について解説

連邦破産法とは?

米国での景気減速が懸念されていますが、そうなると心配なのが、企業の業績悪化、そして企業破綻です。ここ最近では、シリコンバレー銀行の親会社であるSVBファイナンシャル・グループがチャプターイレブンによる破産申請を行いました。
チャプターイレブンとは、日本の民事再生法に似た再建型の企業倒産処理を規定した「米連邦破産法第11条」のことです。ちなみにこの法律は将来に備えた欠番も含めて15条までありますが、私たちがよく目にし、企業に適用される代表的なものには、チャプターイレブンのほか、第7条の「チャプターセブン」という条項もあり下表のような違いがあります。

<米国企業に適用される米連邦破産法の代表的なもの>

米国企業に適用される米連邦破産法の代表的なもの

※筆者が作成

米国では、いきなりチャプターセブンを適用する企業はほとんどなく、まずはチャプターイレブンを申請して経営再建にチャレンジし、チャプターイレブンに失敗した場合にチャプターセブンに移行することになります。

<米国にてチャプターイレブンの申請をした企業の一例>

米国にてチャプターイレブンの申請をした企業の一例

※筆者が作成
※破綻処理・経営再建情報は刻々と変わるため、最新情報をご確認ください。

破産企業の株式はどうなる?

では、この破産申請をした企業の株式はどうなるのでしょうか?
まず、チャプターセブンでは、会社の清算を規定しており、企業の継続はありませんので、上場廃止となり株の価値はゼロとなってしまいます。
廃止になる前に株式を売却して損を確定しましょう。損を確定しないまま保有していて株券が証券口座から出庫(出庫といっても実物の株券が受け取れるわけではありません)されてしまうと、損を確定できず、損益通算ができませんので注意が必要です。
とはいえ、なかなか買い手がつかず売却できない可能性もありますので注意が必要です。

<チャプターイレブン申請企業の取引制限画面の例>

チャプターイレブン申請企業の取引制限画面の例

チャプターイレブンの場合、100%減資でなければ、持っている株式の価値は理論上、ゼロにはなりません。上場廃止にならない可能性もあります。
ただ、企業再生のために、新たなスポンサー(引き受け企業)が出資をしますので、既存の株主の保有する株は100%減資とするのが通常です。これは株主責任を重視するため、これまでの経営の失敗は株式の出資範囲で責任を負うということを意味しています。
100%減資になると株式は強制的に償却されてしまいますので価値はゼロになり、株主の地位は消滅します。
100%の減資をせず、上場継続の可能性はゼロではありませんが、前例はほとんどありませんので、早めの株式売却が賢明でしょう。
また、チャプターイレブン申請の場合でも上場廃止となるケースが多いようです。

※auカブコム証券では取引がOTC市場に移行した場合には取引ルールに則って、原則としてすべて売却させていただきます。

髙木典子

髙木典子

合同会社HAL FP OFFICE代表

証券会社・銀行勤務を経て、ファイナンシャル・プランナーとして独立
個人のマネー相談だけでなく、大学の非常勤講師、専門学校・高校向けの授業、企業向けマネーセミナーや、PTA向けから子供向けおこづかい教室などのあらゆる世代の人たちに向けた金銭教育・投資教育を行い、中立公正な立場からお金についての知識を広げる活動を行っている。

保有資格
ファイナンシャル・プランナーCFP®
証券外務員
DCプランナー

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