海運業界各社の業績が好調です。コンテナ船の運賃が上昇していることで採算が改善していることなどが要因です。
コンテナは「定型の箱」のようなもので、日用品や工業製品、精密機器、加工済み食品など広範囲な荷物を積み込めます。
船にはこのほか、石炭や鉄鉱石などをそのまま積む「ばら積み船」、原油などを運ぶタンカーなどもあります。
海運業はとは、船を使って貨物や人を海上輸送する仕事です。特に貨物ではたくさんの荷物を一度に運べる船が主要な輸送ルートです。飛行機やクルマでは運ぶ量が限られます。
コンテナ船などの運賃が上昇したのは2020年初くらいからです。
新型コロナウイルス感染症の影響により世界の主要都市でロックダウンが実施され、人の往来が停止。
最大の消費地の米国などでは外国人に頼っていた港湾労働者が確保できずに、港湾物流が機能不全に陥る状況になりました。
一方、各国ではいわゆる「巣ごもり需要」でネット通販などの取り扱いが増加。
さらに中国がコロナ禍からいち早く立ち直ったことで、輸出入が復活したことで、コンテナの需給が世界的にひっ迫。
つれてコンテナ船の需要増で運賃が上昇するという構図です。
さらにロシアによるウクライナ侵攻でロシア向け貨物引き受けの停止なども重なりました。
こうした一連の状況を受けて、海運株の業績が改善し、株価も22年春にかけて大幅に上昇しました。
コンテナ船運賃は短期のスポット市況と、年単位の長期契約があります。
スポット価格は足元で下落基調ですが、需給の引き締まりの長期化をにらみ、長期契約が増加傾向にあるようです。
ばら積み船の運賃も比較的堅調です。船を作ろうとしても、短期間に造船することは困難といえます。
アナリストは「世界経済はコロナ禍からの回復基調にあり、荷動きは活発な状態が続く」とみていました。
海運企業は今後も要チェックといえそうです。
ただ、海運の世界大手はスイスに本社があるMSCグループやフランスのCMA―GCMですが、株式を上場していません。
また、同じく世界で名を馳せるA・P・モラー・マースクはデンマークの企業です。
そこで、今回は米国市場に上場している海運企業8社をピックアップしてみました。
米国海運関連8銘柄
ギリシャの海運会社。バラ積み船(ドライバルク・キャリア)を所有・運営。鉄鉱石、石炭などの運搬する大型バルク船、ボーキサイト(アルミナの原料となる鉱石)など向け小型バルク船を運航。
イスラエルの海運会社。世界の主要貿易ルートをカバーするグローバルネットワークに強み。海上コンテナ船や物流サービスを手掛けている。最古の輸送ライナー(指定港の定期運航)の一つ。ドライカーゴ(温度管理を必要としない通常貨物)、冷凍コンテナのほか、特大貨物など広範囲に展開。
ハワイに設立され、海洋貨物輸送キャリア事業を展開。持ち株会社。ハワイ、グアムの南太平洋やミクロネシア諸島などで、コンテナ船などを手掛けている。また、物流セグメントでは、複合一貫輸送サービスを行う。
ギリシャのコンテナ船企業。コンテナ船の運営を通して国際的な海上輸送サービスを展開している。60隻以上のコンテナ船を所有し、米国内外の運航会社に貸与するビジネスモデル。世界の海運大手が顧客。