東証インフラファンド市場とは?
東証インフラファンド市場とは、発電所、空港、道路、鉄道、石油パイプラインなど、社会基盤(インフラストラクチャー)等の資産を投資対象とする投資法人が上場するための市場で、東京証券取引所が2015年4月30日に開設したものです。
この市場に上場する投資法人をインフラファンドと呼びます。
2016年6月にタカラレーベン・インフラ投資法人が第1号として上場し、2022年1月末現在、7つの投資法人(ETF)が上場しています。
インフラファンドの収益源は、保有する設備の賃貸収入なので、比較的安定した収益が期待できます。
下図はインフラファンドの仕組みの例です。この例では投資家から集めた資金を元に太陽光発電設備などを購入、保有し、オペレーターといわれる実際に事業を運営する会社などに貸し出します。オペレーターは設備で発電した電力を電力会社に売電し売電料を受け取ります。インフラファンドはオペレーターに設備を貸すことで賃貸料を受け取り、その利益を投資家に分配金として支払います。
<インフラファンドの運用例(太陽光発電設備)>
図:筆者作成
インフラファンドの魅力の一つに高い分配金利回りがあります。
これは、配当等の額が配当可能利益の額の90%超であることなどの条件を満たすと法人税が非課税になることから、利益の大部分を分配金に回していることが大きな理由です。
インフラファンドの平均分配金利回りは5%を超えており、東証一部上場の単純株価平均配当金利回りの2.28%に比べると高い利回りであることがわかります(どちらも2022年1月の利回り)。
インフラファンドの注意点
高い利回りが魅力のインフラファンドですが、投資をする際には、注意点もあわせてチェックしておきましょう。
インフラファンドの代表的な注意点は次の3つです。
自然災害リスクがある
インフラファンドは、発電所や石油パイプラインなどのインフラ設備が投資対象のため、地震や台風などで設備が破損したりすることで、稼働できず収益が得られない、修復に費用がかかるなどの影響があった場合、分配金や一般の上場企業の株価にあたる投資口価格が下落する可能性があります。
現在の投資先の大部分が太陽光発電設備である
東証インフラファンド市場はさまざまなインフラ設備が対象となっていますが、現在上場している投資法人の保有設備の大部分が太陽光発電設備です。
太陽光発電などの再生可能エネルギーについては、現在、国が電力を高い価格で買い取っていますが、買い取り価格が減少した場合は、収入が減り、その結果インフラファンドの分配金も下がる可能性があります。
市場規模が小さい
前述の通り、現時点では上場している投資法人は7つだけで、1,000社以上が上場している東証一部などに比べると市場規模がまだまだ小さい状態にあります。市場規模が小さいと、売買が成立しない可能性が高くなるため、売却したい時に売却できない、問題が発生した時に大きく投資口価格が下落するなどの可能性があります。
インフラファンドは、銘柄数もまだ少なく知名度も低いのですが、高い利回りが魅力の投資対象です。
資産全体の成長性より、定期的になるべく多くの分配金を得たいと考えている人は、注意点で紹介したリスクがあることも考慮した上で、投資先の選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。
東証インフラファンドはETFですので、通常の株と同じようにauカブコム証券でお取引いただくことが可能です。
タカラレーベン・インフラ投資法人(9281)
いちごグリーンインフラ投資法人(9282)
日本再生可能エネルギーインフラ投資法人(9283)
カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人(9284)
東京インフラ・エネルギー投資法人日本再生可能エネルギーインフラ投資法人(9285)
エネクス・インフラ投資法人(9286)
ジャパン・インフラファンド投資法人(9287)