株主優待は、自社製品派? クオカード派?
東京証券取引所では2022年4月に、現在の5市場(東証1部・2部・JASDAQスタンダード・マザーズ・JASDAQグロース)から3市場の市場区分(プライム・スタンダード・グロース)へ見直しが予定されています。
目的は「国内外の多様な投資者から高い支持を得られる魅力的な現物市場を提供すること」と東京証券取引所による公表資料には記されています。
具体的には上場基準が改定されることになります。それにより様々な影響が想定されますが、企業が設けている株主優待制度にも変化が起きそうです。
2022年の見直しに向けて、昨年11月から東証1部に上場するための基準の改正が一部施行されています。その一つが、上場維持のために必要な株主数が2,000人以上から800人以上に減るというものです。
必要株主数が減少することにより、企業は上場維持のために株主数を躍起になって増やす必要がなくなります。そのため株主数を増やすために導入していた優待制度を廃止する企業が出てくるかもしれません。
特に、本業と関係のないクオカードを優待品としている企業は、制度を重要視していないという見方もでき、優待制度の廃止に動くかもしれません。
この機会に、自社製品を優待品として贈呈してくれる企業に注目してはいかがでしょうか。
春のお出かけ日和、株主優待をお供に
優待品を受け取る株主の立場としては、出資している企業の製品やサービスに触れることでさらに愛着が湧いてくるのではないでしょうか。
たとえば…
「TOTO(5332)」のお掃除に便利な“お手入れらくらくセット”で蛇口周りをピカピカにした後は、「富士フイルム(4901)」の“アスタリフト”でお肌のお手入れを。
「ウェザーニューズ(4825)」のアプリで今日のお天気をチェックしてから、「あさひ(3333)」の優待で購入した自転車で、途中「バルニバービ(3418)」が運営するアスリート食堂へ立ち寄りながらサイクリング…など。
このように、応援する企業の優待品に包まれた暮らしを楽しむことができます。
業種を分けて、暮らしの様々な場面で利用できるように組み合わせると、優待品で全身を包み、生活全般を優待品で満たすこともできます。
さらに、優待品の利用は、株主として、企業の製品を利用しながら品質確認や満足度をチェックするという意味も持っています。
<暮らしを楽しくする優待銘柄>
- ・権利確定月:株主優待の権利を取得する月。権利確定日の2営業日前(権利付最終売買日)の時点で、株式を保有していると優待や配当金を取得できます。
- ・適合性、有用性、正確性、完全性を保証するものではなく、あくまで考え方を参考にしていただくことを目的としたもので投資勧誘を意図するものではありません。
- ・優待表はauカブコム証券ログイン後画面の個別銘柄情報より(3月31日時点)
- ※2021年3月時点の内容です。実際の株主優待の詳細や最新情報は、各社ホームページでご確認ください。
執筆者:村松祐子
ファイナンシャルプランナー(CFP® 1級FP技能士)。金融・証券インストラクター。
1987年より、大手証券会社において外国株式の東京証券取引所上場に際し、販売促進に携わる。資料作成、および、顧客向け株式セミナー、社内勉強会の運営に従事。1990年より富裕層向け資産運用コンサルティングに従事したのち、 株式調査部に転籍、経済・株式の調査を経験、機関投資家向け週間マーケットレポートの作成に携わる。資産運用の相談、経済・市場調査の経験を踏まえ、それらを総括したサービスを提供するFPへ転身。現在、資産運用・株式投資の個人レクチャー、セミナーのほか、ライフ&マネープラン相談を実施している。一人ひとりに合った資産形成の提案には定評があり、自立した個人投資家の育成にも力を入れている。『FPコスモス』代表。