資産形成を有効にする「株主優待」投資
株式投資を始めるきっかけとして、株主優待に関心を持つ方は多いでしょう。
株価の値上がりや配当などによって利益を得るのとは違い、株主優待はその会社の商品やサービスを享受でき、また応援している会社の商品のことを知る機会にもなります。
資産形成とともに、優待品を毎月受け取ることができたらよいと思いませんか。
権利確定月を1月から12月までに分けて投資先を揃えることで、毎月優待品を受け取ることができます。
しかし、資産を上手に運用していくために注意しなければならないことは、たとえ株主優待が目的であっても、株価が高いときに買わないことです。
そのために、株価の水準が高いのか低いのかを判断する指標の一つであるRSI「Relative Strength Index/相対力指数」をチェックしてみてください。
RSIとは、過去一定期間の上げ幅(前日比)の合計を、同じ期間の上げ幅の合計と下げ幅の合計を足した数字で割って、100を掛けたものです。
数値は0~100%で表され、70%以上で買われすぎ(高い)、30%以下で売られすぎ(安い)と判断されます。RSIは1本の線で表されるわかりやすいグラフです。
他の指標も合わせて、株価の水準も気にしながら投資判断をしていきましょう。
優待品で暮らし豊かに
株主優待品の発送は、権利確定日の2~3ヵ月後に行われる場合が多く、権利確定月に届くわけではありません。
ここでは、権利確定月が1月から5月の業種の異なる5銘柄を並べてみました。
(銘柄情報をご覧になるにはログインが必要です。)
<1月>
スバル興業(9632)
サービス:東宝系。道路の維持清掃・補修が主力で受注堅調、公共事業依存度が高い。飲食店、マリーナ、不動産賃貸業も手掛ける。
<2月>
ベクトル(6058)
サービス:SNSなどネット媒体を得意とするPR会社。PR市場トップ。顧客の広報・マーケティング活動を支援する。商品PRに特化しアジア開拓意欲を示す。
<3月>
J-オイルミルズ(2613)
食料品:ホーネンと味の素製油の統合により誕生。業務用食料品シェア約4割。アジアなど海外展開に注力。コロナ禍で外食向けなど需要減の一方、原料価格の安定、家庭用の需要拡大によりしのいでいる。
<4月>
伊藤園(2593)
食料品:茶葉製品・緑茶飲料最大手。大規模茶産地育成事業を静岡に展開。傘下にタリーズコーヒー。巣ごもり需要で大型ペットボトル飲料は販売増。一方で自販機、コンビニの飲料が伸び悩み、タリーズ休業も響く。
<5月>
ツルハホールディングス(3391)
小売:ドラッグストア首位。北海道から九州まで展開。傘下にレデイ薬局、福太郎がある。食品や衛生商品などの好採算商品を軸に商品数の拡大を図る。
1月の権利確定月の2~3ヵ月後から、映画観賞券、電化製品、オリーブオイル、緑茶・ジュースに日用品などバラエティに富んだ優待品が続きます。
自分で使いきれない優待品があれば、友人を誘ったり、近所の方へプレゼントしたりと円滑な交友関係にも大いに役立ってくれます。
- ・権利確定月:株主優待の権利を取得する月。権利確定日の2営業日前(権利付最終売買日)の時点で、株式を保有していると優待や配当金を取得できます。
- ・適合性、有用性、正確性、完全性を保証するものではなく、あくまで考え方を参考にしていただくことを目的としたもので投資勧誘を意図するものではありません。
- ・四季報オンライン(2020年12月15日)より。
- ※2020年12月時点の内容です。実際の株主優待の詳細や最新情報は、各社ホームページでご確認ください。
執筆者:村松祐子
ファイナンシャルプランナー(CFP® 1級FP技能士)。金融・証券インストラクター。
1987年より、大手証券会社において外国株式の東京証券取引所上場に際し、販売促進に携わる。資料作成、および、顧客向け株式セミナー、社内勉強会の運営に従事。1990年より富裕層向け資産運用コンサルティングに従事したのち、 株式調査部に転籍、経済・株式の調査を経験、機関投資家向け週間マーケットレポートの作成に携わる。資産運用の相談、経済・市場調査の経験を踏まえ、それらを総括したサービスを提供するFPへ転身。現在、資産運用・株式投資の個人レクチャー、セミナーのほか、ライフ&マネープラン相談を実施している。一人ひとりに合った資産形成の提案には定評があり、自立した個人投資家の育成にも力を入れている。『FPコスモス』代表。