これから株式投資を始める方、株式投資のデイトレードを始めようと考えている方の中には、損失=勉強代と考えている方もいるのではないでしょうか。実際に取引を行うことは、書籍やネットの記事を読む以上の経験を得られるケースもあります。ただし、初心者のうちは、売買のタイミングや分析方法を大きく見誤り、損失を繰り返す可能性にも注意が必要です。
ここでは、株式投資初心者や未経験に向けて、損失と経験に関する注意点や対策についてご紹介していきます。
必ずしも損失=経験値とはいえない
株式投資に関する解説記事や書籍の中には、投資1年目で発生した損失=勉強代とする考え方もあります。
その理由の1つとしては、失敗しなければ投資の感覚を身に付けたり対策を立てたりできないからです。また、実際の取引とシミュレーションでは、メンタルが異なる可能性も考えることができます。
たとえばシミュレーションですと、いくら損失が膨らんでも1円も資金は減りませんので、冷静で積極的な取引を繰り返すことができます。しかし、実際の取引ですと自己資金が増えたり減ったりしますので、損失に対する不安感や焦りなどから売買タイミングを誤るケース可能性もあります。
ここで特に注意しなければいけないポイントは、やみくもに直感で売買を繰り返し、失敗しても成長につながらないリスクもあるという点です。
少なくとも手法や分析方法といった基礎的なルールを決めなければ、損失を出しても何がだめだったのか分析しようがありませんし、失敗を次に生かすことはできません。
株式投資の仕組みや注文方法を理解しているものの、何をどう考えて売買すればいいのか分からない時は、シミュレーションで手法を確立していくのも重要です。
シミュレーションで知識や手法を磨く
実際の取引で少しずつルールを決めたり手法を確立したりといった方法もありますが、試しに始めてみたい方や少額投資で頑張りたい方にとっては難しいやり方です。
ここでは、シミュレーションによる手法の磨き方を紹介します。
ペーパートレードで日々損益や手法などを細かく記録
ペーパートレードとは、文字通り紙に売買や売買の理由などを書きこみながら、仮想トレードを進める方法のことです。
以下のポイントを押さえることで、自分の欠点や何が良かったのか調べることができます。
・なぜその銘柄を購入(仮想)しようと思ったのか理由を書く
・買いと売りのタイミングや時間、その時の出来高といった市場の状況も記録しておく
・なぜそのタイミングで売買したのか、理由や分析に用いた指標も記録する
・損失や利益を記録し、1ヶ月の勝率や損益額を記録
・買い、売りの際の心境なども記録(欲張って持ち続けた、焦って売ってしまったなど)
ペーパートレードのメリットは、自己資金を減らすことなく取引のデータを集めることができる点です。
細かく記録すればするほど何が原因で損失を出してしまったのか、何がきっかけで勝率が上がったのか、データを基に考察できるようになります。また、理由や原因を突き詰めていくことで、「直感」や「何となく」といったあいまいな判断を抑えることができます。
一方ペーパートレードのデメリットは、緊張感を持ち続けるのが難しい点です。自己資金は減ったり増えたりしませんので、どうしても緊張感のない状態に陥ってしまうリスクもあります。
まずは、真剣かつ集中して取り組む姿勢を継続するのが大切です。
ペーパートレードで集中できない場合は、仮想トレードができるソフトやアプリもしくは、1つでも簡単な手法を確立した上で実際に取引を始めてみる方法も考えることができます。損失を極力出さない方向で知識や技術を磨くことも考えてみよう
株式投資では資金が減ることもあります。しかし、経験不足を原因とする大きな損失リスクを、無理に取る必要はありません。損失=勉強代と考えて、やみくもに投資を続ける方がハイリスクといえます。
自分に合った手法を見つけていない方や実際の取引で頭が真っ白になる場合は、シミュレーションで利益を積み重ねる方法を模索してみるのも大切です。
当コラムは投資の参考となる情報提供を目的としており、特定の銘柄等の勧誘、売買の推奨、相場動向等の保証等をおこなうものではありません。
また将来の株価または価値を保証するものではありません。投資の最終決定はご自身のご判断と責任で行ってください。詳しくは「ご注意事項」をご確認ください。
執筆者:菊地 祥
FP3級技能士、投資信託4年目、株式投資8年目。2018年からフリーランスとしてwebライティングやメディア運営を行っています。また、webライターとしては株式投資や投資信託などをやさしく解説。