おしえて神戸先生~人生100年時代をあなたはどう生きる?~
第三話 年金はリスクに強い金融商品です!
今回の「2000万円問題」で明らかになったのは、年金制度を正しく理解していない人が非常に多いということです。
公的年金は老後の生活資金のベースです。もらえる金額はある程度減ることがあっても、制度が破綻することがないように運営・管理されています。
「年金をもらえそうもないから年金保険料を払わない!」と言って公的年金に入りたくないという人もいるようですが、日本国内に居住する20歳以上は、国籍に関係なく、全員が自動的に国民年金の加入者となります。そして、国民年金の支給には税金も投入されているため、民間の年金保険への加入などと比べて、ずっと有利な仕組みだということを知っておきましょう。
年間の年金保険料196,920円(令和元年度)を40年間払い続けると、総額は7,876,800円になります。受取年金額は満額で780,100円(令和元年度)、65歳から受取りを開始すると、11年ほどで受取る総額は払込金額を上回ります。その後も亡くなるまでずっと受取り続けることができ、90歳まで受取るとすれば、総額は2,000万円近い金額となります。
それだけではなく、「国民年金保険」という名称の通り、年金は「保険」で、いくつかの「リスク」に備えることができます。すでにお話しした「老齢年金」で長生きリスク、「障害年金」で事故や病気のリスク、「遺族年金」で(大黒柱の)死亡リスクにもある程度備えることができるのです。民間の保険に入るとしたらこの保険料ではとてもすみません。長生きするほど受取総額が増え、いざという時の保障の機能もあると考えると、これほどおトクな金融商品はないといえるでしょう。可能ならば、私はもう1~2口入りたいくらいです。決して公的年金を軽視せず、しっかり加入してリタイア後の収入のベースを確保した上で資産形成を考えていきましょう!
支払保険料:
196,920円(令和元年度16,410円/月)×40年(加入期間20~60歳)=7,876,800円受取年金額:
(65歳以降76歳まで)11年×780,100円(令和元年度 老齢基礎年金)=8,581,100円!11年間以上受給すれば、受取年金額は支払保険料を上回る!
※この記事は2019年9月時点の内容です。実際の年金制度関しては関係機関にご確認ください。
神戸 孝(かんべ たかし)
FPアソシエイツ&コンサルティング代表取締役。三菱銀行、日興證券を経て、1999年FPアソシエイツ&コンサルティングを設立。CFP(サーティファイド・ファイナンシャル・プランナー)、早稲田大学ビジネス情報アカデミー講師、日本FP学会会員。日本FP協会理事、金融庁金融経済教育研究会メンバー、同金融審議会専門委員、同「家計の安定的な資産形成に関する有識者会議」委員などを歴任する。
資産運用に強いFPとして評価が高く、著書・執筆先多数。