自分の人生をデザインしてみよう
前回の第一話では、私も委員として参加していた金融審議会市場ワーキンググループのいわゆる「2000万円報告書」についてお話しました。「人生100年時代」ともいわれる超高齢社会を迎えるにあたり、将来に漠然とした不安を感じた方も多いでしょう。
今回からは「人生100年時代」には、どんな準備が必要なのかを考えてみましょう。 下の図は65歳になった人が特定の年齢まで生存する確率を示した表です。これを見ると、現在アラサーである1990年生まれ(2055年に65歳)については、男性の5人に2人、女性の3人に2人以上が90歳まで、さらに女性は5人に1人が100歳まで長生きするだろうという予測を示しています。60歳で定年退職すれば、「老後」が30~40年も続くことになります。 さらにショッキングなのは認知症問題です。2012年の65歳以上の認知症の人は約462万人で、約7人に1人ですが、2025年には約700万人前後まで増加し、65歳以上の約5人に1人が程度はさまざまでしょうが、認知症を発症すると推計されています。医療や介護の費用は当然ながら増大していくでしょう。
長寿に伴い、生きていくのにかかるお金が増えていきます。リタイア後に豊かな人生を送るためには、資産の寿命も伸ばさないとまずいと考えられるわけです。国民年金や厚生年金等の「公助」に加え、自分である程度の資産をつくる・育てる「自助」の重要性が増しています。できるだけ長く「働く」ことを考えたり、貯蓄に加えて「投資」を行うことでお金を育てることを考えるべきでしょう。そのために国も、企業に定年の延長や再雇用を促したり、米国や英国の「自助」の仕組みを参考にiDeCoやつみたてNISA等の制度を作り、後押しをしようとしているわけです。
私たちの行うべき第一歩は、公的年金について知ることでしょう。 その上で、老後を含めた自分の人生をデザインしてみてください。そして、自分で準備すべき資金がいくら程度になるのか、今からできることは何かを考えることをおすすめします。 次回は老後の生活資金のベースとなる年金についてお話ししましょう。
神戸 孝(かんべ たかし)
FPアソシエイツ&コンサルティング代表取締役。三菱銀行、日興證券を経て、1999年FPアソシエイツ&コンサルティングを設立。CFP(サーティファイド・ファイナンシャル・プランナー)、早稲田大学ビジネス情報アカデミー講師、日本FP学会会員。日本FP協会理事、金融庁金融経済教育研究会メンバー、同金融審議会専門委員、同「家計の安定的な資産形成に関する有識者会議」委員などを歴任する。
資産運用に強いFPとして評価が高く、著書・執筆先多数。
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