【特集】2021年をヨム/鈴木一之氏 【特集】2021年をヨム/鈴木一之氏

【特集】2021年をヨム/鈴木一之氏

鈴木一之です。ここでは2021年の株式市場を展望します。(2020年12月11執筆)
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2021年の予想レンジと注目銘柄

日経平均株価は2021年を通じて、高値は28,500円、安値は24,500円で推移すると予想します。
現在1.19倍の日経平均のPBRが、1.10倍~1.25倍の間で推移するというのがその根拠です。

日経平均のイメージとしては2020年と同じように、年前半に下押し局面が訪れて、年の後半に向けて次第に上昇に転じるというものを描いています。

注目銘柄としては、国土強靭化のライト工業(1926)、建設測量のシーティーエス(4345)、リチウムイオン電池材料の新日本電工(5563)、ポンプの荏原(6361)、再生可能エネルギーのイーレックス(9517)、です。

ライト工業(1926) 月足表示。2020年12月14日まで表示。
シーティーエス(4345) 月足表示。2020年12月14日まで表示。
新日本電工(5563) 月足表示。2020年12月14日まで表示。
荏原(6361) 月足表示。2020年12月14日まで表示。
イーレックス(9517) 月足表示。2020年12月14日まで表示。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響

2021年を考える上で、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を考えないわけにはまいりません。
20世紀初頭に大流行したスペインかぜ以来、100年ぶりに突きつけられた今回の「パンデミック」によって、全世界がほぼ同時に非連続的な変化の大波をまともに受けてしまいました。

人とモノとが国境を越えて自由に行きかうグローバルな今の時代にあって、人類と致死性の感染症との戦いはこの先も長く続くと考えざるを得なくなりました。

あらゆる点で2020年は特異な年となりました。
「ロックダウン(都市封鎖)」によってほとんどすべての国の経済は史上類を観ないほどの落ち込みを余儀なくされました。
実質GDPでは2020年は全世界が▲5%の落ち込みが避けられない模様です。

リーマン・ショック直後の2009年でさえ、GDPの落ち込み幅は▲0.1%ほどにとどまっていました。世界経済が受けた打撃が今回はいかに大きいかが見て取れます。

航空会社の国際便は現在もまだ、ほぼ全便にわたって運航停止の状態が続いています。
国境は閉ざされたままですが、それでもモノの移動は徐々に回復しています。ただし人の往来が再開されるにはまだしばらく時間がかかりそうです。

感染症に対抗するにはワクチンが必要です。
世界中で超法規的とも言えるようなスピードでワクチンの開発が進められ、通常、10年はかかるとされているものが、早くも年末には治験を終えて人体への接種が始まりました。

本格的に普及するのは2021年の春以降になる予定です。
しかし現実には開発までのスピードが速すぎることに市井の人々はかえって不安を抱いており、副作用を警戒して接種を望まない人も相当の数にのぼります。
本格的な集団免疫の獲得にはまだ当分、時間がかかりそうです。

12月初旬の時点における全世界の死亡者数は60万人に達しました。
最も被害の大きな米国だけでも20万人がなくなっています。
たいへんな数ですがまだしばらく増加傾向が続くと見られます。

日本でもコロナウィルスでは2,000人を超える方が亡くなりました。
何万人単位で犠牲になっている他国と比較すれば少ない方ですが、人の生死がかかっており数字の比較だけで単純に片付けられるものではありません。

1980年代から90年代にかけて、アフリカを中心に広まったHIV/エイズは全世界で3,400万人が亡くなりました。
100年前のスペインかぜでは5,000万人から1億人にのぼる死者が出たとされていますが、これは第一次世界大戦と重なっているため正確な数字はわかりません。

すでにコロナウイルスによる被害は、世界中では何十万人単位で広がっています。
これほどの人が亡くなる自然災害に遭遇すると、社会の価値観や行動様式は大きく変容します。

経済面では、物流が滞りサプライチェーンが断絶して工場での生産が停止されました。
生活上では飲食店、小売店が休業を余儀なくされ、閉店に追い込まれた店も急増しています。
ライブハウス、映画館、劇場などイベントは通常に戻るにはまだ時間がかかります。

移動が制限されたためにEコマースが急拡大し、ネットを利用する機会が一気に増えました。
高級品よりも生活に密着した日用品が売れています。
勤務先との関係では、テレワークやウェブ会議を取り入れる企業が急速に増え、それに伴って通勤にかかる経路や住まいを見直す動きも広がっています。

同時にテレワークでは置き換えにくい職種も浮かび上がっています。
人と人との触れあいが必要なサービス産業にそれは集中しています。雇い止め、早期退職、採用難に直面する人も少しずつ顕在化しています。

各国政府は失業者の増加を食い止めようと必死で給付金を支給していますが、徐々に失職する人の数が増えています。そうなると人々は生活防衛に走り、財布のひもはぎゅっと固く締めつけられます。

新型コロナウイルスがもたらした経済・社会の変化

誰も経験したことのないパンデミックという現象に直面して、それ以前にはなかった「経済・社会の変化」を見い出すことができます。それらを以下に挙げてみます。

  • (a)経済活動が一時的にストップしたため、環境汚染が世界中で減った
  • (b)AI(人工知能)の万能性が薄れた(コロナ禍のような非連続的な変化に弱い)
  • (c)中国の経済的な立ち上がりが非常に早かった
  • (d)逆に米国は弱かった
  • (e)日本はここでも安定度が(比較的)高かった
  • (f)財政赤字が世界中で巨額の水準に膨らんだ

この中から特に強調すべき点を抜き出してみます。

(a)経済活動が一時的にストップしたために大気汚染が減った

コロナ禍で各国政府が国民に行動の制限を課したことによって、地球温暖化ガスの排出が抑制され大気の状態が清浄になった、と2020年4月に国連環境計画が報告を出しました。

実際に衛星写真を見ても、中国やインドの一部地域では恒常的にスモッグの塊が上空に浮いていましたが、それが一時的でも消えてなくなりました。
タイのバンコクやインドネシアのジャカルタでも都市部のスモッグが取り払われました。

この事実は反対側から見れば、もしパリ協定などで目標とされる温暖化ガスの規制を計画どおりに実現しようとすれば、今春のコロナ禍と同程度の経済的な損失を覚悟しなければならない、ということになります。
それは現実的にはかなりむずかしい選択であり、環境問題の克服はかなりむずかしい道のりをたどることになります。

コロナ禍による経済の減速と、それに伴う大気汚染の減少はあくまで一時的なものであって、決して恒久的な状態と考えることはできません。
しかしそうは言っても、気候変動の原因とされる温暖化ガスの発生の度合いは、現実にはコロナ禍で減じています。

秋口になって工場の再開と人の移動が徐々に回復するにつれて、各国政府が相次いで環境規制の強化策を打ち出しているのは決して偶然ではないように思います。
コロナ禍と気候変動問題は表裏一体の関係にあると見るべきです。

どちらも全人類に対して害を及ぼす難問ですが、そのような簡単には解決策の見つからない二律背反の問題に直面して、少しでも解決に近づくために、コロナ問題が環境問題と直結して考えられるようになりつつあります。

各国から競うように温暖化ガスの削減に取り組むためのアイディアや政策が出されています。
2021年に向けてさらに新しいアイディアが続々と出てくるものと期待されます。

上記のリストから取り上げるべきもうひとつ、取り上げます。

(f)財政赤字が世界中で巨額の水準に膨らんだ

世界経済は回復途上にあり、政策上の支援策は今後も切れ目なく打ち出す必要があります。
頼みの綱は財政、金融政策です。

日本は今年度、安倍政権の下で2度の補正予算を組み、歳出総額を160兆円まで拡大させました。
菅政権に代わっても、さらに来年度予算において第3次補正予算を策定する構えです。
事業規模は73兆円に達すると見られています。
これで2020年度の国債発行額は過去最高の90兆円を上回ることになるのは間違いありません。

財政支出を拡大する必要性はどの国も同じです。
米国でも雇用を維持し企業の破綻を回避するために、財政支出を大幅に増やしました。
この結果、財政赤字はGDP比で6%から23%まで急上昇しています。

FRBは資産買い入れ額を増額して金利の上昇を抑え込んでいます。
FRBは2021年はおろか、2023年まで現在のゼロ金利政策を維持すると発表しました。

欧州も同様です。
財政収支に関しては最も厳しい態度のドイツでさえ、2020年はGDP比で10%を超える財政赤字を計上することになります。
世界の主要国が「低インフレ、低成長、低金利、債務膨張」という状況に陥っています。

これは現在の日本の置かれている状態と瓜二つです。
世界中の国が「日本化(ジャパニフィケ―ション)」に陥りつつあり、一日の長のある日本に、相対的な優位性が際立っている格好となっています。

問題は「出口戦略」です。
今の時点で無理をして発動させた各国の経済・財政政策が、将来的に功を奏して景気を回復に向かわせることができた場合、今度は危機対応で急増した政府債務や中央銀行の資産を圧縮する動きが出てくることになります。

その場合は、これまで株高による景気回復を支えてきた低金利、財政拡大の前提が崩れて、金利が急騰し為替市場も変動幅を広げるなど、マーケットの動向に一段と気をつけなければなりません。

コロナ危機が広がると経済が打撃を受け、危機を終息させると今度は金利が急上昇して債務リスクが増します。
前に進むにしても、うしろに戻るにしても、どちらもむずかしい局面に立たされています。
政府・中央銀行はその辺も十分に目配りをした上で、経済運営を進めてゆく必要があります。

2021年注目テーマ

2021年の株式市場で注目を集めそうなテーマを列挙します。

  • (1)脱炭素社会、グリーン・ディール、ESG投資
  • (2)デジタル化、DX(デジタルトランスフォーメーション)
  • (3)企業価値(無形資産、含み資産)、アクティビスト、TOB、MBO

(1)脱炭素社会、グリーン・ディール、ESG投資

先述したように、コロナウイルス対策と気候変動問題は表裏一体の関係にあります。
地球環境問題への取り組みはあと戻りすることはありません。

日本は菅政権になって「2050年の温暖化ガスの実質排出ゼロ」の目標をはっきりと打ち出しました。
経済産業省は2030年代にガソリン車の新車販売をゼロにすることを検討しています。

東京都も2030年にガソリン車の新車販売をゼロにする目標を独自に打ち出しており、電気自動車(EV)の急速充電器の設置基準を緩和する方針です。

同じく水素エネルギーの利用をこれまで以上に前面に打ち出す政策も模索しています。
2030年には国内での水素の利用量を、従来の目標である30万トンから1,000万トンに引き上げることも検討されています。

先行するのは環境問題に厳しい欧州で、2050年にEU域内の温暖化ガスの排出を実質ゼロにする目標を掲げました。
EVや燃料電池車などエコカーを、2030年までに少なくとも3,000万台普及させる目標を打ち出しました。

現在、欧州で走行しているEVは100万台ほどで、それがここから30倍に拡大することになります。
3,000万台が実現すれば、2030年の時点でEUの乗用車の15%がエコカーに切り替わることになります。

燃料電池車で先行するトヨタ自動車(7203)は、EV、ハイブリッド車とラインナップを強化して開発を急ぎます。
ホンダ(7267)も今年9月にGMと戦略的な提携を交わし、エコカーに経営資源を集中させています。

トヨタ自動車(7203) 月足表示。2020年12月14日まで表示。
ホンダ(7267) 月足表示。2020年12月14日まで表示。

注目されるのは企業間の関係です。
トヨタ系のデンソー(6902)アイシン精機(7259)ジェイテクト(6473)は2019年に自動運転を統御するソフトウェア会社を設立しました。
米中間の対立やコロナ禍で打撃を受けやすいサプライチェーンの再構築も含めて、グループ再編、業界再編が始まっています。

デンソー(6902) 月足表示。2020年12月14日まで表示。

自動車メーカーや自動車部品メーカーだけでなく、水素エネルギーに重点を置く岩谷産業(8088)、LNG・水素ブラントに強い川崎重工(7012)三菱重工業(7011)千代田化工建設(6366)、および三井物産(8031)住友商事(8053)など総合商社にも大きな商機が広がりつつあります。

岩谷産業(8088) 月足表示。2020年12月14日まで表示。

(2)デジタル化、DX(デジタルトランスフォーメーション)

社会のあらゆる分野でデジタル化の流れが加速しています。
わかりやすいのがネット通販です。

感染拡大を防ぐために外出を控える要請がたびたび出されたことでネット通販が急拡大し、物流各社は物流センターのロボット化、自動搬出・仕分けの仕組みを構築しています。

中小の小売店ではこれまでネット通販にはコストがかかると消極的でした。
しかし今後はEコマースに頼らざるを得ないところが増えています。
実際にネット通販は2019年に19兆円を越え、前年比+7.7%拡大しました。
物品の販売も初めて10兆円を超えました。コロナ禍によって今年はこの数字がさらに増えているものと考えられます。

小売や流通業界は従来からネットに非常に親しみやすいとされていた分野です。
それが今年に入ってコロナ禍によって従来以上にEコマースへの取り組みが必要とされています。
まだまだ改良の余地はあるということでしょうか。

流通業界ですらこのような状況ですから、他の分野は推して知るべきです。
医療、不動産、建設、教育、行政など、従来まではネットに移りにくいとされていた分野でも、今後はネットの利用が拡大せざるを得ないと見られます。

政府は2021年に「デジタル庁」を創設する方針を掲げています。
これを受けて金融庁は、銀行や保険、証券会社など金融機関に対して、申請書類や届け出書をすべてオンラインに移行するように求めました。
金融機関は顧客とのやりとりをすべて電子化する方向で取り組んでいます。

社会のデジタル化は世界全体の流れです。
しかし日本は、行政をはじめデジタル化に遅れをとっています。
その原因を探るとソフトウェア投資の軽視が浮かびあがります。

一般に日本の企業経営者は長年にわたって、ソフトウェア投資は直接には利益を生まない、との考えに縛られてきました。
人事異動の一環で経営トップに就くことの多い歴代の企業経営者は、ソフトウェア投資は単なる経費と見なす傾向が強く、戦略的な取り組みは後回しにされがちでした。

自分の代では経費としてのソフトウェア投資に資金を出さず、それが結果的にデジタル化が先送りされる原因となりました。
2000年代はじめにインターネット革命が起こり、その時期に本気でインターネットを事業の中核に取り入れようとした企業は少数派だったと見られます。

日本の不幸は、2000年代の重要な時期に不良債権処理やバブルの後始末、リストラに忙殺される時期だったことです。
本業部分の立て直しや事業の統廃合が優先されたという事情もあります。

中小企業だけでなく大企業でもソフトウェア投資には特段の意識を払ってこなかった可能性があります。
しかし時代は変わりました。
モノづくりを含めて、ソフトウェアが重視される世の中になりました。

日本人はひとたび方向性が定まると、そちらの向きに一気に走り出す習性が強いようなところがあります。
今後はあらゆる分野でデジタル化の流れが一段と加速してゆくことは間違いありません。

ソフトウェアの開発に定評のあるCTC(4739)NRI(4307)日鉄ソリューションズ(2327)日本ユニシス(8056)ネットワンシステムズ(7518)サイボウズ(4776)ラクス(3923)などを中心に、広い分野で関連する企業が注目されてゆくと見られます。

CTC(4739) 月足表示。2020年12月14日まで表示。
NRI(4307) 月足表示。2020年12月14日まで表示。

(3)企業価値(無形資産、含み資産)、アクティビスト、TOB、MBO

2020年は株式市場や債券市場の役割がこれまでになく高まった年でもあります。

中央銀行の金融政策は株価や金利の反応を注視しながら行われます。
一国の政府の人気ぶりは株価が示しているともされており、それだけに政治家は世論調査とともに株価の動きを気にします。

その株式市場の役割として一段と注目度が高まっているのが、企業の価値発見機能です。株価が低迷する企業の中から価値あるものを見つけ出そうという機運が従来になく強まっているようにも感じられます。
特に日本の株式市場にはその傾向が強く見られます。

米国の株式市場が史上最高値にのぼりつめている時だけに、世界の趨勢から遅れをとっている日本の株式市場が注目されるのかもしれません。

アクティビスト(物言う株主)を中心に、投資マネーのほんの一部が流れ込むだけで株価を大きく押し上げるには十分なインパクトをもたらします。

象徴的な出来事が、昨年(2019年)起こりました。
ユニゾホールディングスを巡る買収合戦です。

ユニゾHDは旧社名は「常和不動産」で、元は日本興業銀行の直系の不動産会社です。
東京都心部に優良物件を多数保有していましたが、安定株主の持ち株が低下して資本構成が不安定となり、2019年7月に大株主だったエイチ・アイ・エスが敵対的TOBを仕掛けました。

このTOBによってユニゾの企業価値に気づいた海外の投資ファンド、アクティビスト(エリオット・マネジメントやフォートレス・インベストメント、ブラックストーンなど)が次々と現れて、TOB価格を引き上げてユニゾの買収合戦に拍車がかかりました。

最終的にはユニゾの従業員による買収が実現して、株式を非公開化する道を選びました。
この過程でユニゾの株価は上昇を続け、結果的に投資ファンドはかなりの額の値上がり益を獲得しました。
この件をきっかけに、保有する不動産や現預金などの資産価値に着目した割安企業を発掘する動きが加速しているように見られます。

ホームセンターの島忠(8184)に対して、同業のDCMホールディングス(3050)が4200円で友好的なTOBを発表しました。その直後に今度はニトリホールディングス(9843)が5500円で敵対的TOBを行う意思を表明し、最終的には島忠はニトリの傘下に収まりました。

島忠(8184) 月足表示。2020年12月14日まで表示。

NTT(9432)は子会社のNTTドコモ(9437)をTOBによって完全子会社としました。
総額で4兆円を超えるわが国最大の買収案件となりました。これによってNTTドコモは非上場化することとなりました。

NTT(9432) 月足表示。2020年12月14日まで表示。

東京ドーム(9681)は名うてのアクティビストであるオアシス・マネジメントが大株主となって以来、経営合理化や取締役人事の改革を要求され続け、頭を痛めてきました。
それに対して三井不動産(8801)が友好的なTOBを実施すると名乗りを上げ、オアシス・マネジメントもその案に同意して株式を売却する交渉に入りました。

東京ドーム(9681) 月足表示。2020年12月14日まで表示。

これらの事例を見るにつけ、日本企業の中に眠っている経営資源、現預金を含めた保有資産の価値が増していると考えられます。
同時にそれらの価値を見つけられる目を持ったアクティビストの活躍余地も広がっています。

外部からTOBを仕掛けられた企業の中には、企業防衛のために上場廃止を検討したり、不本意ながら資産を切り売りしたり、あるいは他社に売却されたりする企業が出てくることでしょう。
根底にあるのは「日本企業は割安である」という点です。

30年近くに及ぶデフレが続いた結果、世界との比較でみると日本企業が割安なケースが多々見られます。コロナ危機が起こるまで非常に活発化していたインバウンド消費(訪日外国人客)の急増も、海外との物価の比較で日本は安いことが根底にあるとされています。

このことは株価にもあてはまります。
自己資本比率が高く割安、という島忠と似たような財務構造を持つ上場企業には、天馬(7958)島精機(6222)デンヨー(6517)日本電気硝子(5214)東京エネシス(1945)などがあります。

天馬(7958) 月足表示。2020年12月14日まで表示。
島精機(6222) 月足表示。2020年12月14日まで表示。

この世に変わらないものはありません。市場の波乱はこの先も幾度も経験することになるかもしれませんが、企業の価値に着目する投資家の存在は変わりません。
2021年もそのような企業、銘柄をたくさん見つけ出してゆきたいものです。

以上

鈴木一之

鈴木一之

株式アナリスト

1961年生。1983年千葉大学卒、大和証券に入社。
1987年に株式トレーディング室に配属。
2000年よりインフォストックスドットコム、日本株チーフアナリスト
2007年より独立、現在に至る。
相場を景気循環論でとらえるシクリカル投資法を展開。

主な著書
「賢者に学ぶ 有望株の選び方」(2019年7月、日本経済新聞出版)
きっちりコツコツ株で稼ぐ 中期投資のすすめ」(2013年7月、日本経済新聞出版社)

主な出演番組
「東京マーケットワイド」(東京MXテレビ、水曜日、木曜日)
「マーケット・アナライズplus+」(BS12トゥエルビ、土曜13:00~13:45)
「マーケットプレス」(ラジオNIKKEI、月曜日)

公式HP
http://www.suzukikazuyuki.com/
Twitterアカウント
@suzukazu_tokyo

呼びかける時は「スズカズ」、「スズカズさん」と呼んでください。

鈴木一之の「HOTな銘柄、COOLな銘柄」
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2021年をヨム

当コラムは投資の参考となる情報提供を目的としており、特定の銘柄等の勧誘、売買の推奨、相場動向等の保証等をおこなうものではありません。
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