株のデイトレードで戦略上重要なことは
株式市場で1日のうちに同一銘柄を反対売買し、短期的な価格変動を利用して利益を得る手法のことを、「デイトレード(デイトレ)」と言います。
デイトレードを検討している方は、経験やミクロな視点での戦略も取り入れることが大切です。
ここでは、デイトレードにおける寄り付き前後の考え方や準備について、投資経験も盛り込みながら解説していきます。
デイトレードで必ずチェックしたい「寄り付き」とは?
デイトレードにおいて、「寄り付き」の値動きをチェックすることは重要です。
寄り付きとは、株式市場が開いた後、最初に成立した取引のことを指します。
この寄り付きの価格のことを「始値(はじめね)」と言い、その日の株式市場の動向を表す重要な指標の一つと見ることも可能です。
デイトレードにおいて寄り付きが重要な理由は、以下の通りです。
・価格変動の大きさ:
寄り付き直後は、前日のニュースや経済指標の影響で価格が大きく動くことが多く、短期的な利益を狙うチャンスが多いです。
・流動性の高さ:
寄り付き時は取引量が多く、売買が活発に行われるため、希望する価格で取引が成立しやすいです。
・市場の方向性の確認:
寄り付きの動きを見ることで、その日の市場全体のトレンドや個別銘柄の動向を把握しやすくなります。
これらの要因から、デイトレードを検討している人にとって、寄り付きは非常に重要な時間帯となると言えます。
前日に候補銘柄や市場のチェック
デイトレードを行う時は、前日中に候補銘柄を探したり、市場について調べたりします。
対象銘柄が米国株式の場合は、米国市場について調べる必要があります。
関連指数の動向や取引する市場の流れ(上昇か下落か大まかに確認)も確認しながら全体の動向を確認し、さらに自身で設定した条件に当てはまる銘柄をいくつかピックアップしていきます。
平日中の場合は当日の引け後に出てくる出来高ランキングや個別銘柄の値動き、取引に関連する指数などを確認します。
人によって考え方は異なりますが、例えば以下のような視点で情報収集します。
・出来高:
出来高の多い状況が続いている場合、少なくとも翌日の資金流入も期待できるため寄り付きで大きく動く可能性もあると考える
・過去の値動き:
過去の寄り付き直後ではどれだけ変動するか確認し、利益率や下落時の含み損を想定
・取引に関連する指数(東証グロース市場250指数など):
地合いを判断するために確認
個別銘柄の情報収集については出来高や1日の値動きのほか、買い気配値と売り気配値の差や1tick(注文できる最小単位)の設定なども総合的に見ながら、候補に入れるか検討します。
たとえば10万円や20万円といった少額資金でデイトレードを始める場合、1tick1円刻みで注文できる銘柄や気配値の差が少ない銘柄から検討してみるのも大切です。
買い気配値と売り気配の差が大きい銘柄や、1tick10円単位といった銘柄ですと、ロスカット率1%でも資金の多くを失うリスクもあります。
また、数tick動いただけで5,000円や8,000円といった含み益になると同時に、含み損の可能性もあるので少額資金では対応の難しい銘柄といえるでしょう。
寄り付き前の8時台に候補銘柄を絞る
寄り付き1時間前の8時台に入った時は、前日にいくつかピックアップした銘柄の気配値も確認しながら、当日朝に配信されている市場の動向や指標関連のニュースも確認します。
なお、寄り付き前の段階では、機関投資家などが発注とキャンセルを繰り返す傾向もあるため、買いと売りどちらの気配値も10円や100円以上動く傾向です。
つまり寄り付き前に注文を入れてしまうと、思わぬ損失リスクを負う可能性もあり要注意です。
例
・前営業日の終値95円
・朝8時30分:買い気配値200円1万株
・朝8時55分:買い気配値100円1万株
上記のように寄り付き前は気配値が大きく変わるので、寄り付き直後(9時00分)の株価で判断してみるのもいいでしょう。
他には寄り付き前に1万株や5万株など、非常に大きな注文も入っている銘柄では、寄付きで大きな値動きとなる可能性も考えられるので、売買を検討する余地があります。
ただし、買い板に大きな注文が入っているからといって値上がりするとは限りません。
可能であれば板読みに関する勉強も始めてみてはいかがでしょうか。
板読みでは、気配値や注文数量をはじめ投資家の心理も考えながら、どのように株価が動くか分析します。
寄り付きでの注文方法
機関投資家や多くの個人投資家が注目している銘柄では、寄り付き直後の数秒~1分程度で数10円~100円程度まで上下することもあり、指値を入れている間に何度も上昇から下落、下落から上昇に転じるケースも珍しくありません。
これでは慎重にチャートと板を読み込んで指値注文を入れても、寄り付き直後の大きな値動きが終わった後に約定してしまうリスクもあります。
そこで寄付きでは、流れを瞬時に読み取り成行で売買するという戦略も考えてみましょう。
成行で買い注文を入れた場合は、買い側にとって最も高い値段で(売り気配値の最も安い価格)約定します。
割高な約定価格となってしまいますが、1秒程度で数円以上上下する寄り付き直後ではスピード感も大切です。
成行注文の場合1~10tick程含み損スタートのケースが多いものの、狙った価格帯およびタイミングで買い・売り約定できる可能性もあります。
特に急騰相場の場合は、素早く利益確定しなければ1秒後に急落してしまうリスクもあり、成り行き注文は使いやすい注文方法といえるでしょう。
また、スピードを意識した成り行き注文を行いたい時は、1クリックで発注できる取引ツールも準備しておくといいでしょう。
寄り付きでは成り行き注文も考えてみる
寄り付き直後は、比較的値動きの大きい傾向です。
また、デイトレード向きの相場ともいえますが、荒い値動きのため指値注文を入れている間に急落することもあり得ます。
成り行き注文はスピーディに約定できるので、数秒単位の上昇時にも売り抜く可能性を高められます。
一方成行での買い直後に急落する可能性もあるので、リスクも理解した上で売買の判断を行いましょう。
デイトレードは知識だけでなくスピード感と経験、メンタルコントロールなども大切です。
当コラムは投資の参考となる情報提供を目的としており、特定の銘柄等の勧誘、売買の推奨、相場動向等の保証等をおこなうものではありません。
また将来の株価または価値を保証するものではありません。投資の最終決定はご自身のご判断と責任で行ってください。詳しくは「ご注意事項」をご確認ください。

執筆者:菊地 祥
FP3級技能士、投資信託4年目、株式投資8年目。2018年からフリーランスとしてwebライティングやメディア運営を行っています。また、webライターとしては株式投資や投資信託などをやさしく解説。