10月4日は「10(とう)」と「4(し)」の語呂合わせから日本証券業協会で「投資の日」と定めています。
今年は新型コロナウィルスの影響で各社の投資の日のイベント等は行われないかと思いますが、当社ではアナリスト達に「投資の日」にかけて自身の実体験から投資への考え、投資は好きか?等を自由に語ってもらいました。まだ投資を始めたことがない方も、既に投資を始めている方も、皆さんの投資哲学の構築や投資意欲への後押しになればと思います。
また皆さんと実際にお会いして、投資への熱い思いを語り合える日が来ますように。最後にアンケートを載せていますので、是非編集部へ皆さんの考えや投資実体験もお寄せくださいね。
川上雅人
auカブコム証券 ファンドアナリスト
中堅証券会社にて日本株アナリストとして2年半経験。大手運用会社で18年間、投資信託のマーケティング業務に従事。2019年11月、カブドットコム証券(auカブコム証券)に入社し、ファンドアナリストとして投資信託、ETF等の情報提供を担当。投資信託を投資家目線でわかりやすく解説することを目指すとともに、投資信託の情報をもとにした投資アイデアを提供。
投資の日といってもファンドアナリストである私も正直、いつから投資を始めたのかはっきり覚えていません。社会人となり投資をはじめたものの、それは短期的な視点での投資だったのではないかと記憶しています。
そのようななかで良かったことは、30歳過ぎに始まった会社の確定拠出年金で投資信託の積立投資をはじめたことです。リーマンショックで積み立てた資産は一時的に下落したものの、その後も継続投資したことによりマーケットの上昇で、投資成果を上げていることがあります。
投資を始めるきっかけは人それぞれだと思います。若いうちからNISAなど非課税制度を使って、例えば投資信託で積立投資を始めてみる。これが理想なのかもしれませんが、なかなかきっかけをつかめずに踏み切れないという方も多いのではないかと思います。
ただ、私の実体験からやるべきことは、将来に向けてスタートは投資ではなくてもいいので、預金などで積立を始めてみること、それを人生のイベントを理由に止めずに継続することではないかと思います。会社の給与天引き制度を使うのもいいですし、強制的にそのような環境を作ることだと思います。そして一定程度、資産がたまってから投資を始めることでも良いでしょう。一定程度資産がたまってからの投資は真剣度合いが違い、新たな自分を発見することが出来るかもしれません。人生100年時代ですので、それぞれのステージにあった自分なりの投資手法をあせらずにゆっくり見つけてください。その答えは人によって異なると考えています。
投資信託に関して言えば、昔よりも今の方が、税制面でも、コスト面でも、商品ラインアップの面でも、投資を始めるには、はるかに恵まれている環境といえるでしょう。個別の企業を選んで応援するという株式投資も魅力的ですが、比較的少ない準備で手間をかけずに平均的な投資成果を享受できるといえるのが投資信託です。
投資の日、どんな形であれ、あなたの投資の第一歩を応援したいと思います。
山田勉
auカブコム証券 マーケットアナリスト
準大手証券にてディーラー、マーケットメイカー、マーケットアナリストとして十数年活躍。2004年5月、カブドットコム証券(auカブコム証券)入社。『こちカブ』(ラジオNIKKEI)『まーけっとNavi』(日テレNEWS24)『マーケットホットライン』(ストックボイス)などに出演。
デフレ脱却と成長経済復帰で「日本を取り戻す」のが悲願。
証券マンとしては31年目、投資家としては34年目の山田です。
バブル崩壊と低成長デフレ、リーマンショック、厳しい時代の方が長かったが、幸いなことにこの8年、アベノミクスラリーで折り返した、お蔭様で収穫期。一 財産築いたなんて無粋なことは云わないが、今日、それなりに不自由なく暮らせてるのは全く株のお蔭。株が無ければ生計はもっとタイトだったろうし、芝居や温泉巡りももっと財布に制約された筈、それ以上に退屈すぎて、生きていられなかったんじゃないかとすら思う。
右肩下がりの相場が長過ぎた所為で、「株は買いもちにするもんじゃありません」
賢しら顔に云う証券マンしか生き残らなかった。そんな業界を苦々しく思いながら、「株は買い持ちにするもんじゃ」「金融資産の一定部分は株式で持つべきだ」云い続けた。平成の30年間、特に97年の山一ショック以降、日本経済は「株主資本主義」に完全に切り替わった。株式を保有し配当を受け取らないと、成長の恩恵には与れない。アベノミクスの恩恵も大方、株主に偏っていよう。株主だけが報われるので良いのか?は勿論、そんな筈はないが、株式保有の値打ちは劇的に上がった。
株式投資というと「デイトレーダー」みたくアクロバティックに売買を繰り返し、あっという間に大金持ち、みたいなイメージがまだ強いのかも知れないが、10年20年30年計画で、ムリ・ムダ・ムラなくノンビリ資産形成しませんか?って感じ。
多分、ごく普通のサラリーマンが「億り人」になるには株式投資をおいて他に方法は無いと思う。「長期、分散、積み立て」のドルコスト平均法、「配当の再投資」で複利を味方に付ける、企業の大出世・大化けに出資する、ある意味「青田買い」のようなテンバガー投資。そういう手法を色々試して、経験値を上げ、自分に合うやり方はどれなのか?を追求し、「あなたならではの投資人生」を堂々歩んで欲しいと願う。
平成の30年間、世界経済は2倍3倍となる中、ほとんど日本経済は成長できなかった。世界並みに普通の成長経済、普通のインフレ経済を取り戻すだけで、史上最高値奪回など飛躍期を迎える可能性がある。平成恐慌を脱して令和の繁栄へ、が皆の願い。
株主として参加しませんか?それが現役世代の責任であり、次代将来へのコミットだと思う。
河合達憲
auカブコム証券 チーフストラテジスト
近畿大学大学院・博士前期課程修了。日本で数少ない証券専攻修士号のマスター称号を有する。中堅証券調査部にて調査・情報畑一筋で20数年来、企業調査や投資戦略、投資手法などのストラテジー構築に従事。ファンダメンタルとテクニカルを融合した投資分析を実践しており、各種マネー誌や月刊宝島、夕刊フジ等の銘柄推奨コンペティションでの優勝など各賞を多数受賞した実績により推奨銘柄の的中率の高さは実証済み。マクロ分析から個別銘柄までトップダウンアプローチでの分析力も定評。近著『9割の人が株で勝てない本当の理由』(扶桑社)、最新刊『株の五輪書』(マガジンハウス)など著書多数。毎週火曜夜のkabu.comストラテジーセミナーが大人気を博し、TV・ラジオにも多数のレギュラー出演する傍ら、2013年より大阪国際大学、および大阪国際大学短期大学部にて大学講師としても登壇中。
最新の心理学面からのアプローチの指摘は「承認欲求依存症」だ。現代人の多くがこの承認欲求に支配されて行動しているという。この分野は小職の現在の業務にも直結しているので、研究対象として深耕している。この承認欲求依存症という現代人特有のシンドロームは、本人がその依存症であることを自覚していないことが最も危険であるということだ。SNSの浸透や出会い系サイトの流行が同依存症を助長させたことはいうまでもない。
SNSや出会い系サイトでは、不特定多数の人達から数多くのいいねをもらうことで、自己の社会的存在価値の欲求を満たし、依存症を患っているという。インスタで「映えるぅ」とリア充自慢をアップして、いいねを稼ぐアレだ。既に年遅れだが、タビオカミルクティや、ナイトプールでパシャパシャ画像や、高級フレンチ画像をアップして、ことさらのリア充自慢をするあのことだ。「インスタ映え」は2017年の流行語大賞にもなったし、多くのインスタグラマーを排出し、「文化に昇華している」と言ってもよいだろう。
さて、なぜこの最新の心理学を冒頭に書いたかと言うと、その心理学研究に自身の分析を加えると、投資家はこの「承認欲求依存症」に陥り易いのではないかということだ。仮に、いいねボタンを押して「承認する」という行動を、株式に投資するという行動に置き換えると分かり易い。株価が上昇するということは、多くの投資家が当該企業にいいねボタンを押して「承認」ということになるからだ。
多くの投資家が「承認」する前に、当該企業に投資していたら「それみろ、思った通りだ」と自身がいち早く承認ボタンを押していたから、株価上昇の果実を得ることができるのだ。つまり、投資を行い株価上昇によるパフォーマンスを獲得するという果実は、もちろん実利において嬉しい。しかし、実利もさることながら、自身が誰よりもいち早く「承認」し、その承認が多くの人が承認したから株価上昇はある。その快感を実利と同じくらい得ているのが株式投資家だ。その快感は、「もっともっと」を求めることに繋がる。
よって、投資家は形を変えた「承認欲求依存症」に陥りやすいのではないかという仮説が浮かぶのである。
2002年アメリカのカーネマン教授は『行動経済学と実験経済学という新研究分野の開拓』でノーベル経済学賞を授賞された。それは、株式投資家はごく身近な情報からごく短期的な投資行動を起こす群集心理を解明したことが主旨であるが、そこから途端に、ウォール街には様々な「心理学」の書籍が並んだ。小職も同書はもちろん様々な心理学からアプローチした分析書を読み漁った。ある年は、中東の文化やイスラム教の書籍を貪り読んだ。最近では2014年のピケティの著書『21世紀の資本』はアメリカでは2014年春の発売以降、半年で50万部のベストセラーとなった。その後、世界に翻訳書が出版され、小職も翻訳書や関連分析書を読み漁った。
お蔭様で、年を重ねる毎に知的好奇心のファイルの引き出しがどんどん増殖していく。
小職の脳内ハードディスクには、あるものは「上書き保存」されて消えてしまうものもあれば、「名前をつけて保存」でファイルが増えてしまうものもある。はたまた圧縮保存などもされて格納されているものだから、解凍ツールを使ってファイルを復元するので、脳内では思い出すのに時間がかかるファイルもある。(笑)
そんな風にして、知識のファイルや引き出しは増殖していくのではないか。その原動力となっているのは「知的好奇心」にほかならない。ある人は言う、投資とは人類が生み出した最高峰の知的ゲームだ、と。小職はまだその域には達していないが、なんとなく判る様な今日この頃だ。
なぜ、心理学や中東やイスラムや、そこに研究対象は移りゆくのだろう。全ては単なる知的好奇心か、いやそうではない、「投資を知るため」である。
つまり、投資の良いところは、知的好奇心が留まることを知らないことだ。溢れる投資への追求が、あらゆる好奇心に繋がり、あらゆるジャンルへの知的好奇心を駆り立てることが投資の良いところではないだろうか。
最後に、お題は、投資全体の好き嫌いではなく、投資のココが好きと具体的なパーツに言及されていることだ。これは、イジワルな質問だ。「好き」という感情論を、分析家としては、ロジカル(論理的)に答えなければならないからだ。
イジワルな質問には明快に答えるようにしている。
「投資はあらゆる知的好奇心の集大成であることが好き」と答えておく。
★★★★★「投資の日」によせて・・・。
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カブヨム編集部