執筆者:カブヨム編集部
議決権行使書とは?
「議決権行使」とは、株主が株主総会で審議される議案(取締役の選任、配当、定款変更など)について、賛成・反対の意思表示をすることです。
また、株主が議案の賛否示すための書面を「議決権行使書」と言います。
議決権の行使は、株主総会に出席して投票する以外に、議決権行使書の事前返送やインターネットを通じて行う方法も一般的です。
期限は会社ごとに定められ、招集通知に「行使期限」として記載されるため、まずは期限をよく確認することが重要です。
議決権の行使方法
議決権行使書は、企業から届く株主総会の招集通知に同封されるのが一般的です。行使方法は会社によって異なるため、まずは同封の案内で行使方法や期限、手順を確認しましょう。
主な議決権の行使方法をご紹介します。
<主な議決権の行使方法>
| 行使方法 | 必要なもの | 主な特徴 | 主な注意点 |
|---|---|---|---|
| ① 株主総会に出席 | 出席表(議決権行使書) | 株主総会の雰囲気がわかる・質問できる | 日程が合わないと参加が難しい |
| ② 議決権行使書の事前返送(郵送) | 議決権行使書・個人情報保護シール(※事前に企業から送付されるもの) | 当日出席できなくても可・外出不要 | 郵送のため特に提出期限に注意 |
| ③ インターネット投票 | 株主番号・ID・PWなど、所定の情報(※企業による) | 当日出席できなくても可・期日まで24時間意思表示が可能 | 二重行使に注意 |
| ④ 代理人による行使 | 委任状 | 当日出席できなくても可 | 代理人を立てる必要がある(同じ会社の株主に限るケースが多い) |
※上の図は当社が作成。
※上の表はあくまで議決権の行使に関する情報を簡易にまとめたものです。実際の条件等は、企業ごとに異なる可能性がありますので、必ず議決権を行使する企業の情報をご確認ください。
方法① 株主総会に出席して行使
株主総会に出席して議決権を行使する場合は、当日、会場で案内に従って賛否を示します。会社によっては、議決権行使書が入場票(出席票)を兼ねることもあります。忘れずに持参し、当日の受付方法は招集通知の案内に従ってください。
方法② 議決権行使書を事前返送して行使
株主総会に参加できない場合でも、決議事項に関する賛否に関して事前に議決権行使書を返送することによって、意思表示を行うことも可能です。
一般的には、ハガキ用紙の該当欄に賛否のマルをつけ、個人情報保護シールを貼って郵送するケースが多いでしょう。期限を過ぎると無効になることがあるため、記入方法・送付方法をよく確認の上、余裕をもって投函することをおすすめします。
株主総会に参加しなくても議決権を行使できるので、忙しい方でも比較的利用しやすい方法でしょう。
方法③ インターネットで行使
さらに、一部の企業ではインターネット経由で議決権が行使できるケースもあります。
議決権行使書に記載されるURLにアクセスし、株主番号やパスワード、IDなど必要事項を入力してログインのうえ、賛否を入力します。
紙での返送と併用できない(二重行使の扱いが定められている)場合もあるため、「どちらが有効になるか」は案内で確認してください。
方法④ 代理人による行使(委任状)
当日株主総会に出席できない場合、代理人に出席してもらい議決権を行使する方法もあります。ただし、「代理人は同じ会社の株主に限る」という条件があるケースも多い点に注意が必要です。
この方法を用いる場合、通常は委任状の提出が必要で、代理人の本人確認書類等を求められることがあります。代理人の要件や手続きは会社ごとに異なるため、招集通知の案内に従って準備しましょう。
郵送やネットでの権利行使の普及から、あまり積極的に選択されているケースは多くないかもしれません。
議決権行使書を出さないとどうなる?
法律上、議決権行使は義務ではないため、投資家が議決権を行使しないからと言ってペナルティが発生するようなことはありません。
しかし、株主総会では、企業の将来を決める案件や役員や決算の承認などを行います。取締役の選任や報酬、決算の承認、定款変更など、会社運営に関わる重要な議案が決議されます。各議案は、法律や定款で定められた賛成割合(普通決議・特別決議など)を満たしてはじめて可決されます。当然、賛成の議決権数には、議決権行使書で意思表示されたものも含まれます。
【企業側への影響】
議決権が行使されない場合、その議決権は賛否のいずれにもカウントされず、「棄権」と同じ扱いになります。株主総会の決議は、書面やインターネットによる議決権行使を含む「出席した株主の議決権」を基礎として賛否を判断するため、不行使が多いと以下のような実務的な影響が生じる可能性があります。
- 普通決議(出席議決権の過半数の賛成を要する)に届かないリスクの増加
⇒例:取締役選任、計算書類の承認など。 - 特別決議(出席議決権の3分の2以上の賛成を要する)の成立が難しくなる
⇒例:定款変更、組織再編(合併など)、株式併合など。 - 定足数を定める会社の場合、そもそも総会が成立しないリスク
(※公開会社の多くは定足数規定を設けていないものの、定めている企業では影響が大きい。)
このため企業は、議決権が適切に集まるよう、書面・インターネットでの行使方法を整備するだけでなく、招集通知で分かりやすく説明を行うなど、株主の議決権行使を促す取り組みを行っています。
【株主側への影響】
議決権行使書を出さないと、株主として会社の重要事項に意思表示できず、結果として自分の投資先の方向性に関与する機会を逃すことになります。
また企業によっては、議決権行使を促す目的で、議決権を行使した株主に対して記念品等を送付する場合があります(一般に「隠れ株主優待」と呼ばれることがあります)。ただし、これは全ての企業が実施しているわけではなく、内容や条件も企業ごとに大きく異なります。そのため、こうした取扱いの有無については、招集通知や企業のIR情報などを確認し、あくまで投資判断や企業との関わり方の一要素として参考にすることが適切です。
まとめ:企業の議決権行使書の取り扱いを確認しよう
議決権は、投資した企業のゆくすえを左右することにもなるため、可能な限り行使することが望ましいです。株主総会に当日参加することが難しい場合でも、議決権行使書であらかじめ意思表示をしておくなど、様々な代替方法が考えられます。
また、議決権行使により得られる特典などがあるかどうかについて、各企業ホームページなどでよく確認しておくとよいでしょう。




