2018年にスタートした「つみたてNISA」は、「長期投資」、「分散投資」、「積立投資」をサポートする制度。運用で発生した譲渡益や分配金が非課税になるのが大きな魅力です。ポイントは、最長で20年にわたる長期の非課税投資期間が設けられていること。「長期投資」、「分散投資」、「積立投資」によって投資におけるさまざまなリスクを抑えることができるので、結果的に元本割れを避けやすくなることにもつながります。今回は、つみたてNISAによる長期・積立投資のメリットをお伝えしましょう。
最長20年間、投資の利益が非課税に!
「長期運用」、「分散投資」、「積立投資」が行いやすいように2018年1月から始まった「つみたてNISA」。日本に住む20歳以上(2022年4月から18歳以上)であれば、証券会社や銀行に専用の口座を開くことですぐに始められます。つみたてNISAの最大の特長は、譲渡益や分配金といった運用益が非課税になるという点でしょう(前回のコラム参照)。
長期投資に向いているという点もつみたてNISAの特長です。譲渡益などが非課税になる制度といえば2014年に始まったNISA(一般NISA、少額投資非課税制度)もありますが、両者を比べてみると違いがハッキリわかります。
つみたてNISAの非課税期間は最長20年であるのに対し、一般NISAの非課税投資期間は5年間です。一般NISAの非課税投資枠は年間120万円で、毎年、非課税枠をフルに活用すれば最大600万円まで非課税の恩恵を受けることができます。一方で、つみたてNISAの非課税投資枠は年間40万円。年間の非課税枠は一般NISAと比べると少なくなっていますが、20年間継続すれば、トータルで最大800万円の非課税枠が活用できることになります。
つまり、一般NISAに比べると、つみたてNISAのほうがより長期投資に向いた制度なのです。
「つみたてNISA」と「一般NISA」の比較表
制度名 | 一般NISA | つみたてNISA |
---|---|---|
投資方法 | 通常買付、積立買付 | 積立買付のみ |
対象商品 | 株式(ETF含む)、投資信託、 プチ株®(ETF含む) |
投資信託 (ETF含む、一部のみ※1) |
非課税投資枠 | 120万円(年) | 40万円(年) |
非課税投資期間 | 5年間 | 20年間 |
途中引出し | いつでも可能 | |
商品の移行 (ロールオーバー) |
可能 | 不可能 |
※1 金融庁が設ける既定の要件を満たす商品のみ対象商品となります。また、当社ではつみたてNISAのETFの取り扱いはございません。
投資信託・ETFを“定期・定額”で“積立”できる
一般NISAではまとまった金額を一度に投資できるのはもちろん、何回かに分けて投資することも可能です。しかし、つみたてNISAは、定期的、定額での積立投資のみになります。ただ、積立のためのお金は銀行の預貯金口座や証券口座からの自動引落ができるので、最初に時期や金額を設定してしまえば、積立が自動でできるようになります。
さらに、投資する対象商品もつみたてNISAと一般NISAで異なります。一般NISAは上場株式や投資信託、ETF(上場投資信託)、REIT(不動産投資信託)など幅広い商品に投資することができますが、つみたてNISAは、金融庁が長期・分散・積立に適していると判断した投資信託と、「ダイワ上場投信-日経225」など3本のETFに投資対象が絞られております。
さらに、投資信託については販売手数料が0円(ノーロード)で信託報酬が低い商品、頻繁に分配金が支払われない商品など、法令上の条件が設けられています。投資信託への投資には信託報酬など様々なコストが発生します。長期で投資信託を保有していると、こうしたコストもばかになりません。その点、つみたてNISAで購入できる投資信託はコストが低いものが選ばれているので、長期の運用でもコスト負担が抑えられています。
複利効果の恩恵を受けられる!
意外と見逃されがちなのが「分配金」についてです。つみたてNISAの対象になっているインデックスファンド(日経平均など指数に連動するよう設計・運用されているファンド)では分配金が発生しません。その分、損をしている気分になるかもしれませんが、実はインデックスファンドは分配金等をそのまま再投資して運用しています。つまり、運用で得られた利益の再投資による“複利効果”が期待できるということです。
この“複利効果”は、投資期間が長ければ長いほど大きくなります。つみたてNISAは長期運用が前提の制度ですから、再投資による複利効果が十分に期待できる制度とも言えるでしょう。
腰をすえた資産運用にうってつけ!
長期の運用に向いているインデックスファンドでも、株式や債券相場の急落によって投資元本を割り込んでしまう可能性はあります。ただ、10年、20年といった長期で運用することによって、一時的な相場の下落をカバーし、元本割れリスクの低減を図ることができます。「つみたてNISA」は運用途中でも解約はできます。ただ、これだと長期運用のメリットを享受することができません。
「毎月1万円」など、一定の時期と金額で積立投資を行えば、価格が安い時に買えなかったり、反対に価格が高い時にだけ買ってしまったりすることを避けられます。つまり、売買のタイミングを気にしないで資産運用に取り組むことができるのです。
最長で20年間、最大800万円を「資産の分散」「時間の分散」「地域の分散」という3つの分散投資の効果を受けながら運用できるうえ、税制優遇まで受けられる「つみたてNISA」。のんびりじっくり、腰を据えた資産運用にうってつけの制度なのです。