NISA貧乏ってどんな人?無理なく資産形成を続けることの重要性 NISA貧乏ってどんな人?無理なく資産形成を続けることの重要性

NISA貧乏ってどんな人?無理なく資産形成を続けることの重要性

NISA貧乏とは

「NISA貧乏」という言葉、聞いたことはありますか?

投資を頑張りすぎて生活が苦しくなっている人や状態を指す言葉として使われています。2026年3月の国会では生活費まで投資に回してしまうことへの懸念が取り上げられ、「NISA貧乏」という言葉も注目されるようになりました。

実は、以前から「保険貧乏」という言葉もあります。生命保険や医療保険、年金保険などの保険料が多くて、家計を圧迫している人のことをいいます。

「NISA貧乏」や「保険貧乏」に共通するのは、将来の不安が大きくなり、将来の生活や万一の備えのために、今の暮らしを犠牲にしてまでも、お金を回してしまうことです。

さらに、NISAの場合、「非課税枠を早く活用した方がお得」「将来のためにやらないと損」といったSNSなどからの情報にも振り回され、気付けばNISAを優先する生活になってしまうということがあるようです。

しかし、これは将来のために頑張っていることですから、決して悪いことではありません。

とはいえ、今の生活が苦しくなってしまっては本末転倒です。あくまでも投資は人生を豊かにするための手段の一つです。「将来の資産額」が目的になってしまっていないか、少し立ち止まって見直してみることも大切です。

NISA貧乏になってしまう3つの要因

では、なぜNISA貧乏になってしまうのか、具体的にその要因を考えてみましょう。

1.将来への漠然とした不安

物価高や「老後◯◯◯万円問題」といったニュースを目にするたびに、「今のうちにできるだけ貯蓄を増やしておかないと」という焦りを感じる方は多いでしょう。特に20代、30代の方が不安を感じる将来は、30年先、40年先であり、全く想像もつかない、というのが正直なところではないでしょうか。そうすると、今できることは「できるだけ蓄えを増やす」ということになり、必要以上に投資へお金を回す原因になります。

2.制度への過剰な期待

「NISAは税制上のメリットがあるので、非課税枠を活用しないともったいない」と感じている人もいるようです。NISAの非課税枠は、年間で360万円です。つみたて投資枠だけでも年間120万円ですから、これを使い切ろうとすると毎月10万円の積み立てとなります。本来であれば、住宅購入、子どもの進学、老後資金などの目的に向けて投資を行うべきですが、NISAの非課税枠を使い切ることが目的になってしまっているケースもあるようです。

3.ハイリスクな投資

「早く資産を増やしたい」「NISAであれば大きく増えても非課税」というようなことから、値動きの大きい商品に投資してしまうケースもあります。当初は無理のない範囲での金額であっても、その成績がよいと生活費も削って追加投資をしてしまい、生活費が圧迫される結果となることがあります。

無理なく続けるためのお金の用途分け

NISAを利用した投資によって、家計が苦しくなるという事態は避けなくてはなりません。そのために大切なのは、「毎月投資に回してよい金額はいくらか」を先に決めておくことです。

まずは、今ある預貯金で次の2つが確保できているかを確認してください。

●緊急予備資金

病気やケガによる入院、仕事を休んでしまった場合や、失業してしまった場合、その他急な出費に備えるための資金です。生活費の3〜6か月分を目安に別管理しておきましょう。

●5年以内に使う予定のあるお金

住宅購入の頭金、子どもの進学費用、車や家電の買い替えなど、毎月の生活費ではないけれど近い将来に必要になるとわかっているお金です。

この2つがまだ確保できていない場合は、こちらを優先して預貯金の準備をしましょう。ここが整っていない状態で投資を始めると、いざというときに投資資産を取り崩さざるを得なくなり、結果的にNISA貧乏につながりかねません。

これらの土台が整ったら、次に、毎月の手取り収入を、次のように配分してみてください。

  • 毎月の生活費
  • 緊急予備資金がまだ足りなければ、その積立
  • 5年以内に使う予定のための積立(住宅・進学・車など)
  • 投資

毎月の手取り収入から1〜3を差し引いた金額が、無理のない投資額になると考えられます。このような手順で決めた投資額を、毎月コツコツと積み立てていきましょう。

<無理なく続けられる投資額を決める手順>

<無理なく続けられる投資額を決める手順>
※図は筆者が作成

そしてもう一つ大切なのが、「今の自分のために使うお金」と「未来のために回すお金」のバランスです。将来のために今を我慢しすぎるのも、今を優先して将来の備えを後回しにしすぎるのも、よくありません。どちらか一方に偏らず、今と未来の両方にきちんとお金を使えていることで、無理なく投資を続けていくことができるのです。

無理なく資産形成することの重要性

投資で成果を出せる人もいれば、残念ながらうまくいかない人もいます。もちろん、どの商品を選ぶかも大切ですが、長期の資産形成では、それ以上に「続けられたかどうか」が結果を大きく左右します。

では、どんな人が投資を続けられるのでしょうか?

●無理のない金額を積み立てる

続けられる人は、生活に負担がかからない金額、つまり、無理のない金額を積み立てる仕組みを作っています。少し背伸びをした金額を積み立てていると、途中で生活が苦しくなって積立自体を止めてしまったり、急な出費があると、運用している資産を取り崩すことになってしまいます。

●リスク許容度を知っている

自分がどのくらいの値動きなら耐えられるかという「リスク許容度」を知っておくことも大切です。値動きに不安を感じて、積立を止めてしまったり、慌てて売却してしまったりすると、資産形成はうまくいきません。あらかじめ、自分のリスク許容度を理解し、それに見合った商品を選ぶことで落ち着いて投資を続けやすくなります。

●投資の目的が明確

「何のために、いつまでに、いくら必要なのか」がはっきりしている人は、目先の値動きに一喜一憂しにくくなります。「15年後の教育資金のため」「老後資金を準備するため」といった具体的な目的がある人は、一時的な値下がりがあっても、目先の相場に振り回されにくくなります。

投資で大切なのは、自分に合った方法で長く続けることです。無理のない金額で、目的を持ち、自分に合った商品を選ぶ。この積み重ねが、将来の資産形成につながっていきます。

NISA貧乏にならないための3つのルール

最後にNISA貧乏にならないためのルールをまとめておきましょう。

1.緊急予備資金や5年以内に使うお金は確保する

何かあったときのために、生活費の3か月〜6か月分程度と、5年以内のライフイベント用のお金は、投資とは別に確保しておきましょう。たとえば、相場が下落したとしても、この土台があれば当面は大丈夫という安心感があり、投資を続けることができます。

2.投資の目的を明確にする

「何のために」「いつまでに」「いくら必要なのか」を先に決めておきましょう。資産形成する目的があいまいなままだと、年間の非課税枠を使い切ることや、生涯の非課税枠を早く埋めることが目的になってしまい、無理な投資をしてしまうことにつながります。

3. 続けられる金額・商品を選ぶ

毎月の投資額は、生活に無理のない範囲内で決めましょう。銘柄も、値動きの大きさに一喜一憂せず、長く付き合えるものを選ぶことが大切です。大きく増える可能性よりも「これなら何年でも続けられる」という視点で選んでください。

<NISA貧乏にならないための3か条>

<NISA貧乏にならないための3か条>
※図は筆者作成

NISA貧乏という言葉は、実は「投資のために頑張りすぎている」ことの裏返しでもあります。将来のことを真剣に考えた結果でもあるのです。

しかし、投資はあくまでも人生を豊かにするための一つの手段です。将来のために今を犠牲にしすぎてしまっては、投資の本来の目的からずれてしまいます。

生活の土台を守りながら、無理のない範囲で、今と未来、両方を大切にする。それが、NISA貧乏にならず、長く安心して資産形成を続けるための一番の近道です。

ご注意事項

高田晶子


大学卒業後、信託銀行に就職、人事部配属。宅地建物取引主任者の資格を取得し、念願叶い不動産部で働くも、お客様と銀行のハザマで苦悩する。「この人、この不動産買っても大丈夫だろうか」と思っても言えなかった罪悪感がその後私をFPへ導いてくれたのかも。信託銀行退職後、イベント会社、不動産コンサルティング会社を経て、1996年、ファイナンシャルプランナーとして独立。2010年まで女性3人で活動、年間300件の相談業務を行う。2010年より金融デザイン株式会社(旧株式会社マネーライフナビ)の取締役。長年、個人のお客様の声を直接聞いてきたからこそ作れるコンテンツ作成を主に、失敗しないためのお金の知恵を学ぶ「お金の知恵アカデミー」を展開中。

<資格>
● 1級ファイナンシャルプラニング技能士
● 宅地建物取引士

お金と仕事とライフワークの相談室「50カラ」
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