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有事の際に注目される、防災・災害・復興銘柄の選び方 有事の際に注目される、防災・災害・復興銘柄の選び方

有事の際に注目される、防災・災害・復興銘柄の選び方

災害時に私たちの暮らしを助ける業種は?

近年、日本では自然災害が頻発しており、それに伴い防災や復興に関連する企業への注目が高まっています
地震やそれに伴う津波、火山の噴火、台風や豪雨、豪雪などの災害は、建物の倒壊や浸水、ライフラインの寸断、事業の停止など、人命や財産、経済活動に甚大な被害をもたらします。

そこで 政府の「国土強靭化」政策により、大規模な自然災害に備え、人命を最大限に保護し、迅速な復旧・復興を実現するための施策が取り組まれています。
この取組みは、災害発生時における被害の最小化や経済活動の維持を目指し、事前の防災・減災を重視しています。

災害時に期待される企業と役割をみてみましょう。
防災・災害・復興に関連する業種は、建設、IT、気象情報、製造など実に幅広い分野にわたり、災害復旧や防災対策において重要な役割を果たす企業が存在します。

・防災対策:防災関連の企業は、災害発生を未然に防ぐための製品やサービスを提供しています。例えば、消防車や防災資材を製造する企業が含まれます。

・災害時対策:救助が難しい状況下や原発事故のような、人間では対応の難しい事態に用いることができる災害ロボットは、迅速かつ効率的な救助活動を可能にします。

・インフラ復旧:自然災害後、道路や橋、通信インフラなどの復旧が急務となります。これに対応する企業は、特に大型土木工事を手掛ける建設業や土木業が中心です。

・復興支援:被災地での復興活動には、物資の供給や生活支援が必要です。これに関与する企業は、地域の復興を支える重要な存在です。

具体的に、どのような企業があるでしょうか。

<防災・災害・復興対策関連企業例 それぞれの強みと期待される役割>


防災・災害・復興対策関連企業例 それぞれの強みと期待される役割

※適合性、有用性、正確性、完全性を保証するものではなく、あくまで考え方を参考にしていただくことを目的としたもので投資勧誘を意図するものではありません。
※各社HP、アニュアルレポート、四季報オンライン(2025年3月時点)より筆者が作成。

人命を保護する災害ロボットにも注目してみましょう。
日本は災害が多く、またロボット大国でもあることから、災害対応ロボットの研究・開発が進んでいます。地震や水害時の救助が難しい状況下や、原発事故のような人間では対応の難しい状況においても対応することを目的としています。

<災害ロボットの開発に関与している企業例 5選>


災害ロボットの開発に関与している企業例 5選

(※ディザスタリカバリシステム:災害が発生した際に、システムやデータを迅速に復旧・修復するための技術的アプローチ。災害によって業務が中断された場合でも、バックアップされたデータを用いて迅速にオペレーションを再開できるようにする仕組み。)

※適合性、有用性、正確性、完全性を保証するものではなく、あくまで考え方を参考にしていただくことを目的としたもので投資勧誘を意図するものではありません。
※各社HP、アニュアルレポート、四季報オンライン(2025年3月時点)より筆者が作成。

自然災害が発生すると、大手建設・土木を中心に復興需要が高まりますが、その他の多様な業種でも関連する企業があることがわかります。
政府の「国土強靱化」政策では、老朽化したインフラの強化や防災対策が重視されています。特に、通信インフラやライフラインの復旧工事に関わる企業は、今後の更なる需要が見込まれるでしょう。

地震など、災害が株価・為替に与える影響とは?

災害時、株価はどうなる?

過去に起きた大災害の例から、災害が発生した直後は、株式市場は総じて下落しています。投資家の不安心理が高まり、災害による企業の業績に与える影響が懸念されるためです。

日本経済に大きな影響を与えた東日本大震災(2011年3月11日)の発生直後の日経平均株価は約18%(※)下落しました。特に東京電力など原発関連株が軒並み値を下げ、原発関連事業の先行き不透明感の広がりをみせました。また、高島屋など消費関連株も、地震被害や東京電力による計画停電などの影響で軟調な動きになりました。この動きは製造業や輸出関連企業にも波及し、全体的な市場の混乱を引き起こしました。
一方、セメント株や鹿島や清水建設など大手ゼネコンの復興需要のある企業は堅調に推移しました。

(※)2011年3月14日の高値10,049.92円から3月15日の安値8,227.63円までの下落率。

災害による為替に与える影響は?

自然災害が発生した際、為替市場において円高が進行するという経験則があります。
一見、日本で災害が起こると混乱を嫌気して日本売りが加速し円安になるのではないかと考えがちですが、災害時には円を買う動きが見られ円高になることがあります。それはなぜでしょうか。
災害時に円高が進む理由とその背景を見てみましょう。

<保険金支払いの影響>
リパトリエーションという海外資産を売却して自国通貨(円資産)に換える動きが起こることがあります。災害発生後は、企業が災害復興のために海外資産を売却し円資産に戻す動きが強まる傾向があります。これにより、円の需要が増加し、円高が進むとされています。特に、保険会社が海外資産を売却して保険金を支払うために円を購入することが影響します。

<リスク回避の動き>
災害が発生すると、投資家はリスクを回避する傾向が強まります。このため、安全資産とされる円が買われ、円高が進むことになります。
過去の震災時の経験から、投資家は災害後に円高が進むと予測します。この心理的要因から、短期的な円高を引き起こすことがあります。
例えば、東日本大震災が発生した2011年3月11日、震災直後の米ドル円相場は円安に振れたものの、その後は1米ドル81円近辺から円高が進行し、同年3月17日には1米ドル76円台まで円高が進みました。

<投機的な売買>
海外のヘッジファンドなどの投資家が、円高の動きを利用して利益を得ようとする投機的な売買を行うことも円高の一因とされています。

一方、 2024年1月1日に発生した能登半島地震では、初期反応として円高が見られましたが、その後は円安に転じました。地震発生後の数日間で、米ドル・円相場は141円から145円台の円安方向へ動きました。

このように最近の例では、必ずしも災害時に円高が進行するとは限らないことも示されています。
災害時に円高が進むことは、リパトリエーションやリスク回避の動き、そして市場心理が影響しています。
しかし、実際の為替相場は多くの要因によって変動するため、必ずしも円高が持続するわけではありません

過去の大震災時における株価の動きの特徴

過去の大震災における株価の動きには、いくつかの共通した動きが見られます。以下に、主な特徴をまとめます。

1. 初期の急落
震災が発生すると、投資家は不安や恐怖からリスク回避の行動を取り、保有株を手放す傾向があります。震災直後は市場全体が急落すると見ることができます。

2. セクターごとの影響~復興期待による回復
震災の影響を受ける業種とそうでない業種があります。
例えば、電力関連株やエネルギー関連株は大幅に下落することが多く、軟調な動きを示します。また、製造業・輸出関連企業は、地震によるサプライチェーンの混乱が影響し、特に自動車や電子部品メーカ―が打撃を受けます。 一方で、建設・インフラ関連の企業は堅調に推移する傾向にあります。
短期的には株価に大きな下落の影響がありますが、長期的には復興需要が株価を押し上げていきます。

3.経済全体への影響
震災による経済的損失が甚大である場合、全体の経済指標にも影響が出ることがあります。これにより、株式市場全体が長期的に影響を受けることが想定されます。
震災後の経済成長率が低下することが予想されると、株価全体が下落する可能性があり、災害の被害が大きいほど経済の回復には時間がかかることになります。

このように過去の災害における市場の動揺と回復過程の流れを考慮することで、今後の震災時の株価動向を予測する手助けとなるでしょう

混乱時に乗じた情報の乱れに注意が必要

災害後の数日から数週間は市場が不安定になり、株価が乱高下することがあります。
そのような時は、情報に惑わされず冷静に対処するために、以下のポイントを考慮することが重要です。

・情報の選別
市場が混乱しているときは、さまざまな情報が飛び交います。金融機関や公的機関の発表など信頼できる情報源からの情報を優先して確認することが大切です。

・冷静な判断と行動
市場が急落した際に、慌てて資産を売却することは避けるべきでしょう。市場は時間とともに回復する傾向があるため、短期的な市場の変動に惑わされない冷静な姿勢が求められます。

・戦略的なアプローチ
<資産の分散>
特定の資産に偏らず、複数の資産に分散したポートフォリオを組むことで価格の急落時にもリスクを低減することが期待でき、心理的にも安定を保てます。
<現金の備え>
市場が混乱しているときに備えて、一定の現金を保有しておくことも必要です。
不測の事態にも活用できる現金があることで、必要以上に慌てずに済み心の余裕が持てます。また、暴落時に新たな投資の機会を伺える可能性があります。

防災・災害・復興関連の企業は、自然災害の影響を受けた地域の復旧や防災対策において重要な役割を果たす精鋭部隊です。
これらの企業は、災害時の私たちの暮らしを助け支えてくる心強い存在です。
今後も、自然災害に対する備えや復興に向けた取り組みが進む中で、これらの企業の動向に目を向けてみてはいかがでしょう。

執筆者:村松祐子

村松祐子


ファイナンシャルプランナー(CFP®  1級FP技能士)。金融・証券インストラクター。 1987年より、大手証券会社において外国株式の東京証券取引所上場に際し、販売促進に携わる。資料作成、および、顧客向け株式セミナー、社内勉強会の運営に従事。1990年より富裕層向け資産運用コンサルティングに従事したのち、 株式調査部に転籍、経済・株式の調査を経験、機関投資家向け週間マーケットレポートの作成に携わる。資産運用の相談、経済・市場調査の経験を踏まえ、それらを総括したサービスを提供するFPへ転身。現在、資産運用・株式投資の個人レクチャー、セミナーのほか、ライフ&マネープラン相談を実施している。一人ひとりに合った資産形成の提案には定評があり、自立した個人投資家の育成にも力を入れている。『FPコスモス』代表。htps://www.fp-cosmos.com/

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