円高と円安、どっちがいい?わたしたちの生活や投資に与える影響 円高と円安、どっちがいい?わたしたちの生活や投資に与える影響

円高と円安、どっちがいい?わたしたちの生活や投資に与える影響

円高・円安ってどんな状態をいうの?

ニュースで、「エンダカ(円高)」、「エンヤス(円安)」という言葉を耳にしたことがあるでしょう。しかし、自分の生活には関係がないと思っている方も多いかもしれません。
そもそも為替の変動(円高・円安)はわたしたちの生活にどのようなメリット・デメリットがあり、どのような影響を及ぼすのでしょうか。

円高は、他の通貨と比べて円の価値が上がる状態を、円安とは他の通貨と比べて円の価値が下がる状態をいいます。
例えば、オレンジ1個を購入するのに1ドル必要だとします。1ドルが140円で換金できる時には、同じオレンジを購入するのに日本円では140円必要です。しかし、この換金比率(「為替レート」といいます)は景気などによって常に変動します。

【1ドル=140円から1ドル=100円に為替レートが変化した場合】
1ドルが100円になった場合、それまで140円出さないと1ドルのオレンジが購入できなかったのに、為替レートの変化により100円出せば1ドルのオレンジが購入できるようになります。
つまり、以前よりも少ない日本円で1ドルのオレンジが購入できる状態になったのです。これは、1ドルが140円の時よりも円の価値が上がっているといえ、この状態を円高といいます。

<円高は日本円の価値が上がった状態>
円高は日本円の価値が上がった状態

【1ドル=140円から1ドル=200円に為替レートが変化した場合】
1ドルが200円になった場合、これまで140円出せば1ドルのオレンジが購入できていたのに、為替レートの変化により200円出さなければ1ドルのオレンジが購入できなくなります。
つまり、以前よりも多くの日本円を出さなければ1ドルのオレンジが購入できない状態になったのです。これは、1ドルが140円の時よりも円の価値が下がっているといえ、この状態を円安といいます。

<円安は日本円の価値が下がった状態>
円安は日本円の価値が下がった状態

円高と円安、どっちがいいの?

円高と円安はどちらの状態がいいのでしょうか?
どちらがいいかは立場によって異なります。円高・円安のメリット・デメリットを把握して、どちらの状態が自分にとっていいのかを考えてみましょう。

・円高のメリット・デメリット

<メリット>
円高になると、日本で海外の製品やサービスが買いやすくなります。
円高時にはより少ない日本円で多くの外貨に両替ができるため、海外旅行先でお得に買い物ができたり、プランやサービスのグレードアップもしやすくなります。輸入コストが下がるため、輸入品そのものや輸入品を原料とする商品の価格も安くなりやすく、輸入産業では業績の向上が期待できます。

<デメリット>
円高になると、海外の人にとっては日本の製品やサービスの価格が高くなってしまいます。
日本の製品が売れにくくなるため、日本の主要産業である自動車業界など輸出産業の業績が下がりやすくなります。その結果、日本の景気が悪化し、輸出産業だけに限らず働く人の収入低下を招き、消費控えが生じる可能性があります。また、海外旅行客の減少により観光産業の業績が低下する可能性もあります。

・円安のメリット・デメリット

<メリット>
円安になると、日本の製品やサービスが海外の人には買いやすくなります。
その結果、日本の主要産業である自動車業界など輸出産業の業績が向上したり、海外旅行客の増加により観光産業の業績が向上したりする可能性があります。

<デメリット>
円安になると、海外のサービスやモノの価格が高騰してしまいます。
輸入コストが上昇するため、輸入されている製品や食材のみならず、日本で製造されるものでも原料に輸入品が利用されていれば販売価格が値上がりしやすく、物価が上昇する可能性があります。

日本の消費者の視点で考えた場合、あまり望ましくないのは円安といえます。
日本ではさまざまなモノを輸入に頼っているため、円安になれば物価高騰が生じる可能性が高いでしょう。物価が高騰しても必ずしも収入が増加するとは限りません。なぜなら円安によって物価が高騰し、消費者の買い控えが生じれば企業の収益は向上せず、給料アップにつながらない可能性もあるからです。
そのため、食材や日用品など生活に必要な製品やサービスの支出が増加し、家計に大きな影響を与えてしまうでしょう。

投資において円高・円安の時に考えておきたいこと

投資においては、円高・円安時でそれぞれどのような行動を取ったらいいのでしょうか?

・円高時に考えておきたいこと

円高の時には、外貨預金やFXなどを活用して外貨の購入にチャレンジしてみてはいかがでしょう。

株式投資であれば、円高時にメリットを受けやすい銘柄への投資を考えてみましょう。円高時には、内需系企業(国内の需要に基づいて売上や利益が増減する企業)や、輸入コストの低下が期待される企業などがメリットを受けやすく、業績向上が見込まれます。

外国株や外国株ファンドなどを保有している場合、円高時には外貨での株価は同じであっても、為替の影響により日本円では資産の下落が生じてしまいます。円安傾向になるまでそのまま待つのもひとつの方法ですが、円高傾向が継続しそうであれば、リスクヘッジのために外国資産を一部売却して、為替の影響を受けにくい国内株などとのバランスをとることも検討してみるとよいでしょう。

・円安時に考えておきたいこと

円安時には、輸入コストの増大により物価高騰が生じやすくなりますが、必ずしも収入も増加するとは限りません。その結果、収入は変わらなくても支出が増えるため、日本円の資産だけでは実質的な資産価値の低下が生じます。
その影響を軽減させるために、外国株や外国株ファンドなどへの投資を検討してみるとよいでしょう。外国株などへの投資は知識が不足していて、不安であるという場合には外貨預金(外国の通貨を預金する金融商品)から始めてみるのも一案です。

しかし、円安時に海外資産を取得しようとすると、円ベースでは価格が高くなってしまい、実際には取得しにくいでしょう。その対策として、円安傾向となる前から円高時に備えて外国株や外国株ファンドを持っておくとよいでしょう。

株式投資は、円安時には輸出産業の業績向上が見込まれるので、日本の主要産業である自動車業界のほか、電機、精密機械などの銘柄への投資を検討するのも一案です。

為替の動きを予測は難しい!日頃から円安・円高の対策を

日頃から外国株や外国株ファンドへの投資を行っている人でも、為替の動きを予測することは難しいものです。しかし、為替の変動はわたしたちの生活にも影響を及ぼすため、その動きを理解しておくことは大切です。

円安になってから対策を講じようとしても、外貨や外国株、外国ファンドなど海外資産を思うように保有できず、対策を講じることができない可能性もあります。

為替の動きは予測することが難しいからこそ、積立なども活用しながら、日頃から少しずつ複数の金融資産を積み増していき、円高・円安のリスクヘッジを図っていきましょう。

キムラミキ

キムラミキ

ファイナンシャルプランナー 社会福祉士

日本社会事業大学で社会福祉を学んだ後、外資系保険会社、マンションディベロッパーに在籍後、FPとして独立。現在は、株式会社ラフデッサン 代表取締役として、個人向けライフプラン相談、中小企業の顧問業務をお受けする他、コラム執筆、セミナー講師、山陰放送ラジオパーソナリティとしても活躍中。

また、ライフワークとして障がい児・者の親なき後の経済準備についての啓発活動を行う上での課題研究を行うため、放課後等デイサービスや学習に困り感のある子供の学習支援教室にて、障がいのある子供たちの学習支援にも取り組んでいる。

株式会社ラフデッサンHP
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