信託報酬にあまりこだわらない
2024年から新しいNISAが始まります。
すでにNISAをやっている、という人に聞いてみると、特に若手の方からは「つみたてNISA」で積立てを行っているという声を多く聞きます。
データ※を見ても、口座数では一般NISAのほうが多いのですが、年代でかなりばらつきがあります。20代では約8割、30代では約7割、40代では約6割が「つみたてNISA」を選んでいます。
つみたてNISAには、対象商品があり、その中から商品の選択をしていると思います。
2024年からは、NISA口座を持っている人は誰でも、つみたてNISA対象商品に加えて、成長投資枠対象商品からも投資信託を選ぶことができるようになります。
つみたてNISAを中心に運用を行っていた人によく見られるのが、信託報酬の低さを重視することです。多くはインデックス型なので、同じインデックス型であれば、期待できる結果はほぼ同じですから、信託報酬の高低が重要になるわけです。
一方、アクティブ型の場合は、信託報酬が高くても、その分パフォーマンスが高ければトータルでは良い成果が出ることになります。
あまり信託報酬にこだわりすぎて、例えば「信託報酬1.5%以下」というような条件で検索してしまうと、本当に成績の良いファンドを見逃してしまうこともあります。
下図は国内株式型のファンドで、5年トータルリターンが比較的上位であるファンドのトータルリターンと信託報酬です。
<インデックス型のトータルリターンと信託報酬>
<アクティブ型のトータルリターンと信託報酬>
まずは3つの指標に注目する
つみたてNISAを利用しインデックス型のみを選ぶ場合には、主に投資対象と信託報酬に注目して選んでいるでしょう。
しかし、アクティブ型まで広げて選ぶ場合には、次の3つの指標に注目してみましょう。
1.トータルリターン
特定の期間内にどれだけ値上がり(値下がり)したかを示したもの。キャピタルゲインとインカムゲイン(分配金)を合わせた全体の収支。
2.標準偏差
価格の変動の大きさを示すもの。標準偏差の値が大きいほど基準価格の変動が大きい、つまりリスクが大きいということがわかる。
3.シャープレシオ
リスクに見合ったリターンをあげているかどうかを示す指標。同じトータルリターンであれば、リスクが小さいほうがシャープレシオは大きくなる。投資の効率性を評価する際に使うことができる。
アクティブ型の場合には、この3つの指標を重視してファンドを絞り込み、似たような成績のものであれば信託報酬も比較してみる、という順番で探してみるとよいでしょう。
インデックス型とアクティブ型は、同じ投資信託でも選び方は異なります。今まで、つみたてNISA派だった方も、新しいNISAでアクティブ型を選ぶ楽しみも体験してみてください。