つみたて投資は、成長投資枠も使える!
2024年からの新しいNISA制度については、現在のNISA制度との違いもあり、理解しづらい点が多々あります。
筆者が最近聞いた、5つの誤解されやすい「勘違い」を紹介します。
勘違いその1 つみたて投資は年間120万円まで?
新しいNISAでは、年間の投資額の上限は360万円。このうち、つみたて投資枠は120万円、成長投資枠は240万円となっています。
そのため、つみたて投資は年間120万円が上限と思われがちですが、成長投資枠で積み立てることもできます。また、成長投資枠でつみたて投資枠の対象商品を購入することもできます。つまり、つみたて投資で年間360万円を使うこともできるのです。年間360万円の枠のうち、「つみたて投資対象以外のものは240万円まで」と覚えておくと間違えません。
勘違いその2 成長投資枠では積み立てできない?
成長投資枠の対象商品は上場株式、株式投資信託、ETF、REITなどです。ただし、上場株式のうち、整理・監理銘柄は対象外、投資信託は信託期間が短いもの(20年未満)や、毎月分配型も対象外となっています。
このような説明を見ると、成長投資枠は一括投資というイメージがあるかもしれません。しかし、投資信託については、毎月など一定の頻度で定額で購入することも可能です。つみたて投資枠対象の商品以外でも、成長投資枠でなら積み立てをすることができるのです。
<成長投資枠でつみたて投資もできる>
勘違いその3 年間の上限額に達していても、売却すれば枠ができる?
新しいNISAでは、生涯の投資枠の上限が決められました。一人あたり取得価額で1,800万円までです。もし、この投資枠が上限に達してしまった場合でも、売却することで、空いた分については翌年以降再利用することができます。
この再利用は、あくまでも生涯の投資枠についてです。年間の投資枠は、たとえ、その年に購入したものを同じ年中に売却したとしても枠が空くわけではありませんので、勘違いにご注意ください。
受け取り方を間違うと配当金は課税されてしまう
勘違いその4 配当金は課税される?
配当金の受け取り方は3つの方法があります。気を付けたいのは、NISA口座内で配当金を受け取った場合に限り、非課税で受け取ることができるという点です。
個別株を持っていて、配当金は銀行口座に振り込んでもらうという方も多くいらっしゃいます。NISA口座内で購入した個別株についても、同じように銀行口座に振り込んでもらうと、課税されてしまうため、「配当金は課税される」というような誤解を生んでいるようです。受け取り方によっては課税されるということですので、非課税で受け取りたい場合には、NISA口座で受け取るようにしましょう。
<配当金の受取方法>
勘違いその5 そもそもNISAは本当にお得なのか?
新しいNISAの話題が広がるとともに、「本当にお得なの?」と疑問に思う方もいらっしゃいます。そもそも、NISAは運用して利益が出た場合の非課税制度ですから、運用もせずにお得になるわけはありませんし、運用には当然リスクが伴います。お金が増えることを「お得」と考えるのならば、必ずしもお得とはいえません。しかし、リスクがあることを踏まえて運用に向き合う方であれば、運用益が非課税になるという点は、間違いなくお得です。
長期投資に取り組んでいきたいという方には、NISA制度を積極的に活用していただきたいと思います。
実際に新しい制度が始まると、さらに細かな疑問や勘違いが生じることもあるでしょう。新しい制度ですから当然のことですので、疑問が生じたら一つひとつ証券会社などに確認しながら、効率よくNISA制度を活用してください。