失敗しないために押さえておきたい4つのポイント
株式投資には、なんと言っても冷静に判断する力が大切です。刻々と変化する経済情勢により企業の経営は影響を受けます。そのため、どのような環境であっても投資先の銘柄選びには常に慎重さを欠いてはなりません。
せっかく始めた株式投資でも、次のような企業では早々に投資に失敗してしまう恐れがあります。
- 借入金が多い。
- 営業キャッシュフローがマイナスになっている。
- 株価が100円を割り込んでいる。
- 社名を頻繁に変えている。
- 企業が提供する商品やサービスに人気がない、あるいは人気がなくなった。
では、投資先として失敗しないために、最低限何を確認すればよいでしょうか?
次の4つのポイントを押さえておきましょう。
下記のような状態が続き改善が見込めないと、先行き倒産してしまう可能性が高いからです。
(1)自己資本比率が低くないか。有利子負債が大きくないか。
(2)営業活動で獲得するお金はマイナスの状態が続いていないか。
(3)負債が資産を上回る債務超過に陥っていないか。
(4)営業赤字が3年以上続いていないか。
これらの項目を個々に調べるのは大変だと感じる方でも、実は、事業の存続性が疑われる企業を一覧で確認する方法があります。
株式投資のリスク対策は投資スキルを上げる
企業の業績や財務内容を確認するためのものとして、「会社四季報」があります。
四季報では、業績不振や財務に問題がある企業を「企業の継続性にリスクがある会社一覧」としてまとめています。この一覧には、企業努力をしても改善できない可能性が高い場合には「注記」という表示が、企業努力で改善の余地がある場合には「重要事象等」という表示が記されています。
この一覧は必ず見るようにしましょう。少なくとも、「注記」と記載されている企業は投資対象から外すことをお勧めします。
では、「注記」に指定された企業のA社(図表参照)を例に、具体的にどのような危機が予想されるのかみてみましょう。
<業績、財政、キャッシュフローのここをチェック>
・借入金が多く、返せる目処がない。
2021年3月期から2023年3月期予想にかけて自己資本比率(※)が低くなり、有利子負債が大きくなっています。有利子負債とは借入金と社債の合計で、期日までに返さなければいけないお金です。有利子負債と売上高を比べて、有利子負債が売上高を大幅に超えている、あるいは迫っている場合には要注意です。売上高を超えた借入金を返すことはもはや難しいと言えるからです。
2023年3月期予想では自己資本比率はマイナスになり、保有資産をすべて売却しても借入金を返済できない(債務超過)状態です。(※)自己資本比率:総資本のうち純資産(自己資産)の占める割合。高いほど健全性が高い。借入金が多いと数値は低くなる。
・支払うべきお金が手元にない。
企業の家計簿と言われるキャッシュフローにおいて、営業キャッシュフローがマイナスだと「手元の現金が不足している」という状況に陥る危険があります。利益が出ていてもお金として回収できていないと、仕入れ等の支払うべき金額を支払えず資金繰りが苦しくなります。
・株価が100円以下である。
株価が100円以下の企業は、一見すると安く買えてお買い得なのですが、投資家から人気がなく株価が低位に位置していることでもあります。経営状態などに問題が潜んでいる場合もあるため注意する必要があります。
気になる企業があれば予め「企業の継続性にリスクがある会社一覧」に載っていないか確認しておくとよいでしょう。確認するポイントを押さえることで投資スキルが磨かれ、リスク対策にもつながります。ぜひ習慣にしてみてください。
- 適合性、有用性、正確性、完全性を保証するものではなく、あくまで考え方を参考にしていただくことを目的としたもので投資勧誘を意図するものではありません。
- 個別企業の決算短信、会社四季報オンライン(2023年1月10日)より。