環境関連株&半導体関連株!HOTな銘柄、COOLな銘柄 環境関連株&半導体関連株!HOTな銘柄、COOLな銘柄

環境関連株&半導体関連株!HOTな銘柄、COOLな銘柄

全体相場の振返り 30年ぶりの高値水準で大納会

株式アナリストの鈴木一之です。今年もよろしくお願いいたします。

2020年12月の「HOTな銘柄、COOLな銘柄」をお届けします。
いつものように相場の全体観から見てゆきます。

12月の株式市場は、前月の大幅な上昇に続いて堅調な値動きを維持しました。12月相場は基本的に、前月の11月相場の流れをそのまま延長したものと見ることができます。

コロナ危機に直撃された2020年の株式市場は、1年を通じて予想外、意外なことばかり起こりました。12月の株式市場も例外ではありませんでした。

その11月相場は歴史的な上昇となりました。
米国の大統領選挙の投票がまがりなりにも終了したこと、コロナウイルスのワクチン開発に成功したこと、このふたつの要因が同時に寄与しています。
そしてその要因が12月もそのまま継続して、株価を押し上げる原動力として作用し続けたものと考えられます。

日経平均は、11月末の26,433円(小数点以下は省略)から12月末には27,444円まで値上がりしました。
上昇幅は+1,011円に達し、上昇率も+3.82%となりました。
これによって日経平均は実に30年ぶりの高値水準で大納会を迎えることとなりました。

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日足、2021年1月12日まで表示

11月は日経平均が1か月で+3,456円もの上昇を遂げ、過去3番目の上昇幅を記録しました。
上昇率でも+15.0%に達し、それを受けた12月相場は、さすがに上値を追いかけるのはむずかしく、リズムとしても短期的な調整局面に入るだろう、という見方が市場には満ちあふれていました。私もそう考えていました。

コロナウイルスの感染拡大は一向に収まらず、クリスマス商戦を前にして欧米各国が次々とロックダウンに踏み切るという、きわめて厳しい状況にさらされました。
株式市場でも警戒感が強まり、12月初めのころはいつ株価が崩れてもおかしくないほどに神経質な展開が続きました。

だからといって大きく値を崩すこともなく、12月半ばまで「下がりそうで下がらない」という安定感を欠く状況が続いていました。

それが中盤以降に差しかかると、コロナウイルスのワクチンが英国と米国で相次いで承認され、世の中に出回るようになりました。
最初に英国で、次いで米国でワクチンの接種が始まり、その頃から株式市場では徐々に上値を追い始める動きが顕在化してゆきました。「ワクチン相場」の始まりです。

目立った副作用は現れず、年末に向けて世界中の株式市場が上値を志向する展開となりました。
ワクチン接種の開始に加えて、米国では追加的な経済対策への期待が高まったことがあります。

米国の大統領選挙は11月3日に初旬に投票が終わり、接戦の予想に反して早々と民主党のバイデン候補が選挙人の過半数を獲得したことが確定しました。
しかしトランプ大統領は一向に負けを認めず、敗北宣言を出しません。
投票に際して組織的な不正が行われたことを主張し、票の数え直しを要求するばかりです。

その間に春先に打ち出した家計への給付金の支給が失効し、追加の経済対策を打つ必要が生じてきました。
しかしこれが再選を目指す共和党と、政権交代に手が届く民主党との間で協議が難航し、年末ギリギリまで不毛な折衝が繰り返されました。

経済対策での合意は半ばあきらめていたクリスマス目前の12月22日に、総額9,000億ドルの経済対策がようやく合意に至りました。
議会の閉会が目前に迫る中での綱渡りですが、トランプ大統領は署名するかどうかでここでも時間を引き延ばし、マーケットは連日ピリピリしていましたが、年末までにはどうにか1人2,000ドルの給付金の支給が決定しました。
これが年末に向けて株価の一段高につながったと見られます。

日経平均は大納会の前日、12月29日(火)に+714円も上昇して、1日の上昇幅としては今年2番目の上げ幅を記録しました。
終わってみれば日経平均は28,000円の大台を軽々と越えて、30年ぶりの高値で1年の取引を終えました。

2020年を振り返れば、日経平均は2019年末の23,656円から2020年末の27,444円へと、値幅にして+3,788円、上昇率で+16.0%もの大幅な上昇を成し遂げました。
月末の終値が最も低かったのが3月末の18,917円です。
そこから計算すれば上昇幅は+8,527円、率にして+45.1%もの大幅高となります。

歴史に記される特筆すべき「パンデミック」の年となった2020年。
第一次世界大戦と同時期のスペイン風邪の大流行以来、100年ぶりに人類にもたらしたパンデミック(感染症の世界的な流行)によって世界経済は激しいダメージを受けました。

世界中の国の人々が失業の危機、企業倒産の危機、親しい人たちの生命の危機にさらされています。
その年(2020年)にこれほどの株価の上昇が実現するとは、おそらく誰にも予想はできなかったでしょう。
あらためて「予想とはなにか」を考えさせられる1年でした。

現在の株高は、空前の規模で実施された経済対策、金融緩和と財政政策によってもたらされたものですが、同時にそれは、次の景気拡大がすでに始まっていると匂わせる株高でもあります。

4年に1度の米国・大統領選挙が、結果はともかくとしてひとまず終了したこと、ウイルスに対抗する唯一の手段であるワクチン開発に成功したこと、このふたつの理由によってまがりなりにもマーケットの不透明要素が払拭され、株式や債券市場から逃げ出していたリスクマネーが急速に元の場所に戻ってきたことが、11月から12月にかけての株高の最大の理由と見られます。

この楽観モードがいつまで続くのか、人類は果たしてコロナ危機を克服できるのか、民主党に政権が移った米国はうまく舵取りできるのか、世界経済はいつごろ元に戻るのか、米中対立の行方はどうなるのか。

香港、台湾、イラン、ロシア、EU離脱後のイギリス、そして日本。難問は山積みされたままの状況です。
そうして迎えた2021年相場は、数え切れないほど波乱の芽を抱えたまま、当分の間は暗闇の中で手探りを続けるような気配です。
警戒心ばかりが渦巻く30年ぶりの高値水準で新春を迎えています。

HOTな銘柄

個別銘柄の値上がり、値下がりに関しても、12月に騰落の目立った銘柄はかなりの部分が11月に動いた銘柄と理由がほとんど同じです。
人々の行動や企業の活動が「コロナ危機への対処」という点に絞り込まれているため、なかなか変化が出てきません。

上昇した銘柄の割合で言えば、1か月間に+20%以上の上昇を遂げた銘柄数は、11月は東証1部で244銘柄に達しました(ETFを含む)。
それが12月には84銘柄にとどまりました。11月の上昇のインパクトはそれだけ強烈だったということです。

それでも12月相場は、基本的にクールダウンの月でしたが、ひとたび相場の勢いに火が付くと悠長なことは言っていられません。
時間の経過とともに物色の輪が次々と広がってゆきました。

個別銘柄の物色テーマは、中核として環境関連株半導体関連株が挙げられます。全体を通じてバリュー株の反転上昇が際立っていました。以下に順を追って概観します。
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(1)環境関連株

11月に続いて12月相場でも環境関連銘柄への人気が継続しました。

上昇率の第2位には、なんと大型株の>川崎重工(7012)(上昇率+53.4%)が堂々とランクインしました。

川崎重工は12月相場に先立つ10月29日の時点で、第2四半期(Q2)の決算を発表し、それをきっかけに株価は長期の低落基調から反転しました。

この決算では営業利益が▲218億円の赤字でしたが、同時に2021年3月期の通期の業績見通しを引き上げ、それまでの営業利益▲300億円から▲200億円の赤字に上方修正されました。

業績引き上げの理由が、北米と欧州で二輪車の販売が計画を上回っていること、および中国で建機向け油圧機器の販売が好調であることの2点が主因です。

もともと業績が底入れし好転しつつあったところに、12月相場では川重が得意とする水素エネルギー、再生可能エネルギーへの長年の取り組みがマーケットでは大きく取り上げれることとなりました。

たとえば川重は取り扱いのむずかしい水素に関連する技術では、▲253℃の超低温の液化水素を大量に貯蔵する液化水素貯蔵タンクを開発しており、種子島のJAXA宇宙センターに納入しています。

太陽光発電や風力発電は地球環境には向いていますが、発電量は気象条件に大きく左右されます。
それを平準化するために大容量の蓄電池が発電所に併設されることになっており、ここでも川重の開発した大容量ニッケル水素電池「ギガセル」が活用されます。

環境関連株の人気は11月相場から一段と勢いを増しています。
川重に限らず少しでも環境技術に関わりのある企業は、次々と物色対象に加わってゆきました。

同じ造船株では日立造船(7004)も上昇率+41.8%で第7位に登場しました。

日立造船は社名に「造船」と付いていますが、造船部門は不採算事業としてすでに切り離しており、事業の主軸は船舶用機器、エネルギー、プラント、半導体関連機器、電子制御機器に移行しています。

その中でも日立造船が近年力を入れているのが、やはり水素関連技術です。
水を電気分解して水素を取り出すオンサイト型水素発生装置は、必要な時に必要なだけの水素ガスを発生させることができるため安全性が高いとされています。

三菱重工業(7011)も上昇率+34.2%で第18位に浮上しました。
三菱重工と言えば、最近はリージョナルジェット機「MSJ」からの撤退、風力発電からの撤退と後ろ向きの発表ばかりが目立っていました。
しかし11月末に公表した事業計画では、水素のサプライチェーンやCO2回収になど環境・エネルギー分野に3年間で900億円投入することを明らかにしており、それがここで全面的に評価されることとなりました。

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週足、2021年1月12日まで表示

これらの銘柄に共通するのは、環境関連の重機メーカーというだけでなく、これまで長らく株価が低迷していた重厚長大産業という点です。
PBR(株価純資産倍率)は解散価値である「1倍」を大きく下回っている、典型的なバリュー株です。

12月相場の特徴は「環境関連株」というテーマに沿った形で、バリュー株が一斉に切り返しに転じた側面が色濃くなっています。

環境関連株はこれらのほかにも上昇率ランキングにずらりと並んでいます。

第5位、新日本理化(4406)(+46.4%)
(水を電気分解して酸素・水素を製造する技術が本業。EVで活用されるトラクションモーター用オイルでも強みを有する)

第6位、三桜工業(6584)(+42.3%)
(自動車用チューブ、ブレーキ、燃料配管を製造、2018年に全固体電池の開発を目指す米国のベンチャー企業に出資)

第9位、エー・アンド・デイ(7745)(+40.8%)
(医療用計測器や血圧計を製造、リチウムイオン電池をはじめ二次電池や自動車の自動運転など製造・開発のあらゆる工程でデータ計測が欠かせず、ニーズが高まる)

第10位、駒井ハルテック(5915)(+40.5%)
(長大橋梁や都市再開発で欠かせない鉄骨メーカー。風力発電の風車をはじめ発電システム全体を設計、製造、メンテナンスする)

第13位、オーバル(7727)(+37.5%)
(流体計測機器(流量計)のパイオニア。日本で初めて容積流量計を製造。水素ステーションが日本の至るところに設置された場合、そこでも同社の流量計が活躍する)

第14位、クレハ(4023)(+37.2%)
(ファインケミカル大手、工業化では日本最初のポリフッ化ビニリデン樹脂「クレハKFポリマー」がリチウムイオン電池のバインダーに用いられ世界シェアは4割を有する)

第21位、IHI(7013)(+32.0%)
(火力発電所用の大型ボイラー、水素発生の原料となるLNGタンクに強い、アンモニアを混合してCO2を4割減らす大型ガスタービンを開発)

第25位、新日本電工(5563)(+31.1%)
(合金鉄のトップ企業、リチウムイオン電池の正極材として用いられるマンガン酸リチウムでもシェアトップ)

第34位、明電舎(6508)(+27.7%)
(重電メーカーの一角、変電システムに強く、EV、PHV向けモーターやインバータも供給する)

第43位、エンビプロHD(5698)(+25.8%)
(鉄スクラップ、非鉄、プラスチックなどリサイクル大手、リチウムイオン電池のリサイクルも手がける、再生可能エネルギーの導入コンサルティング事業も展開)

第50位、木村化工機(6378)(+24.7%)
(ヒートポンプ式アンモニア回収装置を世界で初めて、低濃度のアンモニア水から高純度の水素を製造し燃料電池の発電に成功)

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週足、2021年1月12日まで表示

このように12月相場で上昇率ランキングの上位銘柄の多くが、事業の一角として環境分野に関わっています。
これほどの広がりを見せるとは、菅首相の所信表明演説を最初に聞いた10月末の段階では想像できませんでした。
それほど日本の製造業は長年にわたって省エネ、リサイクル、クリーンエネなどの環境分野での技術を蓄積してきた実績が浮かび上がります。
環境関連銘柄はまだしばらくの間、すそ野を広げることでしょう。

11月相場でも記したことを再度記載しておきます。
環境関連株がこれほどまで広く物色される理由としては以下のような背景があります。

(a)10月26日召集の臨時国会の所信表明演説で、菅首相は「デジタル社会の実現」とともに「グリーン社会の実現」を掲げたこと。

環境政策を前面に打ち出す姿勢を明らかにした。具体的には「2050年に温暖化ガスの排出を実質ゼロにする」というもの。ここから「脱炭素社会」、「カーボン・ニュートラル」、「グリーン成長戦略」のトレンドが形成された。

(b)米国ではバイデン新政権の成立が確定。就任早々に地球温暖化を食い止める国際協約「パリ協定」への復帰を明言しており、あわせて2兆ドルに及ぶ環境投資を実施すると公約に掲げた。

EU、英国、中国も2050~60年にかけてガソリン車の発売をゼロにする方針を表明しており、2021年は世界中が「カーボン・ニュートラル」一色になりつつあります。

12月29日の日本経済新聞1面に掲載された「社長100人アンケート」では、回答した141社の経営者の9割が、2050年に温暖化ガスの排出量を実質ゼロにするという政府の目標に対して、「達成は可能」だと答えています。

それとともに8割の経営者が今年末までに「削減計画を策定する」と答えています。
産業界はかなり前倒しして温暖化対策を実行に移してゆく考えを持っているようです。

そうなるとおそらくここからは、かなりのペースで工場内の機械のバージョンアップや製造計画、エネルギー調達計画などが更新、策定されてゆくことになるはずです。

それはとりもなおさず、大企業によって設備投資が活発に行われることにつながります。
企業や日本経済にとって、温暖化対策は「成長の阻害要因」と見られていたのは昔の話です。
これからは温暖化対策によって成長を目指す方向性を想起するべきでしょう。
新しい成長市場、成長産業が生まれようとしています。

(2)半導体関連株

半導体・電子部品株は引き続き買い人気を集めています。

リードフレームの三井ハイテック(6966)が上昇率の第16位、+34.6%と大きく上昇しました。三井ハイテックは11月相場でも+35.9%値上がりしており、小型の半導体関連株として存在感を示しました。

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同じように、ウエハ計測に用いるプローブカード大手の日本マイクロニクス(6871)(第23位、+31.8%)、リードフレーム用の伸銅品を手がける三井金属(5706)(第32位、+28.0%)、試作段階で使用する再生ウエハのRSテクノロジーズ(3445)(第37位、+27.2%)、真空チャンバーなど半導体製造装置用の精密部品を製造するマルマエ(6264)(第42位、+26.0%)も顕著な値上がりが見られました。

12月相場のランキング入り銘柄ではありませんが、製造装置大手の東京エレクトロン(8035)は年明け早々に株価が4万円に乗せ、上場来高値を更新しました。

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同じように信越化学工業(4063)アドバンテスト(6857)ディスコ(6146)東京応化工業(4186)も派手な動きは見られませんでしたが、12月も安定した値動きを維持しています。

アップルは「iPhone12」の売れ行きが好調なことから増産を決定しました。巣ごもり消費も手伝って、ゲーム機、パソコン、タブレットの売れ行きが好調です。液晶テレビまでが売れに売れています。それらは半導体の需要に直結します。

バリュー株の反発が総じて目立った12月相場の中にあって、旗色の悪いグロース株の中でも半導体や電子部品に代表される銘柄は、引き続き根強い人気を保っています。

これなどは基本的に循環物色の流れとも言えそうで、それによってテクニカル的な過熱感が生じにくい展開が続いています。下げそうで下げない12月相場の秘密はこの辺にひそんでいるようにも感じられます。

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COOLな銘柄

続いて下落率の大きかった「COOLな銘柄」です。
こちらは一言で言って「小型成長株」に要約されます。

サブスクリプション課金モデルのテモナ(3985)(第4位、▲25.5%)は、コロナ危機が深刻化した昨年春先から秋口にかけて株価は3倍以上になりました。しかし10月初旬にダブルトップをつけてからは、年末にかけてほぼ一貫して下落しています。

11月半ばに発表された2020年9月期の決算は、初の連結決算で前年との比較はできませんが、実質的にはかなりの減益となりました。
成長期待の大きかったわりには実際の利益成長が見られず、割高な評価を受けていた株価が下落基調に転じたと見られます。

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業績が好調な企業でも、Eコマース支援・決済代行のラクーンHD(3031)(第11位、▲21.5%)をはじめとして、美顔器や健康機器など巣ごもり消費のヤーマン(6630)(第11位、▲19.9%)、インターネットインフラ構築のIIJ(3774)(第21位、▲18.3%)、B2B向けネット通販のMonotaRO(3064)(第22位、▲17.9%)、オンライン教育事業のEduLab(4427)(28位、▲17.3%)、デジタルマーケティングのオーケストラHD(6533)(40位、▲15.14%)など、夏から秋にかけて株価が大幅な上昇を遂げた小型成長株がそろって軟調な動きとなりました。

それらの銘柄は、いくつかの例外を除いて、悪材料が出たわけではありません。
それどころか今後もコロナ危機下で業績を伸ばすことのできる「ウィズコロナ銘柄」として、株式市場で折に触れて注目を集める銘柄だと考えられます。

それでも株価が大きく下げているのは、やはり「ワクチン相場」の基本的な流れがここにも影響していると見るべきでしょう。
ワクチン接種が先進諸国から始まり、年が明けて製薬会社の生産体制が整えば、接種のスピードはさらに速まります。

それに伴ってコロナウイルスの感染拡大が止まるという期待が生じ、ひいては世界経済の回復期待につがなっています。
そうするとコロナ危機の下で業績が大幅に落ち込んだ企業はかえって浮上しやすくなり、反対にコロナ危機下で業績を大きく伸ばした企業は相対的に魅力が薄れてしまいます。

バイデン新政権が発足すれば、早々に巨額の経済対策が打ち出されるとの見通しも高まっています。
12月相場は業績不振にあえいでいた大型バリュー株が浮上して、逆に業績好調に沸いた「ウィズコロナの小型成長株」が下落するという展開が顕著に見られました。

なお、下落率の第41位には楽天(4755)(▲14.9%)の名が見えます。12月3日にNTTドコモが通信料金を大幅に引き下げた新プラン「「ahamo(アハモ)」を発表し、その影響がこのような形で現れています。

菅首相が携帯キャリア大手に対して求めた通信料金の引き下げに応えた形となっています。

「アハモ」は20ギガで月額2,980円という破格の安さとなっています。
5G対応で、しかも新規契約の事務手数料は無料、MNPの転出手数料も無料という低額のサービスです。
1,000円を加算すれば国内通話もかけ放題になり、これによって楽天の相対的な有利さは明らかに低下してしまいました。
それが楽天の株価を大きく押し下げています。

楽天にとって2020年は、Eコマースと金融部門が想定を超えて伸びたものの、旅行と通信がそれ以上に厳しい状況に置かれました。
差し引きすると収益上では後退を余儀なくされた1年だったと評価されそうです。

デジタルトランスフォーメーション全盛の時代は、業績も業界内での位置づけも、企業の戦略もそして株価も、一夜にしてがらりと変化してしまう激しさを伴った変化が増えるように思います。
さて、2021年の相場はどのような展開になるのでしょうか。
大きな期待と少しの不安でワクワク・ドキドキしています。

以上

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鈴木一之

鈴木一之

株式アナリスト

1961年生。1983年千葉大学卒、大和証券に入社。
1987年に株式トレーディング室に配属。
2000年よりインフォストックスドットコム、日本株チーフアナリスト
2007年より独立、現在に至る。
相場を景気循環論でとらえるシクリカル投資法を展開。

主な著書
「賢者に学ぶ 有望株の選び方」(2019年7月、日本経済新聞出版)
きっちりコツコツ株で稼ぐ 中期投資のすすめ」(2013年7月、日本経済新聞出版社)

主な出演番組
「東京マーケットワイド」(東京MXテレビ、水曜日、木曜日)
「マーケット・アナライズplus+」(BS12トゥエルビ、土曜13:00~13:45)
「マーケットプレス」(ラジオNIKKEI、月曜日)

公式HP
http://www.suzukikazuyuki.com/
Twitterアカウント
@suzukazu_tokyo

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当コラムは投資の参考となる情報提供を目的としており、特定の銘柄等の勧誘、売買の推奨、相場動向等の保証等をおこなうものではありません。
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