2020年の振り返り
2021年の株式市場の見通しを述べる前に、2020年がどういった年だったかということを話す必要があります。
中国の武漢で発生した新型のコロナウイルスによるパンデミックにより、世界の景色が一変しました。
多くの国や地域で経済制限が行われ、世界の経済活動が大きなダメージを受けました。
中国は早々に立ち直りましたが、欧米を中心に4月から6月期のGDPが大きく失速することとなりました。
コロナの影響を受けて2月から3月にかけて世界同時株安の様相を呈しました。
3月から切り返しが入るも二番底を警戒する意見が多い中、米国を中心とする株式市場は多くの警戒心を裏切って大きく上昇しました。
米国ではナスダック総合指数が史上最高値を更新し、ダウ工業株30種平均も史上最高値を更新し歴史上はじめて3万ドルを突破しました。
その背景にあるのは、世界中で金融緩和やコロナの影響を緩和するための大規模な経済対策が行われたことが挙げられます。
もちろん、違った意見もあるでしょう。
ただし、チャート分析をする側の立場から言わせていただくと、内容がどうであれ今のチャートの上昇がすべてであるということです。
2021年のポイント
では、ここから2021年の株式市場の見通しを見ていきましょう。
ポイントとなるのは今の株式市場の上昇が本物かどうかということです。
どういうことかというと、今の上昇が本物でコロナ問題を解決して経済が再び動き出したときには、もっと、強烈な上昇をするということも考えられます。
一方で、今の株価の上昇が単なる期待感だけで上昇しているのであれば、実体経済の状況との乖離が大きくなり過ぎたときに、大きな反動の下落相場がやってくるということです。
両方言えばどちらかになるでしょうという声が聞こえてきそうですが、私が言いたいことは、2021年は上がるにせよ、下がるにせよボラティリティ(変動率)が高くなるということです。
私が常々申し上げていることがあります。それは、「予想はよそう」ということです。
予想はよそうというのがどういうことかというと、未来は誰にもわからないのだから、来年には日経平均株価が3万円を付けるとか、2万円を付けるというのは意味が無いということです。
では、どのようにチャート分析をしていくのかというと、予想ではなく予測をしていくのです。
では、チャートを見ながら解説していきます。
まず、日経平均株価は29年半ぶりの高値を付けています。
2018年からは高値がほぼ一定で安値が切り下がるという「Y波動」という高値切り上げ安値切り下げの形状となっています。
これは、値動きが徐々に大きくなってきていることを示唆しております。
ということは、2021年も動きが大きくなることが予測できます。
では、次に、上昇する場合と下降する場合の予測値を出して見ようと思います。活用するのは一目均衡表の値幅観測論から導き出してみます。
この計算値に基づくと、3月からの上昇における「N計算値」は28,358円(小数点切り捨て)となります。
コロナショック後からの「V計算値」では、30,014円となり、「N計算値」を突破すれば大台の3万円に挑戦という局面も出てくるかもしれません。
逆に、安値においては、これまで「Y波動」という側面からすれば3月の16,358円に向けた動きがあったとしても想定内ではあります。
ただし、そこは現状では現実味が薄いので、2018年10月の高値24,448円や今の200日移動平均線が推移している23,170円辺りが下限としては意識されそうです。
大事なことは、どういう価格を付けるかではなく、いかなる相場展開になっても対応できるように準備をすることです。
2021年は例年よりも動きが大きくなることがチャートの動きから予測できます。
2021年の注目銘柄
では、最後に2021年注目の5銘柄を記載しようと思います。
まずは、コロナショックの中で大きく上昇したのは「GAAFM」となりますが、それでは味気ないので一つ目は「テスラ」です。
バイデン氏が大統領になるとクリーンエネルギー政策に力を入れることがほぼ約束されています。
二つ目に「ファイザー」です。
コロナワクチン開発で一歩先を行く企業です。ダウ工業株30種平均からは除外されましたが、今のコロナ時代の代表銘柄です。
三つ目は「ファーストリテイリング(9983)」です。
値がさ株の代表銘柄ですが、今年はものすごい勢いで上昇しています。
日本株の動向のヒントを探るヒントになる銘柄ですので注目しています。
四つ目に「ソフトバンクグループ(9984)」です。
投資会社になりましたが、この企業の業績は世界の株価や日本の株価に大きく影響を受けますので注目していきましょう。
そして、五つ目は「ドルインデックス」です。
世界の基軸通貨のドルの動きを確認するときには、ドル自体の強弱をみるのに活用できるものです。
今はドルの独歩安の展開になっています。
このドルが大きく上昇するときには有事のドル買いになることがありますので注意して見てきましょう。
執筆者:小次郎講師
本名:手塚 宏二
ライフワークは “日本に正しい投資教育” を根付かせること
株式会社手塚宏二事務所代表
チャート分析研究・トレード手法研究家・トレードコーチ
小次郎講師投資塾々長
日本テクニカルアナリスト協会認定 テクニカルアナリスト
■経歴
1954年(昭和29年)岡山県岡山市生まれ
チャート分析の第一人者として、投資セミナー、書籍などを通じて個人投資家向けの投資教育活動を精力的に展開。
■メディア
ラジオNIKKEIレギュラー番組
「小次郎講師のチャートラボラトリー」毎週木曜日17:30放送
・ホームページ
https://kojirokousi.com/
・twitter
https://twitter.com/kojiro_kousi
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