【特集】2021年をヨム/和島英樹氏 【特集】2021年をヨム/和島英樹氏

【特集】2021年をヨム/和島英樹氏

2021年の見通しと予想レンジ

2021年の株式市場は、日経平均で3万円の大台を伺う展開になりそうです。
ただ、新型コロナウイルス感染症を徐々に克服する経済の正常化の過程で、金利の上昇が予想され、これが波乱要因になる可能性があると考えています。

ファンダメンタルズ面からは、企業業績の回復が挙げられます。
21年3月期は新型コロナ影響で大幅な減益が見込まれますが、来22年3月期はV字型回復が予想されています。
「金融相場」から「業績相場」へバトンタッチが順調に進むかがポイントです。

需給面では外国人投資家の買いが継続することが期待されます。
外国人投資家は今年10月までは現物と先物合計で年初から約9兆6,000億円の売り越しでしたが、株価が上昇した11月には月間で3兆円を超える買い越しに転じています。
日本株を見直す動きが当面は継続しそうです。

日経平均の予想レンジは2万4,000円から3万円程度を予想します。
22年3月期の決算予想に期待がかかる4月~5月が高値、金利上昇が懸念される秋にかけて調整するパターンがメーンシナリオです。

テーマは5G、EVなどの環境、半導体、DX(デジタルトランスフォーメーション)など20年の流れを引き継ぐとみられるほか、外食、輸送、対面の小売りなどコロナで苦しんだセクターの一角の反転も期待できそうです。

2021年注目銘柄

ソニー(6758)
AV機器の大手。
イメージセンサー、ゲーム、映画・音楽分野などに注力しています。
海外でのブランド力は絶大です。
同社のCMOSセンサーは世界トップシェアを有しています。
遠くでも、暗闇でもセンシングできることで、様々な用途で需要があります。
次世代通信規格「5G」の基地局が網羅されれば、自動運転でセンサーを活用することにより、障害物を瞬時に補足できます。
また、24時間稼働の工場の生産ラインでは、生産ラインのロボットの状態把握や検品にも使える可能性があります。

ゲームでは「プレイステーション5」が20年11月に発売されました。
世界中で順次投入され、高精細、滑らかな操作などで品薄になるほどの人気を集めています。
ソフトウエアタイトルも幅広いラインナップが揃い、22年3月期の業績にも寄与しそうです。

ソニー(6758) 月足表示。2020年12月7日終値まで。

日本瓦斯(8174)
関東を地盤にLPガスや都市ガスを展開しています。
DX関連として注目しています。
IoT活用の自動検針装置を21年3月期中に全顧客宅に設置完了の予定です。検針を無人化できます。

また、家庭のガスメーターに設置したRFID(電子タグ)などの無線通信機器が、使用量をリアルタイムに把握。
クラウド経由での自動認証などにより、営業車両やガスボンベ、人などの位置情報をリアルタイムに把握できる仕組みも推進しています。
22年3月期からDXの効果が出てくる見込みです。

日本瓦斯(8174) 月足表示。2020年12月7日終値まで。

富士フィルムホールディングス(4901)
写真、液晶フィルムからヘルスケアに幅広く展開。
特に医療分野に注力しています。
目の難病である加齢黄斑変性やパーキンソン病でiPS細胞を使った再生医療の開発を進めています。
一方、傘下の富士フィルム富山化学ではアルツハイマー型認知症候補薬が欧州で臨床試験の第2段階にまで進んでいます。

新型コロナ関連では治療薬の「アビガン」を国内で承認申請しているほか、米国でも臨床最終試験に入っています。
また、米イーライ・リリー社から抗体医薬品の原薬製造を受託したと発表しています。
バイオ企業としての評価が高まりそうです。

富士フィルムホールディングス(4901) 月足表示。2020年12月7日終値まで。

DMG森精機(6141)
NC旋盤、マシニングセンタで最大手格。
日本、米州、欧州、アジアの4極生産販売体制を確立。
独最大手のギルデマイスター社と資本・業務提携し、16年に連結子会社化しています。
工作機械受注の回復とともに業績の改善が期待されます。
20年12月期の売上高は3300億円(前期比32%減)、営業利益は100億円(同73%減)~110億円(同71%減)予想と厳しいです。
しかし、営業利益は4~6月期の8億4300万円の赤字が底。
自動車向けなどが動き出し7~9月期は38億円の黒字となっています。21年12月期は急回復が有望。
工作機械株は日本の得意な「モノ作り」の代表的なセクターです。株価の評価も21年に高まることが予想されます。

DMG森精機(6141) 月足表示。2020年12月7日終値まで。

明電舎(6508)
社会インフラ、各種産業向け製品に展開。
発電や制御装置に強みがあります。EV(電気自動車)関連として関心が高まっています。
今年10月19日に甲府明電舎でEVモーターの新工場が完成したと発表しました。
延べ床面積は約3500平方メートルで、年間17万台の生産能力があります。
発表資料では「拡大するEV市場の要求に対応し、車載モーターの中核工場として生産ラインの増強によるさらなる事業規模拡大を目指す」などとしています。
21年3月期は減益ですが、これはEV向けの先行投資負担が重いことが主因です。
来期からはEV関連が業績をけん引する可能性があります。

明電舎(6508) 月足表示。2020年12月7日終値まで。
和島英樹

和島英樹

経済ジャーナリスト。

日本勧業角丸証券(現みずほ証券)入社。株式新聞社(現モーニングスター)記者を経て、2000年ラジオNIKKEIに入社。
東証・記者クラブキャップ、解説委員などを歴任。
2020年6月に独立。企業トップへの取材は1,000社以上。
ラジオNIKKEI担当番組に「マーケット・プレス」など。
日経CNBC毎週水曜日「デイリーフォーカス」にレギュラー出演。
四季報オンライン、週刊エコノミストなどへ寄稿多数。
国際認定テクニカルアナリスト(CFTe)。
日本テクニカルアナリスト協会評議委員。

2021年をヨム

当コラムは投資の参考となる情報提供を目的としており、特定の銘柄等の勧誘、売買の推奨、相場動向等の保証等をおこなうものではありません。
また将来の株価または価値を保証するものではありません。投資の最終決定はご自身のご判断と責任で行ってください。詳しくは「ご注意事項」をご確認ください。

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