ファンドアナリストの川上です。
新型コロナウイルス感染症に罹患された皆さま、感染拡大により影響を受けられている皆さま、そのご家族や関係者の皆さまに謹んでお見舞い申し上げます。
コロナショックで株式市場の乱高下に見舞われた2020年上半期が終わりました。今回は、つみたてNISAファンドの運用状況について点検してみたいと思います。
つみたてNISAとは、少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。通常の取引では利益に対して約20%が課税されますが、これが非課税となります。
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当社つみたてNISA口座における2020年6月の購入金額上位7ファンドは、米国株式、先進国株式、8資産バランス、先進国株式、日本株式(ひふみプラス)、全世界株式(除く日本)、全世界株式(オール・カントリー)の順となっています。
当社つみたてNISA口座 購入金額ランキング(2020年6月)と運用実績
購入 金額順 |
ファンド名 | 運用会社 | 6ヶ月 リターン |
1年リターン | 3年リターン (年率) |
---|---|---|---|---|---|
1 | eMAXIS Slim米国株式 (S&P500) |
三菱UFJ国際 | ▲6.60% | 5.96% | - |
2 | eMAXIS Slim先進国株式 インデックス |
三菱UFJ国際 | ▲8.52% | 2.36% | 5.36% |
3 | eMAXIS Slimバランス (8資産均等型) |
三菱UFJ国際 | ▲8.80% | ▲1.70% | 1.88% |
4 | <購入・換金手数料なし> ニッセイ外国株式 インデックスファンド |
ニッセイ | ▲8.52% | 2.36% | 5.31% |
5 | ひふみプラス | レオス | 1.44% | 12.58% | 6.47% |
6 | eMAXIS Slim全世界株式 (除く日本) |
三菱UFJ国際 | ▲8.97% | 1.50% | - |
7 | eMAXIS Slim全世界株式 (オール・カントリー) |
三菱UFJ国際 | ▲8.90% | 1.62% | - |
参考 | eMAXIS Slim国内株式 (TOPIX) |
三菱UFJ国際 | ▲8.21% | 2.98% | 1.09% |
※2020年6月末基準
コロナショックの真っ只中で株式市場のボトムとなった3月頃は、つみたてNISAファンドの年初からのリターンは大幅なマイナスとなり、場合によっては、つみたてNISA口座の損益が一時的に大幅なマイナスとなって心配されていた方も多かったのではないかと思います。
しかしその後、ファンドを売却せずにつみたて投資を継続したことによって、損益のマイナスが減った方、損益がプラスに戻った方も多いのではないでしょうか。
当社つみたてNISA口座の購入金額上位7ファンドで、6ヶ月間の運用実績をみると、パフォーマンス順では、ひふみプラス、米国株式、先進国株式、8資産バランス、全世界株式となりました。
8資産バランスが直近6ヶ月間で劣後した要因は、投資対象の1/4を占めるREIT(日本と先進国)が相対的に低迷したことがあります。同様に、全世界株式が劣後したのは、除く日本、オール・カントリーともに1割強を占める新興国株式が相対的に低迷したこと要因です。
これら7本のファンドのなかでは、6ヶ月リターンが唯一プラスとなり、良好な実績を上げたといえるのが、ひふみプラスです。
ひふみプラスは主に日本の成長企業の株式に投資するファンドで、成長企業の目利き力と柔軟な運用姿勢が特徴です。一定の運用方針のもとで、運用担当者が独自に銘柄の資産配分を決めるというアクティブファンドになります。
参考として、東証株価指数(TOPIX)への連動を目指すインデックスファンドの運用実績を掲載していますが、この6ヶ月間では、ひふみプラスが+1.44%、TOPIXのインデックスファンドが▲8.21%となり、大きな差が出ました。この要因は、ひふみプラスはコロナショックのピーク前といえる2月中に保有する株式の一部を売却し、現金等の比率を3割強まで引き上げたことで、コロナショックによる下落を一定程度に抑えたこと、3月下旬以降のマーケットの上昇局面において、外国株式を含む一部の組入銘柄の大幅な上昇が寄与し、TOPIXより上昇率が大きかったことがあります。ひふみプラスはコロナショックの波乱局面でアクティブファンドの特徴である機動的な運用を実践し、好成績を上げたファンドといえるでしょう。
つみたてNISAファンドは、運用コストの低いインデックスファンドが多く選ばれているので、投資しているインデックスファンドは、継続して積立投資していくのがおすすめです。ただ、ファンドの定期点検や見直しも場合によっては必要です。つみたてNISA口座ではつみたてた資産は売却してしまうとその枠は今後非課税のメリットが受けられないため、そのまま維持し、これから投資するファンドの比率を見直すことも有効といえます。
つみたてNISA対象ファンドのなかでは、アクティブファンドの選択肢は少なくなっています。しかし、ウィズコロナで先行きが不透明な投資環境においては、運用実績の良いアクティブファンドを投資対象に加えるのも良いのではないかと考えています。
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ファンドアナリスト川上が、投資アイデアや注目の投資信託をご紹介します。皆さまのポートフォリオの構築や積立投資の参考にしてみてはいかがでしょうか。
ファンドアナリスト 川上雅人
川上雅人
ファンドアナリスト
中堅証券会社にて日本株アナリストとして2年半経験。大手運用会社で18年間、投資信託のマーケティング業務に従事。2019年11月、カブドットコム証券(auカブコム証券)に入社し、ファンドアナリストとして投資信託、ETF等の情報提供を担当。投資信託を投資家目線でわかりやすく解説することを目指すとともに、投資信託の情報をもとにした投資アイデアを提供。