現状維持バイアスとは
通信費の見直しを検討していたAさん。携帯電話会社を、他社に変更することで、毎月5,000円の節約ができることがわかりました。しかし、変更の手間もかかるし、使い勝手が悪くなるのではないかなどの心配から、そのまま数年経過しました。経過した期間の節約効果を計算したら、20万円弱を無駄にしていたことに!
少しでも早く変更をしていれば、こんなにまとまったお金を、無駄にすることもなかったわけですが、これは「現状維持バイアス」によるものと考えられます。
「現状維持バイアス」とは、変化することで得られる可能性がある「利益」よりも、失うかもしれない「損失」に対して、過剰に反応してしまいます。「心のゆがみ(バイアス)」により、現状に満足していないにもかかわらず、維持することを選んでしまう無意識の行動を指します。
変化をしなければ、大きな失敗は避けられるかもしれません。しかし、節約できるはずの無駄を、そのまま続けているなど変わることで、得られる「利益」を放棄すれば、たとえ少額であっても積み重なれば、大きな「損」となりえます。
現状維持バイアスを克服しよう!
では、無意識の行動である「現状維持バイアス」を、克服するためにはどうしたらよいのでしょうか?
まずは、「現状維持バイアス」が自分にもあるかもしれないと、認識することが第一歩となります。そして、変化することによる効果を、具体的な数字で確認したり、メリットやデメリットをアウトプットして、整理することも効果的です。
何を変化させたらよいかわからない、なかなか行動につながらないという場合は、中立な視点で利益と損失を判断して、行動を促してくれるファイナンシャル・プランナーなどの第三者に、相談してみるのもよいでしょう。
「現状維持バイアス」は、お金に関わる場面で随所に見られる心理作用です。資産形成をする上でも無駄な支出を削ることは欠かせませんので、とらわれているものがないかを、確認するところから始めてはいかがでしょうか。