アメリカにおける「リセッション(景気後退)」とは
景気の見通しがあまりよくないと、景気後退を意味する「リセッション」という言葉をよく耳にするようになります。
単に景気が悪くなったというだけでなく、このリセッションという言葉にはきちんとした定義があります。
アメリカでは、GDPが2期連続マイナスになるとリセッションといわれます。
ただし、これは簡易的なもので、正式には、NBER(全米経済研究所)という民間非営利機関が判断し発表しています。
具体的には、NBERは、鉱工業生産や雇用、小売りの実質販売高などGDP以外の諸指標も含めて一定期間観察した上で総合的にリセッション入りやリセッション終了の時期を判断しています。
例えば、直近のコロナショックにおいては、たった2カ月にもかかわらずリセッションと判断されており、必ずしもGDPの2期連続マイナスが条件ではないことがお分かりいただけるでしょう。
このように、GDP以外の指標も含めて総合的に判断するため、「実はあの時がリセッション入りだった」とか「気づかないうちにリセッションが終わっていた」ということもあります。
ですから、私たちがリセッション時期を明確に予測することはなかなかむずかしいです。
<近年の主なリセッション>
各指標にも注目!アメリカのリセッション(景気後退)対策
基本的には、リセッション時期の株価は下落傾向にあります。
下落率としては、約30%~60%(リーマンショック時の55%が過去最高)を考えておく必要があります。
<リセッション時期の株価の下落率>
そのようなリセッション入りが懸念された場合、私たちはどのような投資をしていけばよいのでしょう。
株価は先行指数です。
「リセッション入りした」ということを聞いてから株価が下がるのではなく、「リセッション入りしそうだから」という投資家心理によって株価が下がることになります。
ですから、「リセッション」という言葉に惑わされるのではなく、米国におけるGDPや雇用統計、消費者物価指数などの指標をもとに、ご自身で景気の動向を探ることも必要でしょう。
なお、リセッション時期には株価が下落するため、安定資産に資金がシフトする傾向になります。
国債や金などに分散投資をしたり、株式でもディフェンシブ銘柄などに投資をしておく、または、コツコツと積立投資を行うなどの対策をしておくとよいでしょう。