新型コロナウイルスのリスクに備えて活用したいETFとは? 新型コロナウイルスのリスクに備えて活用したいETFとは?

新型コロナウイルスのリスクに備えて活用したいETFとは?

2月のマーケットは世界的な新型コロナウイルスの感染拡大の不安からリスク回避姿勢が一段と強まり、世界的に株式市場は大幅下落となりました。2月月間での下落率は日経平均株価が▲8.9%、NYダウが▲10.1%となりました。3月に入っても日米ともに株価の乱高下が続いており、特に日本においては、インバウンド需要の縮小やイベントの自粛などによる企業業績への懸念も強まっています。

このような環境下においては、株価下落に備えて、リスクをヘッジ(回避)することが有効であると考えています。リスクヘッジの投資手法として、比較的投資のハードルが低いのはETF(上場投資信託)の活用があります。現物株式の買いポジションでマーケットが下がった場合に価格が上がる、インバース型(ベア型)ETFへの投資がシンプルで有効な手法といえます。

東京証券取引所に上場しているインバース型ETFは18銘柄あります。

ETF投資においては、機動的な売買を行う上では流動性(売買代金)に留意する必要があります。3月4日の売買代金1億円未満のETFは9銘柄があり、残りの流動性の高い9銘柄の活用が有効と考えます。

インバース型ETF 一覧

コード 銘柄名 概要 3/4
売買代金
(百万円)
1 1356 TOPIXベア2倍上場投信 TOPIX -2倍 2,231
2 1357 NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・
インデックス連動型上場投信
日経平均 -2倍 85,314
3 1360 日経平均ベア2倍上場投信 日経平均 -2倍 16,042
4 1366 ダイワ上場投信-日経平均ダブルインバース・
インデックス
日経平均 -2倍 1,528
5 1368 ダイワ上場投信-TOPIXダブルインバース
(-2倍)指数
TOPIX -2倍 541
6 1456 ダイワ上場投信-日経平均インバース・
インデックス
日経平均 -1倍 41
7 1457 ダイワ上場投信-TOPIXダブルインバース
(-1倍)指数
TOPIX -1倍 37
8 1459 楽天ETF-日経ダブルインバース指数連動型 日経平均 -2倍 5,505
9 1465 ダイワ上場投信-JPX日経400インバース・
インデックス
JPX日経400 -1倍 1
10 1466 ダイワ上場投信-JPX日経400ダブルインバース・
JPX日経400 -2倍 21
11 1468 JPX日経400ベア上場投信(インバース) JPX日経400 -1倍 4
12 1469 JPX日経400ベア2倍上場投信
(ダブルインバース)
JPX日経400 -2倍 50
13 1471 NEXT FUNDS JPX日経400インバース・
インデックス連動型上場投信
JPX日経400 -1倍 0.9
14 1472 NEXT FUNDS JPX日経400ダブルインバース・
インデックス連動型上場投信
JPX日経400 -2倍 20
15 1569 TOPIXベア上場投信 TOPIX -1倍 226
16 1571 NEXT FUNDS 日経平均インバース・
インデックス連動型上場投信
日経平均 -1倍 579
17 1573 中国H株ベア上場投信 中国H株 -1倍 9
18 1580 日経平均ベア上場投信 日経平均 -1倍 457

※グレー表示は3月4日の売買代金が1億円未満となっている流動性の低いETF

ここからは、実際にマーケットの下落局面でインバース型ETFを活用したらどうなっていたのか検証します。
以下は、2020年2月の1ヶ月間で、(1546)NEXT FUNDSダウ・ジョーンズ工業株30種平均株価連動型上場投信(以下、NYダウETF)に、(1357)NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信(以下、日経平均-2倍ETF)を1対1で組み合わせた合成指数を見てみます。

NYダウETFと日経平均-2倍ETFと合成指数(50:50)の推移(2020年2月)

※2020年1月31日を100として指数化、終値を表示
出所:QUICKのデータを基に当社作成

2月上旬は日米ともに株価が上昇したため合成指数は下落しましたが、中旬以降からの下落局面で合成指数は上昇しました。2月末時点ではNYダウETFは円高ドル安も加わり大幅なマイナスとなったものの、日経平均-2倍ETFが日経平均株価の下落を受けて、NYダウETFの下落を上回る上昇となり、合成指数はプラス3.4%の評価損益となりました。(手数料は考慮していません。)

NYダウETFと日経平均-2倍ETFの合成指数は、日経平均株価が下落し、NYダウが上昇する局面では特に有効ですが、日米ともに株価が上昇する局面ではマイナスとなる傾向がありますので注意が必要です。日米の株式が上昇しているときにマイナスとなるケースは、NYダウETFの上昇よりも日経平均-2倍ETFの下落が大きくなった場合です。

なお、日経平均-2倍ETFの場合は、日経平均-1倍ETFと比べると、値動きがおよそ2倍になるため、約半分の投資額で同じ効果を生むことが期待できます。

上記はあくまでも一例であり、今後の波乱局面に備えて、保有している資産(株式、ETF、投資信託など)にインバース型ETFを一部加えることは、資産の下落をヘッジ(回避)する手段の一つとなります。

新型コロナウイルスの感染拡大による実体経済への影響など不透明感が強まっている局面においては、取り入れたい投資手法だと考えています。

ファンドアナリスト 川上雅人

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