2024年は新NISAスタートにより投資が盛り上がるなか、投資対象として米国株の人気が高まっています。
米国にはスマートフォンを生み出したアップルやAIに不可欠な半導体製品を手掛けるエヌビディアなど、人々のライフスタイルやビジネスの在り方を一変させるような優れた製品、サービスを提供する企業が多く存在します。
こうした企業は一般的に収益力が高く、中長期的な株価上昇の可能性も高いといえそうです。
また、米国株式市場は上場に際しての企業のディスクロージャー制度と会計基準が厳格であり、投資家にとって信頼性が高いことも魅力です。
そのため、投資対象を日本株のみに限定せず、一部を米国株に投資をすることは、中長期的な資産形成にあたり有効な手段であると考えます。
そこで今回は「今、注目したい米国株5選」ということで、高成長が期待できる銘柄を以下の条件でスクリーニングし、業界のトレンドや企業の戦略なども踏まえて5銘柄をピックアップしました。
今後の銘柄選びのご参考にしていただけますと幸いです。
詳しくは、YouTubeの auカブコム証券 投資情報専門チャンネル にて解説しております。
ぜひご覧ください。
スクリーニング条件
1.米国で代表的な企業で構成されるS&P500から選定
S&P500は米国の主要産業を代表する500社で構成される株価指数。
一定の基準をクリアした著名で収益力のある大企業が集まる。
2.実績ROE(株主資本利益率)15%以上
株主の投資額に対してどれだけ効率よく利益を獲得したかを判断するROEの数値が低い銘柄を除外。
3.今期予想売上高、今期予想EPS(一株利益)の成長率がともに7%以上
利益だけでなく、トップラインである売上高の拡大が伴った高成長企業に着目。
糖尿病領域に強みを持つ製薬大手。
インシュリンの実用化に世界で初めて成功した企業。
糖尿病領域のほか、がん領域、免疫疾患領域、神経科学領域も手掛ける。
GLP-1受容体作動薬の糖尿病向け「マンジャロ」と肥満症向け「ゼプバウンド」が成長ドライバーとして期待されている。
すでに肥満が社会問題化している米国のほか、今後は食の欧米化が進む新興国でも肥満症人口が増加すると予想されている。
同社はデンマークの製薬大手ノボノルディスク社と並び肥満症治療薬市場で先行していることから、当面は先行者利益を享受するかたちで業績の急拡大が見込まれる。
また2024年7月に米食品医薬品局(FDA)から承認されたアルツハイマー治療薬「ドナネマブ」の業績への寄与にも注目したい。
パロ・アルト・ネットワークス(PANW)パロ・アルト・ネットワークス(PANW)
世界首位級のサイバーセキュリティ会社。
ネットワークをサイバー攻撃から保護するセキュリティプラットフォームを手掛ける。
グローバル大企業、政府公共機関、医療機関などの多くが同社サービスを利用する。
さまざまなモノがインターネットにつながるIoTの進展に伴い、企業が管理する情報量が急増する一方、サイバー攻撃は高度化、多様化している。
そのため企業は1社あたり数十ものセキュリティソリューションの利用を余儀なくされ、運用やコスト面での非効率が課題となっている。
同社はAIも活用して複数のセキュリティソリューションを包括的に管理するプラットフォーム化を推進。
当面は企業に無料でプラットフォームを提供し効率化を実感させる戦略をとっているため業績が伸び悩むとみられるものの、将来的には他社サービスからの切り替えを通じたシェア拡大が期待される。
アマゾン・ドット・コム(AMZN)アマゾン・ドット・コム(AMZN)
ネット通販世界最大手。
書籍から家電、生活雑貨、食料品まで幅広い分野の商品を取り扱う。
クラウド分野でもトップ企業であり、シェアで首位を維持するクラウドサービス「AWS (Amazon Web Services)」が稼ぎ頭。
売上高の大部分をネット通販事業が占める一方、利益の大部分はAWSが支える。
近年、企業のデータ保管や分析に対する需要が高まっておりAWSは拡大基調。
クラウド利用が普及してきたとはいえ、グローバルIT支出のおよそ85%は依然としてオンプレミス(自社施設内にシステムを設置して運用する方法)に向けられている。
生成AIの登場によりシステムに求められる処理能力は格段に上がると見込まれ、企業のクラウドシフトが加速することでAWSのさらなる成長が期待されよう。
ロイヤル・カリビアン・グループ(RCL)ロイヤル・カリビアン・グループ(RCL)
世界2位のクルーズ会社。
1,000カ所を超える目的地に寄港する様々な旅程を提供する。
同社が運航する世界最大の客船「アイコン・オブ・ザ・シーズ」は乗客定員5,600名(最大7,600名)と日本の客船(飛鳥Ⅱ:872名)と比べ圧倒的な規模を誇る。
パンデミック後のリベンジ消費や富裕層の力強い消費により需要が好調。
また、クルーズ船という余暇の過ごし方が広く認知されてきたことにより、バケーション市場におけるクルーズ船が占める割合は拡大していくことが期待される。
モバイル通信用半導体を主力とする半導体大手。
3Gモバイル通信の必須技術であった「CDMA(符号分割多元接続)」の研究開発を主導。
3G/4G及び5G通信に不可欠な特許を多数保有しており、ライセンス料も収益源。
主力製品スナップドラゴンはアンドロイド端末を中心に様々なスマートフォン、タブレットに採用されている。
最近ではAI対応のスマートフォンやパソコンが登場するなど、エッジAI(従来クラウド上で行っていたAI処理を端末側でタイムリーに行う技術)の普及が本格化すると見込まれる。
クアルコムの生成AI向け製品はすでに中国のシャオミや韓国のサムスン電子などスマートフォンメーカーに採用されているほか、米マイクロソフトが2024年6月に発売したAIパソコンにも採用された。
今後はスマートフォンやパソコン以外にも、自動車などさまざまなモノの通信用半導体で長期的な需要拡大が見込まれる。エッジAIのプラットフォーマーとして変貌を遂げる可能性があろう。