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むらやん氏 本名は村上直樹。NSC(吉本総合芸能学院)に入学するも、芸人になるという夢破れて起業。 その後、26歳の時に会社を解散したことをきっかけに株を始める。デイトレードと関西弁を武器に、億トレーダーの仲間入りを果たす。 ブログ「むらやんが株やってます。」を運営。

テスタ氏 前職は年収1000万円だったが、そこで満足できず株の世界へ。 超短期のスキャルピングトレードを駆使し、800万円の元手から、これまでに10億円以上の利益を株で稼ぎだした。 2014年には、全国600箇所の児童養護施設にボールを寄付したことでも有名に。ブログ「テスタの株日誌-目指せ利益10億円!-(達成)」を運営。

Tyun(ちゅん)氏 2005年に資金200万円で株式投資デビュー。デイトレードや短期のスイングトレードを得意とし、約10年で資産を2億円を達成する。 非常にお酒が好きで、旅行先で雰囲気が良さそうなバーを見かけるとふらふら立ち寄ってしまう、なんて一面も。ブログ「Tyunの株式サバイバル日記」を運営。

ヤーマン氏 大学卒業後、大阪・北浜で証券ディーラーとして活躍するも、自らの腕一本で勝負したいという気持ちを抑えきれず、個人投資家に転身。 当初資金の200万円を短期間のうちに5000万円まで増やし、一躍注目のトレーダーに。 最近は、なぜか美容室経営にも乗り出したことで、トレーダー仲間からネタにされることも。ブログ「ヤーマンの株日記」を運営。

けむ。氏 2004年、予備知識など一切ない状態で株式投資をスタート。 その後も独自の研究を重ね、チャートも見ずに板の動きだけで超短期売買を行うオリジナル手法「板読みトレード」を生み出す。 ブログ「へっぽこデイトレーダーけむ。の株日記。」を運営。

kabu.com

伊藤充淳氏 カブドットコム証券営業推進部課長兼システム部課長
kabuステーション®やスマートフォンアプリの上流設計、
kabu.com APIを軸とするFintech領域の新規事業開発を手がける。

TALK.1 若いトレーダーがもっと入ってきて業界全体が盛り上がって欲しい。

年代別口座数・預かり資産
早速ですが、こちらの資料をご覧ください。こちらはカブドットコム証券の口座状況なのですが、20代の口座数は全体の5%、資産高で見ると1%に留まっています。
伊藤 伊藤
けむ。氏 けむ。氏

もっと若いトレーダーが増えて、業界全体が盛り上がって欲しいですね。 僕らは全員デイトレーダーですが、一番困るのは、参加者が減って出来高とボラティリティがなくなることですから。 また、業界全体が盛り上がってくると、証券会社の利益が上がって手数料も安くなります。 7~8年ほど前のリーマン・ショック後、急に証券会社の手数料値上げラッシュがあって。 そうするとトレーダーが減り、証券会社も厳しくなってさらに手数料が上がる、という悪循環でした。 あの頃のようにはなって欲しくないので、若いトレーダーがどんどん入ってきてもらいたいですね。

信用建玉保有日数と実現損益
2016年1月~2016年7月のカブドットコム証券全体の信用取引実現損益
(返済約定日ベース)
こちらのグラフをご覧ください。
これはカブドットコム証券の信用取引における建玉保有日数と実現損益(建玉の決済により確定した損益)のグラフです。
見ての通り、保有日数が多いほど損失が膨らむ、という負の相関があります。
伊藤 伊藤
Tyun氏 Tyun氏

これはすごいわかりやすいですね。長期で持っている人のマイナスがこんなに大きいのはびっくりです。

若いトレーダーがもっと入ってきて業界全体が盛り上がって欲しい。

TALK.2 ハイリスクハイリターンと思われがちかデイトレードは中長期投資と比べてむしろリスクが低い?

伊藤 伊藤

このデータを受け、特にレバレッジが効いて期日もある信用取引の投資パフォーマンス向上においては、こまめな利益確定とロスカットが重要であると当社では考えております。 みなさんは短期間に決済する、デイトレードをメインでやられていますが、その手法に行き着いた理由を教えてもらえますか?

ヤーマン氏 ヤーマン氏

デイトレでやるメリットは、リスクが少ないことです。例えば、ポジションを持ち越すと、夜にNYで何か起きても対処できないことがありますが、持ち越さないと、当然そのリスクがなくなります。
同じデイトレでやっていても、時間軸を短くすることで持っている時に何か不測の事態が起きても、対処しやすい。
細かい取引であればあるほど、リスクは小さくなるんです。時間軸と利益の幅は比例しているので、1回のトレードにおける利益は小さくなりますが、それはトレード回数を重ねればいいだけです。
もちろんいろんな投資手法があっていいと思いますが、細かいトレードを重ねていってトータルの利益をプラスにする方が、自分のスタイルにはあっているのかな、と思います。

テスタ氏 テスタ氏

まあ、最近ヤーマンは美容室経営の方に力を入れているから、そもそも彼をデイトレーダーと呼んでいいのかって話もありますが。

全員 全員

(笑)

むらやん氏 むらやん氏

僕も、今ヤーマンが言ったのと同じような感覚です。
実際に少し長めに持つトレードも何回か試したのですが、センスがないのか全部悪い方に行ってしまって。 せっかくデイトレで積み上げた利益を、長めに保有したトレードで全部リセットしてしまうという最悪のパターンです。 長めに持つトレードでも勝てるようもっと努力をしないといけないのですが、それが面倒で、今はデイトレに逃げているというのが正直なところです(笑)。
これから株を始める人も、まずは短期か中長期のどちらか片方に集中した方がいいと思います。 まずは勝ちパターンとして確立すること。それで資金がある程度貯まったら、その貯金で新しいトレード手法にチャレンジするのがいいと思います。

伊藤 伊藤

これから株を始める人が最初にやるなら、デイトレードの方が優位性が高いと思いますか?

むらやん氏 むらやん氏

性格によりますね。
僕の場合はせっかちだからデイトレが向いていましたが、逆に1日の間にガチャガチャしたくないって人もいますし。
ただ、さっきのグラフのように、損切りできないポジションを長く持ち続けた結果、大損してしまい、そのまま退場して行った投資家さんを数多く見てきました。 株で勝ち続けるには、1回のトレードで勝っても負けてもそれで終わらせるのではなく、なんでそうなったのかを勉強することが大切です。
その点、結果が見えやすいのがデイトレです。例えば、1ヶ月に100回取引して60勝40敗だったとします。 2ヶ月目には60勝した実績を引っさげて挑戦できるわけです。デイトレは、短期間に取引回数を重ねることで、どんどん経験を積めるのが有利な点ですね。

テスタ氏 テスタ氏

僕の場合も性格的に、毎日少しでも勝ちたい、固く勝ちたいという部分が大きくて。あと、自分の特性がどこにあるのか、も重要です。 株価の予測のやり方には、大きく分けて「テクニカル」と「ファンダメンタル」の2つありますが、 時間軸が長くなるほどファンダメンタルの要素が多くなります。
ファンダメンタルは、決算書を読んだり業績予想をしたりが必要ですが、僕はどうもその辺が苦手で。 それよりも、テクニカルに必要な一瞬のひらめきとか反射神経とか、そういう方が得意だったんです。
いろいろ試しましたが、結果として、自然と時間軸が短くなっていきました。

伊藤 伊藤

けむさんは、デイトレードの中でも「板読み」という独特の手法を得意とされていますが、「板読み」で勝ち続ける再現性を見出したきっかけはなんだったのでしょうか?

けむ。氏 けむ。氏

単純に、ずっと板を見ていたら、「理屈に合わない注文があるな」と気づいた時ですね。いわゆる見せ板です。
例えば、買い板が均等に5万株くらい並んでいるところに、下の方にいきなり20万株の買い板が出たりとか。 本気で買いたいのであれば、これは理にかなっていない注文ですよね。 でも、20万株って結構な大きな金額を入れて、わざわざ注文を出すからには、当然、それなりの理由があるはずです。
じゃあ、何のためって考えた時、実は「この上の方の玉を捌きたいんじゃないか」とか「買い圧力を強く見せたいけど、 本当は買いたくないんじゃないか」とか、そういうことが浮き彫りになってきたんです。 それで、「これは、ずっと板を見ていたらいろんなことがわかってくるぞ」って考え出したのが始まりでした。

伊藤 伊藤

板の向こう側にいるトレーダーの考えを読むわけですね。

けむ。氏 けむ。氏

はい。
株式投資というのは、人対人で売買をやっている以上、行動ファイナンス的な要素が絡んで来ます。
そういう人の行動の偏りって、長期だとなかなか見えにくいのですが、瞬間的な行動になると感情に動かされるので顕著になります。
実際、見せ板が出た瞬間とか、慌てて買いが入ったりしますよね。 僕みたいに、新聞も読んでいなくてファンダメンタルの知識がない男でも、そういう人間の行動というのはある程度予測できます。
投資をする上で何かひとつ特化したいと思っていたので、そこを伸ばしていこうと考えました。

伊藤 伊藤

実際のところ、他のトレーダーの考えはどの程度まで読めるものなのでしょうか?

けむ。氏 けむ。氏

板読み自体もそうなんですが、結局のところ株って答えが売買結果でしかわかりません。
自分が想定した仮定が間違っていても、同じ答えが出ることはあるので。結局、仮定の精度を高めるには、繰り返し反復するしかないんです。 その点、短期売買の方がそういう試行回数が増やせるというメリットがありますね。
中長期投資だと、1回の売買の結果が出るまでに数カ月から半年くらいかかります。
それに対して、短期売買なら1日に100回取引することも可能なので、より自分がやっていることが正しいかどうか、結果を見極めやすいのが魅力です。

伊藤 伊藤

デイトレードでやるつもりでいても、損切りができないなどの理由から、保有期間がどんどん長くなってしまい、1日2日と持ち越してしまうケースも多いと思います。 そういった事態を避けるためのルール決めは、皆さん、どうされているのですか?

Tyun氏 Tyun氏

自分の場合は、トレードが想定通りに行かなかった時点で、そのポジションを1回精算することを決めています。
うまく行っている間は含み益を伸ばし続けますが、伸ばしてもせいぜい2~ 3日までですね。 損切れないことで時間軸を伸ばしてしまう人に対して、デイトレやスイングできちんと手仕舞いしている人は、それだけで優位性があります。
ダメな要素を排除し、1回1回のトレードですぐに決着つけることを徹底すれば、正直少しくらいルールが甘くても、それだけで十分勝てるだけの優位性がデイトレにはあるのではないかと自分は考えています。

TALK.3 ボラタイルな今年の相場でもリスク管理のしやすいデイトレーダーならあまり問題はない

伊藤 伊藤

2009年のアローヘッド導入に加え、2013年に信用取引のルールが改正され、資金を回転させれば回数無制限で売買ができるようになりました。デイトレーダー取り巻く環境は、ここ数年で大きく変わったと言えます。
また、2016年はアベノミクス以降4 年ぶりの下げ相場となっていることに加え、マイナス金利導入から原油安値後の急落、マザーズ指数の最高値更新、イギリスのEU離脱問題、任天堂の乱高下など、ボラティリティの高い相場が続いています。
このような状況の中、どうやってリスク管理をしているのか教えていただけますか?

けむ。氏 けむ。氏

僕たちは、そもそもデイトレーダーという時点で、ある程度のリスク管理ができています。
基本的に、売買を細かくし、疑問に感じたら即カット。売った後に「やっぱり行ける!」と思ったら、買い直せばいいだけです。 投げた一秒後に即買う、なんてことも非常に多いです。もちろん、そこで無駄が出るのですが、リスク管理として大きく飛ばさないことの方が重要だというのを念頭に置いています。
実際、僕の場合は、1日に資産を5%以上溶かしたことはないですね。

Tyun氏 Tyun氏

私も、けむ。さんと同じです。短期トレーダーなので、それだけで非常にローリスクだと私は考えています。
そもそも、今年はボラティリティが高いと仰っていましたが、それは任天堂やそーせいグループ、その関連銘柄のボラティリティが一時的に高くなっただけです。
日銀のマイナス金利の発表やイギリスのEU離脱問題なども、そのイベントが起こった時に相場が荒れただけです。 それ以外に関しては、下落相場ではありますが、今年が特別ボラティリティが高いとは思っていません。

伊藤 伊藤

なるほど。ちなみに、最近の日銀のETF買い入れの影響についてはどう考えられてますか?

Tyun氏 Tyun氏

日銀のETF買いですか?正直、後場に「変な買い支えが入ってきているな」と感じることはありますし。
例えば、前場が弱かった時は、「後場に日銀が買ってくるんじゃないか?」という思惑で、昼休み頃から下がりづらくなり、底堅い動きになることが多いです。 需給的には読みにくくなりますが、それならそれでリバウンドして来るところを狙ったり、いろいろ試しています。
逆に、日銀のETF買いが入ると言っても、 700億は上限だとは考えているので、それだけ入ってもダメだろうっていう時には、売りポジを強気に取ったりしています。 日銀が入るなら入るで、やり方はあると私は考えています。

伊藤 伊藤

テスタさんは、リスク管理についてどうお考えでしょうか?

テスタ氏 テスタ氏

リスク管理で特に大事なのは、何が起こっても破産しないことです。
極端なことを言えば、買った瞬間に大きな事件が起きてその銘柄が取引中止になり、さらには倒産してしまう可能性もあります。
万が一そんなことが起こっても自分は破産しないように、 一銘柄にレバレッジをかけないことは、今年の相場のみならず徹底しています。 例えどれほど薄い確率であっても、長くトレードをしている間に1回でもそんなハズレくじを引いてしまうと終わりですから。
また、相場には、自分が得意な地合いと苦手な地合いがありますよね。得意な地合いはロットを少し大きくして、得意じゃない時は減らすようにしています。
特に初心者は、負けた時ほど取り返そうと大きく張る人が多いのですが、負けた時は自分の手法と相場が合っていないことが多いんです。 合っていないのにロットを増やすのは、理にかなっていない。
負けている時ほど守りに入り、買っている時ほどロットを大きくしていく方が、理にかなっています。

ボラタイルな今年の相場でもリスク管理のしやすいデイトレーダーならあまり問題はない

TALK.4 デイトレードでは板の厚さが重要。板が薄いと、十分なロットが張れないことも

伊藤 伊藤

自分の資産が増えてくると、マーケットに対して相対的にロットが大きくなると思いますが、そこで意識してコントロールしているところはありますか?

テスタ氏 テスタ氏

私のやっているスキャルピングという手法だと、その銘柄を今すぐ買いたい、今すぐ売りたいというのが重要になってくるので、板の厚さが必要になります。
なので資産が大きくなると、扱える銘柄が限られてしまいます。この前の任天堂みたいな相場が来ると、 板の厚さも値動きもすごい大きくなるから資金が入れやすいのでいいですね。

けむ。氏 けむ。氏

板の厚さは僕も気にしますね。僕は、資産に対して売買のロットを小さくせざるをえないのが悩みなんです。
本当はもっとロットを大きくしたいのですが、実質的なスプレッドが大きくなってしまうので。 実質的なスプレッドというのは、例えば、大きなロットを取ろうと思うと板10枚分とかになってしまいます。 そうなると、単純に1回売買するだけで20ティック損をしてしまう。そんな、実質的なスプレッドリスクを加味すると、特に板が小さい銘柄に関しては、そんなに資金が入れられないんです。
「調子悪い時は、資産を一部を出金する」という話もよく聞きますが、もともと全力でやらないので、そういうことはやりません。チャンスが来た時に再度入金する手間がかかるだけですから。
ロットバランスは、自分の中の自信の度合いと板状況とボラティリティの高さで決めています。

伊藤 伊藤

スプレッドという観点は面白いですね。
寄り付きと引け以外は、ザラ場で取引していると、どうしても買いたい株価と実際に買える株価のズレが発生しますが、やはりそこは大きいのですか?

テスタ氏 テスタ氏

デイトレだと、そこは大きいです。
自分が上の板を買って、そのまま同じ値段で売ろうとしても、まずはそこに買い板が積もらないとダメですよね。 利益確定しようとしてもすぐにはできず、最初に上の板がすべて壊れて、さらにそこに買い板が並んで初めて利益確定できます。
その銘柄の出来高や売買代金が重要だというのは、そういうことです。

TALK.5 運に左右されてしまう実際の損益ではなく頭の中にある「期待値」で自分のトレードを評価

伊藤 伊藤

そうしたスプレッドは、損失として捉えているのでしょうか?

テスタ氏 テスタ氏

僕の場合は、ひとつのトレードでどれくらい儲かったかというのは、実際の損益ではなく頭の中に浮かぶトレード内容の金額で考えています。それを「期待値」って僕は勝手に呼んでいますね。

伊藤 伊藤

期待値というのは、どういう意味合いなのでしょうか?

テスタ氏 テスタ氏

じゃあ、その説明は、けむ。さんから。

けむ。氏 けむ。氏

え、なんで俺?

全員 全員

(笑)

けむ。氏 けむ。氏

えーと、期待値というのは実際に勝ったり負けたりした数字ではなく、「この値動きに対して、普段の自分の取引だったら平均してこれくらい勝てただろうという数字ですね。平均値と言った方がイメージしやすいかもしれません。本来ならば確率から数学的に計算できるものに使います。株の場合過去の経験(統計)から導き出される数字なので、厳密には「期待値のようなもの」ですが。

テスタ氏 テスタ氏

例えば、期待値が50万円のトレードでも、たまたま高く売れたりとか、運が良ければ100万円取れることあります。
でもそれは、自分にとってはあくまでも50万円の勝ちなんです。いくら運で勝てても、期待値が低くて内容の悪いトレードでは意味がありません。 逆に期待値が50万円のトレードなのに、一瞬指し負けたことで10万円の負けになってしまったとしても、内容の良いトレードであれば満足です。 トレードにはどうしても運が入り込んでしまうので、それをいちいち気にしていても意味はありません。
大切なのは、期待値の高いトレードをくり返すことです。そうすれば、1回1回のトレードは運によってブレたとしても、結果は必ず期待値に収束していきます。

伊藤 伊藤

期待値が高いというのは、トレードで正しい判断ができた、ということでしょうか?

けむ。氏 けむ。氏

それもありますし、自信を持ってお金を入れられる地合いが来たって意味もありますね。
自分の中での勝負どころが1日何回もある時は、非常にいい相場です。 運が悪くそこで負けてしまっても、「この相場は行くところだからしょうがない」という意識です。いい相場であれば、何回も繰り返しているうちに当然いい結果につながります。
逆に、やることがないからいつもと違うことをやってみたら負けちゃった、というのが一番ダメ。だったら休んでたがよっぽどマシです。

伊藤 伊藤

他の方にも、期待値という感覚はあるのでしょうか?

むらやん氏 むらやん氏

例えば、売り板が1万株がずっと並んでいて、自分が10万株買いたいと思う時に、買いたい値段で買えたとします。 その後、10円上がったので、そこで売れば計算上はプラス100万。でも、10円上がってもすぐには買い板が上に出て来ないから、結果的に平均すると5円上くらいで売れます。 それが解っているから、10円上がっても、最初から100万の儲けではなく50万の儲けと考える。これが期待値ですね。
でも、たまたまラッキーで上にすごい板が出て、10円上で10万株全部売れることがあります。でも、それで100万円儲けても、自分の中ではやっぱり50万円のトレード。 残りの50万円はおまけであって自分の実力ではない、って話でいいのかな?

テスタ氏 テスタ氏

まあ、そんな感じ。(笑)

Tyun氏 Tyun氏

そこでひとつ気をつけたいのは、たまたま幸運が続いた時に、それを実力だと思ってしまうことですね。
たまたま儲かったからといって気が大きくなって、たくさんのロットを張り込んでしまうと、逆ブレが来た時に致命的なダメージになります。 最初から単なる幸運だと認識していれば、ロットを増やしたりせず平常心でトレードできますし、逆ブレが来ても、その前の幸運がチャラになるだけで済みます。 そういったところが重要かなと私は考えています。

伊藤 伊藤

その逆もありそうですね。
仮に負けても、たまたま不運だっただけと割り切れれば、その後も落ち込むことなく淡々とトレードが続けられそうですね。

運に左右されてしまう実際の損益ではなく頭の中にある「期待値」で自分のトレードを評価

TALK.6 この前の任天堂のときは、限界までロットを上げればもっと勝てたがそうすると自分のスタイルではなくなってしまう

伊藤 伊藤

これも売買ルールの話になりますが、「今の相場だと、こういうやり方をすればもっと勝てそうだけど、これやるとスタイルが荒れるからやらない」ということはありますか?

テスタ氏 テスタ氏

この前の任天堂の時なんか、限界のロットを上げればもっと勝てたかもしれませんが、それをやると「大きく負けるリスクを取らない」という自分のスタイルではなくなるので。
もちろん、人によって信用全力で張る人もいますし、2013年なんかそれですごい勢いで資産を増やした人もいます。それは人それぞれのスタイルなので否定はしませんが、僕はやりません。
欲を出してもいいことがないってのは、10年やっててまなびましたから。デイトレに落ち着いたのと同じ理由ですが、僕はどっちかというとコツコツ確実に増やしていきたい、というのが根底にあります。

けむ。氏 けむ。氏

デイトレがメインの人は、どちらかというと分散(確率的な散らばり)を嫌う傾向にあるんです。
例えば、「勝率6割の勝負なら全力で張って、一発大きく儲けたい派」と「勝率6割程度だったら賭け金を抑え、その分、試行回数を増やしたい派」がいて、ここに集まっているのは後者の人たちです。
もう少し具体的に言えば、「サイコロを振って1~4なら掛け金がが倍、5~6ならゼロ」というギャンブルに全財産かけるかどうか、です。
ここにいる人たちは、絶対に賭けない。それで、サイコロの目がたまたま1~4が出て、「ほら、もっと賭けておけば良かったのに」って言われても、なんとも思いません。

伊藤 伊藤

ヤーマンさんは、ディーラー出身ですが、やはりそういった規律を守ったトレードを叩きこまれたのですか?

ヤーマン氏 ヤーマン氏

いやあ、ディーラーと個人トレーダーはまったく違いますね。
私のようにディーラーから個人トレーダーになる人は多いのですが、投資スタイル変えている人がほとんどです。 個人トレーダーになって新しく自分のやり方を見つけた方が、今も生き残ってトレードを続けていると思います。

けむ。氏 けむ。氏

昔は、個人投資家にくらべてディーラーの方が有利だった点が多く、その環境を利用して勝っている人たちが多かったですね。
どこまで落ちるか分かっていたとか、板乗りが1秒くらい早かったとか。
ディーラーの人に「こうすれば勝てる」って教えてもらっても、「いや、それは個人はできないから!」ってのが多かったです(笑)。

ヤーマン氏 ヤーマン氏

ただ、アローヘッドの導入などで、そういったディーラーの優位性はなくなってきていますね。
板乗りのスピードなんかも、今はそんなに差はありませんから。

TALK.7 アローヘッドの登場により、人対人の読み合いから人対アルゴの読み合いに

伊藤 伊藤

今、アローヘッドの話が出ましたが、アローヘッド以降、機関投資家によるHFT(コンピュータを使った高頻度取引)と個人投資家が同じ土俵で取引を行うようになりました。
個人トレーダーとしては、アルゴリズム取引と見られる板状況が発生している銘柄について、どのような対処をしているのでしょうか?

けむ。氏 けむ。氏

「アローヘッドになったら板読みできないでしょ」って他の投資家さんたちにも言われましたし、実際自分もそう思ってました。
でも実際は、板読みできているけど、買いたいところで買わせてもらえない、売りたいところで売らせてもらえなくなった、という感じです。 「この辺にタッチしたら、この辺で売れているだろう」と思っていたら、タッチした瞬間にアルゴがざざざって売ってしまい、その後に自分の注文が発動するという。 なので、これまでのような「対人読み」から、「対アルゴ読み」が増えてきました。
とにかく条件を満たした後にヨーイドンでやると絶対間に合わないので、 一歩手前で動くしかないんです。

伊藤 伊藤

それはきついですね。アルゴリズム取引が入るようになって、リスク管理のやり方も変わってきたのでしょうか?

けむ。氏 けむ。氏

アルゴが売ってしまう前に、先に逃げるしかないですね。
例えば、「ここを割ったらやばい」という厚い買い板があるとします。 昔なら、割るか割らないかという板の状況を見極めながら判断していましたが、アルゴが入っている銘柄だと、割るかどうかを意識した時点でもう投げています。 その分スプレッド的に損をしますが、リスク管理的にそれだけ早く決断しないといけなくなっていますね。
一方で、そういう場合にアルゴを利用することも考えます。空売りできる銘柄であれば、そこでドテン売りするとか。 もしアルゴが入っていたら、10ティック下まで一気に下がってくれるようなケースもあるので、そこで買い戻すなんてこともありますね。
そんな、アルゴがある前提のやり方が増えてきています。

ヤーマン氏 ヤーマン氏

僕は、自分が触っている銘柄にアルゴが入っているかどうか、入っているとすれば、そのアルゴの質がどうかを把握するように意識しています。 解りやすいアルゴで言うと、薄い銘柄に買いで入れた時に常に2ティック上に買いを入れてきて、こっちがずらしてもさらに上に入れて来たりします。
それを把握しておけば、アルゴに勝つ方法も見えてきます。

むらやん氏 むらやん氏

実際、今よく動いてボラのある銘柄は、ほぼ100%に近くアルゴが入っていると思いますよ。
むしろ、逆にアルゴがボラティリティと出来高を作ってくれている面があるので、僕はアルゴと共存し、アルゴと同じ方向性について行くよに頑張っています。 上げ続けるアルゴに売り向かうとか、下げ続けるアルゴに逆張りで買い続けるようなことは、基本的にはしません。
テスタさんはどうですか?

テスタ氏 テスタ氏

やはり、ヤーマンが言うように「どういうアルゴなのか」を把握し、むらやんが言うように逆らわず共存していくのが大事だと思います。
僕のやっているスキャルピングという手法は、いろいろ考えてから動いたのでは遅くて、瞬時の判断が必要です。 アルゴが入ってから何年か経って、いろんなパターンを経験して、対処法を考え、毎日トレードしてます。
それがベースで頭に入っているので、1回1回のトレードでアルゴがどうとか考えたりはしいません。勝手に売買している感じですね。

むらやん氏 むらやん氏

ここで買い、ここは売り、みたいに、身体に染み付いているんでしょうね。

アローヘッドの登場により、人対人の読み合いから人対アルゴの読み合いに

TALK.8 「kabu ステーション®」の新しい発注基盤である「RAIDEN®」はめちゃくちゃ速い!

伊藤 伊藤

皆さん、カブドットコム証券のトレードツール「kabu ステーション®」を使っていただいたことはあると思いますが、どの機能をどのように役立てていただいているのでしょうか。
また、2014 年11月に新発注処理基盤「RAIDEN®」を導入し、システムパフォーマンスを10 倍にアップしましたが、実際トレードを行った感触はなどをお聞かせください。

むらやん氏 むらやん氏

たしかに「RAIDEN®」は速いですね。
今は「RAIDEN®」の上に「T++」というツールを使って発注していますが、板乗りとかは個人的に一番早いと思っています。僕の周りの友達でも、「やっぱりカブコムは速いな」って話になってますね。

テスタ氏 テスタ氏

むらやんは、ずっと「カブコムいい」って言ってますよね。

伊藤 伊藤

「kabu ステーション®」の方は、いかがでしょうか?

むらやん氏 むらやん氏

寄り付き前のすべての注文情報をリアルタイムで板寄せして、「この瞬間に寄ったらいくらになるか」って予測をする機能ですね。
僕は、予習復習をまったくしないので、手の空いた短い時間を使って「他にやる銘柄は何かないかな」って探す時に非常に助かっています。

Tyun氏 Tyun氏

寄り付きはチャンスなので、初めに予想してくれる機能は嬉しいですね。
チェックしている銘柄がどの辺で寄るかによって、自分が買いで入るか売りで入るかが変わってきますし。
また、寄り付き前の予測がどう変動していったかでも、狙い所が変わります。 「9時なったら、みんな少しずつ強気になってきたぞ」とか、そういうところを読み取れるのが嬉しいです。

けむ。氏 けむ。氏

カブコムのツールは、ワンクリックで板発注ができるようになれば僕も使いたいんですよね。
今だと、発注するのに1回ポップ(確認画面)が上がって来て、そこで少し時間がかかってしまうので……

伊藤 伊藤

「kabu ステーション®」の板から発注する時、ポップアップの表示を飛ばして、押した瞬間に発注できるようにして欲しいということですか?

けむ。氏 けむ。氏

そうです。僕らは、何銘柄も同時に監視していて、ここぞという瞬間に買いたいんです。
板乗りが早くても、注文作るのに1秒余分にかかったら意味がないので。

伊藤 伊藤

どれくらいの銘柄数を同時に見ているのでしょうか?

けむ。氏 けむ。氏

今はだと10銘柄くらいをガッツリ見て、横目でさらに20銘柄くらいをチェックしています。
フル板でも8本板でもいいのですが、監視ツールがそのまま発注ツールになると一番ありがたいです。
サイズ的な制約もあると思うのですが、1画面4枚、できれば6枚くらいの板を並べて表示させ、それぞれの板から発注できるようにして欲しいです。

伊藤 伊藤

実際に使っているトレーダーさんの声を非常に重視しています。 実は、社内でもフル板を複数枚出すのがいいのか、注文ボタンのある8本板を出した方がいいのかという議論は、以前からありました。 どちらに踏み出すかを決定する際に、今聞いたお話もぜひ参考にさせていただきます。

けむ。氏 けむ。氏

もし実装されたら、カブコムさんに乗り換えますので、ぜひお願いします!(笑)

TALK.9 ヤーマン氏の要望から生まれた個人投資家待望の新機能が「kabu ステーション®」に登場?

伊藤 伊藤

皆様には内緒にしていたのですが、以前にヤーマンさんからいただいた要望を元に開発した新機能を、今度リリースすることになりました。
●●●●に注目した機能で、●●●●の時に「kabu ステーション®」上で●●●●できるツールです。

ヤーマン氏 ヤーマン氏

前に言ったあれ、実装したんですね!

けむ。氏 けむ。氏

なんですかそれ、めっちゃいいですよ!

Tyun氏 Tyun氏

それは便利ですね。

※掲載内容は2017年9月以前の情報です。
※本ページの内容は、個人投資家の一意見であり、投資収益を保証するものではありません。
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