投資情報室
旬なテーマを深堀り♪過去最低水準を脱した「日経VI」、静寂からの転換はみられるか
2017年6月30日(金)
投資情報室 藤井明代
足元で日経VIが急騰、今後は経済指標との睨み合い?
今週の日経平均株価は20,033.43円で取引を終え、週間ベースで約99円下落しました。
29日までの日経平均株価は終日2万円台を保ち、堅調な推移が続いていました。しかし、30日は前日の欧米株安や為替市場での円安一服を受けて大幅反落し、2万円台を割り込んでの推移がみられました。金融政策の正常化を進める米国以外にも、欧州や英国、カナダが金融緩和策を縮小するとの思惑が広がり、株式市場から資金が流出するとの警戒感が強まったことなどが要因です。
30日の日経平均株価が下落する一方、日経VI(ボラティリティー・インデックス)は+15.81%と急騰し、約1ヶ月ぶりの水準に上昇しました。
日経VIは日経平均株価の将来の変動をどのように想定しているかを表した指数です。指数値が高いほど、投資家が今後、相場が大きく変動すると見込み、警戒感を強めていることを意味します。
足元の日経VIは9日に一時12ポイント台まで下落し、2010年11月に算出を開始して以来の過去最低を記録しました。また、その後もしばらく過去最低水準で推移していました(図1)。同時に、日経平均株価は日中値幅が100円に満たない低ボラティリティ相場(膠着相場)が続きました。
【図1:日経VIと日経平均株価の推移(日足)】
- ※2017年6月30日現在、Astra Managerを基にカブドットコム証券作成
足元で日経VIが超低水準で推移していたことから、大きな変動を想定しておらず、30日のように外部環境の懸念材料が広がると一転して急騰し、株式市場ではリスク回避の売りが加速しやすい状況にあったといえます。
次に、少し長い目で日経VIをみてみます。日経VIが算出を開始した2010年11月以降の推移では、15ポイントの水準に近づくか、15ポイント割り込むと急反発する傾向がみられています(図2)。
【図2:日経VIの推移(週足)】
- ※日経VIが算出開始を開始した2010年11月からの週足チャート
- ※2017年6月30日現在、Astra Managerを基にカブドットコム証券作成
日経VIは投資家の心理状態を表すともいわれ、特徴として日経平均株価と逆相関する傾向があります。30日の日経VIは15.75で取引を終えていますが、その水準は依然低水準であることに変わりはありません。そのため、今後も日経VIの反発局面で同時に日経平均株価が調整局面を迎える可能性があるとみています。
30日の日経平均株価は反落となったものの、大引けにかけて下げ渋ったことから、これまでの地合いを崩すような大幅下落とはなっていません。市場には一先ず安心感が広がりましたが、来週からは名実ともに下期入りし、月初めの経済統計の発表を控えています。週初には国内で日銀短観、海外では米ISM製造業景況指数、7日には米雇用統計の発表などを控えおり、やや神経質な動きとなることが想定されます。
足元で過去最低水準を脱してきた日経VIが反発局面を見せるのか、来週は経済指標発表との睨み合いとなりそうです。
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藤井明代
auカブコム証券 投資情報室 投資アナリスト
東京都出身。大手ネット金融グループを経て、2013年10月よりauカブコム証券。
売買手法や相場解説などを初心者の方にも分かりやすく解説することに定評あり。株主優待にも詳しく、マルチスキルを持つメンバーとして人気上昇中。
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