投資情報室

旬なテーマを深堀り♪来春施行予定の「医療ビッグデータ法案」、関連銘柄は?

2017年6月1日(木)
投資情報室 藤井明代

医療ビッグデータ法案とは?医療発展へ向け、民間企業も動き出す

2017年4月28日、「次世代医療基盤法」が参院本会議で自民、民進、公明各党などの賛成多数で可決、成立しました(※1)。これは国民の病歴や治療歴、健康診断結果などを含む医療情報を本人の意思を確認した上で匿名加工(※2)し、ビッグデータとして医療機関以外の民間企業や大各での研究開発に利活用できるように枠組みや規制などを定めるものです。「医療ビッグデータ法案」とも呼ばれ、来春の施行が予定されています。

5月に改正個人情報保護法が施行され、個人の病歴などは「要配慮個人情報」として取り扱いが厳格化されることになりました。新法はこれに例外を設け、患者が拒否を申し出ない場合に、国が事前に認定した事業者に匿名データを提供する予定です。

各医療機関や薬局などが別々に保有する医療データを集約することで、効率的な新薬開発や治療法の確立、最先端の診断支援、病気の予防などに役立てる目的があります。また、超高齢化社会における医療費削減へ繋げたい狙いがあります。
新法施行後は、民間企業でもビッグデータを活用した新薬や治療の研究開発が進むほか、情報管理のシステム開発、保険事業や健康支援事業への利活用など、幅広い分野で特需が発生する可能性があります。

医療のビッグデータ活用はすでに複数企業の間で着手が進んでおり、上場企業では第一生命HD(8750)が日本IBMとデータ解析による疾病発症リスク予測・重篤化防止に向けた取り組みを、日立(6501)とは共同で生命保険事業での研究等を開始すると発表。NRI(4307)は日本生命、リクルートHD(6098)と連携し、医療ビッグデータを活用した健康支援サービスを2018年4月にも始めるとしています。そのほか、日本システム技術(4323)は東京大学と医療ビッグデータを活用した産学共同研究を開始すると発表しています。

このように医療ビッグデータを活用したビジネスの拡大が期待されており、官民一体となって医療発展へ向けた取り組みが加速していくことが予想されます。
以下より、直近で医療ビッグデータについて開示をおこなった銘柄や主な関連銘柄をご紹介いたします。


  • ※1新法施行後も医療情報の提供については、患者自らが拒否することも可能。
  • ※2「匿名加工情報」とは個人情報を加工して、通常人の判断をもって個人を特定することができず、かつ加工する前の個人情報へと戻すことができない状態にした情報のこと。
主な医療ビッグデータ関連銘柄
コード 銘柄名 市場 予想PER
(倍)
予想PBR
(倍)
時価総額
(百万円)
特徴・開示情報など
8750 第一生命ホールディングス 1部 12.1 0.69 2,209,753 医療ビッグデータ解析による疾病発症リスク予測・重篤化防止に向け日本アイ・ビー・エム等との共同検討、医療ビッグデータを生命保険事業に活用するための日立製作所(6501)との共同研究等を開始。
4307 野村総合研究所 1部 22.4 2.40 1,112,760 日本生命、リクルートHD(6098)と連携し、医療ビッグデータを活用した健康支援サービスを18年4月に始めると発表。
4686 ジャストシステム 1部 23.6 2.94 106,613 医療機関向けのデータ管理システムを販売開始。電子カルテや各部門データを統合、全文検索やデータ分析が可能。
3902 メディカル・データ・ビジョン 1部 161.1 17.54 50,098 医療機関、製薬向けに医療・医薬品データのネットワーク化と利活用の両サービスを提供。治験分野に診療データ活用による被験者紹介などで参入。
3733 ソフトウェア・サービス JQS 11.6 1.85 28,153 病院向けに情報伝達システム、電子カルテを開発。
3649 ファインデックス 1部 32.7 9.30 24,230 大学病院やクリニックなどの医療機関向けソリューションを提供。コンサル会社と合弁で医療・健康領域データ分析の子会社設立。
3937 AWSホールディングス マザーズ 37.1 7.17 7,960 医療関連ソフトを提供。18年3月期は医療ビッグデータの本格的な受注開始へ。
4323 日本システム技術 2部 14.7 1.21 7,408 東京大学と医療ビッグデータを活用した産学共同研究を開始。
3628 データホライゾン マザーズ 67.3 7.31 6,856 健康推進目的の保険事業支援「データヘルス」を提供。
4320 CEホールディングス 1部 29.8 1.03 3,881 医療機関向け電子カルテシステムの開発・販売及び医療情報システムの受託開発を手掛ける。
  • 2017年5月31日現在、時価総額順
  • 各社WEBサイト、各種報道、会社四季報、Astra Managerなどを基にカブドットコム証券作成
  • PER・PBRは連結優先




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藤井明代

藤井明代

auカブコム証券 投資情報室 投資アナリスト

東京都出身。大手ネット金融グループを経て、2013年10月よりauカブコム証券。
売買手法や相場解説などを初心者の方にも分かりやすく解説することに定評あり。株主優待にも詳しく、マルチスキルを持つメンバーとして人気上昇中。

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