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◆投資情報局長:山田 勉 [マーケットアナリスト]

山田 勉
準大手証券にてディーラー、マーケットメイカー、マーケットアナリストとして十数年活躍。2004年5月、カブドットコム証券入社。
1996年から2003年まで「かぶこーネット(株式投資向上委員会)」にて、株式四方山噺・業績修正・IPO関連情報などを発信するハンドルネーム「弁之助(委員長)」としても活動。『モーニングサテライト』『オープニングベル』(テレビ東京)、『マーケットウィナーズ』(BSジャパン)などに出演。
「お客さまの株式投資のナビゲータ役、コーチ役となれるよう尽力します。」(山田勉)

(1)2007年回顧と反省

2007年回顧と反省
上記は06年末を100としたときのNYダウ、日経平均、ドル/円の推移を示した物。サブプライム問題に揺れる度に東京株式市場は大幅下落に見舞われたが、「サブプライム問題→ドル安円高」からの円キャリー取引解消の方の影響が大きかった可能性がある。8月と11月の円高株安は痛烈だった。

【サブプライム問題によるショック安が3度】
【1】第一波(2月)
HSBCがサブプライム住宅ローンによる不良債権急増で100億ドルの引当を発表してより「サブプライム問題」が急浮上、焦げ付きが囁かれるようになったが、まだ市場は事の大きさに気付いてなかった。その商品性から当初の低金利が跳ね上がって払えなくなるケースが多発してきたため米国内で社会問題化、政府系住宅ローン会社のフレディマックが買取中止の計画を発表、2/27のNYダウは416ドル安と07年最大の下げ幅を記録。たまたまその直前に、上海総合株価指数が8.8%もの暴落となった為、「上海発世界同時株安」に見えた。その後、3月中は米国で住宅ローン会社の倒産が続出したが、4月にはNYダウは高値更新、7月には14000ドルの高値をマーク。大型M&Aの連発が相場を支えた。

【2】第二波(7-8月)
7月中から格付け会社が住宅ローン担保証券の格下げを検討に動き、サブプライムに絡んだ焦げ付き額の試算が活発になった。そんな中、証券大手ベアースターンズが傘下の2ファンドで大損。NYダウが14000ドルを付けた7/19、バーナンキFRB議長がサブプライムに絡んだ最大損失額を1000億ドル(12兆円)と試算を発表。住宅ローン各社や金融機関に信用不安の嵐、ヘッジファンドなどに損失観測、金融市場は一気にクレジットクランチ(信用収縮)に怯え始めた。8月に入るとサブプライム不安が更に増幅、8/9にBNPパリバが傘下の3ファンドを換金一時停止にすると、金融市場で流動性の危機が勃発。ECBは15兆円、FRBは4.5兆円の大量資金供給で「史上最大の作戦」に乗り出すことに。8/9に120円近かったドル/円が一段安、8/17には111円台まで急落。ファンド解約パニックや円キャリー取引解消に晒された東京市場は8/17日経平均874円安という7年4カ月ぶりの大幅安に見舞われた。その晩、緊急FOMCが開かれ公定歩合を0.5%引き下げへ。ここからFRBが金融政策を転換していくことになる。

【3】第三波(10-11月)
NY株はFRBの利下げ転換を先取りする格好でリカバリー開始、9/18FOMCでの0.5%利下げから10月上旬にはNYダウは14000ドル奪回から高値更新まであった。金融危機は収束するかに見えたが、10/19のブラックマンデー20周年を07年で3番目の下げ幅の366ドル安で通過すると、今度は金融危機やクレジットクランチが実体経済に悪影響を及ぼすことを懸念し始めた。リセッション(景気後退)懸念である。再び信用不安の地獄の釜を開けたのはメリルリンチで、10/24に45億ドルと見込んだサブプライム損が79億ドル(9000億円)まで拡大すると発表。既に決算発表が一巡して、一定程度の損失は織り込み済みだった市場だが、メリル方式で計算し直すという「もう一巡」を待たねばならなくなった。シティグループをはじめ各行が損失拡大の発表に追随、云わば損出し競争へ。合わせて中国高官のドル離れ示唆もあり、ドル/円は夏場の安値を割り込んで、107円台まで急落、合わせて日経平均も夏の安値を割り込み15000円割れまであった。米経済はリセッション懸念のみならず、原油高でスタグフレーション(景気後退下のインフレ)懸念まで。

(おさらい)
サブプライム住宅ローンとは:低所得者層向けの住宅ローン。通常の住宅ローンは「プライム(優遇)」で、それより信用度で劣るので「サブプライム」、リスキーな分金利は高い。ただ、30年ローンのうち初めの2年もしくは3年は低金利なのだが、金利改定期で格段に跳ね上がる。住宅価格が右肩上がりの時代は低利のローンに借り換えも出来たが、住宅価格が下落に転じて以降、金利が払えなくなって家を差し押さえられるケースが続出、社会問題化した。更にFRBは2003年の半ば以降の3年間で17回連続利上げをし、FFレートは1%→5.25%まで引き上げられたこともアゲンストだった。住宅ローン会社がかなり強引かつ無責任な融資を実行してきたとも非難されるし、一方で、ノンリコースローン(非遡及型融資)である為、払えなくなったら家を差し出せば完済され、借金は残らないことから、住宅価格が上がれば持ちにするが、下がればとっととデフォルト(債務不履行)する「仮需(投資向け住宅ニーズ)」を呼び込んだ可能性も高い。米国の住宅ローンの残高は約10兆ドル(1120兆円)、うちサブプライムローンは約13%程度(146兆円)。仮にOECD想定並に14%焦げ付いたら1820億ドル(20兆円)、その倍の3割が焦げ付くことになったら3900億ドル(44兆円)となる。決して小さな額ではないが、日本のバブル崩壊に伴う不良債権処理が「10年で100-130兆円」だったことからすると、何とかならなくもなさそうだが。

【サブプライム問題は巻き返しステージへ】
サブプライム問題は詰まるところアメリカの住宅バブルの崩壊であり、不良債権問題である。その不良債権が証券化と仕組み債という手法により「全世界のどこか」に「薄く、広く」拡散させてしまったことに収拾の難しさがある。ウォールストリート製の金融商品の安全性問題、金融工学の技術(格付けなども含む)がまたしても金融危機を引き起こしてしまった例として記憶される。バーナンキ議長の最大損失額試算は1000億ドルが1500億ドル(17兆円)に上方修正されたが、OECD(経済協力開発機構)の試算は3000億ドル(34兆円)。とはいえ、サンクスギビング明けから金融機関の自助努力(損出し&増資のセット)、FRBの利下げサポート&ほぼ無制限の資金供給、官民一体となったサブプライムローン借り手救済策(金利5年凍結)の三点セットで一気に巻き返し策に入っているのも事実。特に問題となった簿外のSIVを本体に連結し、損失を計上して、SWF(政府系ファンド)などから資金を注入してもらうスキームなども金融機関同士が競争的に進めており、かつての日本とは全然違うスピード感はさすが。とりわけSWFの存在感が際立ち、シティグループにアブダビ投資庁が75億ドル、UBSにシンガポールGICが110億フラン、モルガンスタンレーに中国投資CICが50億ドル、メリルリンチにシンガポール・テマセックが50億ドルと信用補完に強力な援軍。1月中旬〜2月の欧米銀行決算発表までにはかなり信用不安も後退してそうな雲行き。但し、サブプライム住宅ローンに続いて延滞率が上がっているのがクレジットカードローン(債権)。これもCDO(合成債務担保証券)として同様に組成されており、警戒は必要か。

【立ち尽くすニッポン】
【1】政治の大逆走:7.29参院選、与党大敗〜ねじれ国会〜安倍辞任〜福田内閣
1月東国原宮崎県知事誕生、年初から大臣の不祥事連発、安倍内閣への支持率は低下の一途だったが、2月に消えた年金記録5000万件問題急浮上から社保庁改革法案審議で内閣支持率急落。ナントカ還元水の松岡農相自殺、久間防衛相のしょうがない辞任、絆創膏の赤城農相も事務所費問題と安倍内閣の人事破綻、「年金・格差・政治とカネ」がクローズアップされる中、7.29参院選に突入、自民党は歴史的大敗を喫し、前例のない衆参ねじれ国会に。参院第一党に躍進した小沢民主党は「子供手当」「農家所得保障」「中小企業保護」「最低賃金引き上げ」「就労支援手当」「テロ特措法否定」など格差や嫉妬に付け込んだバラマキ政策を掲げて参院選に勝利し、「直近の民意」であらゆる場面に強弁したため、国政は事実上ストップ。サブプライム問題で市場が不安定な最中の9/12、テロ特措法延長に絶望した安倍首相が突如辞意表明、政治空白更には政局不安にまで。自民党総裁選は談合型に選出、9/26福田「背水の陣」内閣発足。自民党は森首相の頃に逆戻り、小泉首相時の「中二階組」「郵政造反組」復権。防衛省元次官の逮捕に揺れ、「道路の中期計画」で道路特定財源の一般財源化にNO、テロ特は失効(恥)、地方配慮の整備新幹線・地方交付税増、財務省予算原案はプライマリーバランス悪化、構造改革や成長路線はほぼ頓挫。成長よりも配分を急げば立ち往生するのは道理なのだが。

【2】規制強化、官僚統制:官製不況へラストストロー?
06年のヒューザー・ライブドア・村上ファンド事件、そしてグレーゾーン金利廃止から小泉政権の旗印だった「規制緩和」が安倍政権移行後に、完全に規制強化へ大きく舵を切ったように見える。改正貸金業法では貸出し上限金利の引き下げと過払い金返還で消費者金融業界に甚大な影響を与え、またパチンコ業界も苦境に。更に信販・クレジットカードなども「年収の三分の一まで」なる総量規制を前倒しで進めそうで、消費を一段と下押す懸念がある。次々販売対策で割賦販売法改正も取り沙汰される。ヒューザー事件の教訓から施行された改正建築基準法の影響でマンション着工などが急減、建設・不動産・住宅資材など関連業界は大混乱、建築不況も囁かれる。ライブドア・村上ファンド事件の教訓から施行された金融商品取引法だが、説明義務に過敏になり投信販売が急ブレーキ、ファンドなどの届出制も制約になりかねないと危惧される。この金融商品取引法に定められた「内部統制報告制度」が08年4月から適用されるJ-SOX法であるが、上場企業の財務報告のウソや誤りを排除することを目的としたものだが、コンプライアンス不況に繋がりかねないとの指摘がある。偽装や偽計に溢れて安心できない世の中とはいえ、失敗を断じて認めない土壌でビジネスが育つ物かは。これでは窮屈で経済が窒息してしまう。事業や起業マインドも萎縮して、リスクを取った者が馬鹿を見る(親方日の丸でリスクを取らない役人の天下)。一つ一つは確かに正義だが、全一斉にやると経済を押し潰す。部分最適は全体最適にならない、そんなことすら分からない、なのに統制経済に突き進む現下の状況はかなり危うい。官僚の「けしからん、やめさせろ」が経済を壊す。小泉規制緩和の反動としての霞ヶ関官僚の巻き返しだが、リーダーシップ無き国はかくも迷走するのかというところ。

【3】スティールパートナーズ抗告棄却
今年の相場を腰折れさせたのはサブプライム問題や円キャリーの巻き戻しだったと思うが、命運を分けた7月に重大な岐路があったと解釈する。それは「7.9東京高裁、スティールパートナーズ抗告棄却」と「7.29参院選」だ。前者は米投資ファンド・スティールパートナーズがブルドックソースにTOBをかけて争った一件。ブル社が買収防衛策として新株予約権の発行でスティール持ち分比率の引き下げを狙ったのに対し、スティール側はその差し止めを求めて仮処分命令の申し立てをした訳だが、6/27東京地裁、7/9東京高裁、8/7の最高裁でいずれも棄却された。いわば「ファンド夏の陣」はファンド側の完敗に。気に入らない株主にはお金を出してお引き取り頂く、ではかつての総会屋並の扱われ方では。高裁の「濫用的買収者」認定にも驚いたが、司法判断の「徹底した利益至上主義に慄然」「ひたすら自らの利益だけ追求する存在」では株式投資自体をも否定しかねない。誰が買っても良いのが株式で、勿論、株主に経営能力は必要もないはずだが。それにしても、長らく対日投資促進を掲げてきたのが、その実「経営権取得を目指さない」都合の良い外資ファンドだけだったとは。ルノー=日産の成功例を見て、もっと外資の経営ノウハウを吸収して日本経済の効率化強化を目指した筈だったが。世界は海外からの投資資金の取り込みを競っているのに、ただ日本だけがどうして鎖国するか。敵対的な買収防衛に過剰反応、既に400社が買収防衛策を導入、株式の相互持ち合いも強化の方向へ。十数年かけて解消してきたのに、また来た道を戻るのか。

【4】株式投資軽減税率(一部)廃止へ?
与党税制改正大綱は出たが「ねじれ国会」のため、どうなるかは不透明。与党案は「譲渡益で500万円、配当で100万円までは税率1割、超す部分は税率2割」の二階建てでややこしい。民主党案は「譲渡益は税率2割、配当は税率1割」でまだシンプル。どう着地しますか。ただ、株安でどうするのと云っている時に、平気で税率のUPを議論してしまう迂闊さ、センスの無さが致命的。「翌年から税率倍なら年内に売ろう」そういう投資判断を強いては、例えばBRICsオープンなど国際摩擦を生じかねない。税制はともかく、新年にもう一つの気懸かりは、09年1月の株券電子化に絡んで、証券会社の営業体が2002年後半に観られたような「タンス株売り」のような投資行動を誘引しないかどうかである。

(2)2008年の相場見通し

2008年の相場見通し
(解釈)
2006年、2007年の2年間は、結果的に「16200±2000円」というレンジ相場に留まった。米住宅バブル崩壊の発露である「サブプライム問題」、日米金利差が開きすぎた事による「円キャリー取引による仮需とその崩壊」ということもあるが、構造改革期待で「日本経済はより効率的に、より強くなる」を見越して買い進んだが、「どうもそうじゃなさそう」との思い直しからの足踏みでは、と考えるとかなりしっくり来る。とすると、今後のシナリオは大体三つに大別されよう。

【1】メインシナリオ(現状維持):可能性は7割くらいか
【2】ワーストシナリオ(下ブレ):可能性は2割くらいか
【3】ベストシナリオ(上ブレ):可能性は1割くらいか

【1】メインシナリオ
メインシナリオ
・ 前半に内外景気や株価の底割れがないことを確認することが大事
・ 米景気も07年10-12月もしくは08年1-3月を底に回復することを見極める
・ 世界景気は巡航軌道続行、新興国の株価は堅調展開か
・ 企業業績もサステイナブルな利益成長か

【2】ワーストシナリオ
ワーストシナリオ
・ 米信用不安が長引くのは、損出ししても損出ししても出尽くさないパターン。
・ モノライン保険(債券保証)の危機から他証券化商品にも飛び火。
・ サブプライムローンのみならず、クレジットカードローン債権などの不良債権化も進展。
・ 格付会社やCDO組成した投資銀行などへの責任問題で紛糾
・ 米国景気はリセッション入り。国内景気も世界景気も暗転へ。
・ この場合の株式投資はかなりツライものになる可能性が。
・ 弱いときには需給も懸念される。日銀保有株他「機構の売り」が心配に輪をかけることも

【3】ベストシナリオ
ベストシナリオ
・ 積極的な利下げが奏功して信用不安を封じ込めに成功
・ 原油は若干下げて安定、実体経済にフレンドリーな水準へ
・ 過剰流動性(カネ余り)が復活。世界的にリスクテイクが積極化
・ 日本株が「停滞の2年」を打ち破るにはそれなりのポジティブサプライズが必要。小泉政権並の強力で突破力のある安定政権が解散総選挙→政界再編後に樹立でもされ、もう一度シンプルに「成長」「構造改革」の旗を掲げられればベスト。

(3)株価のバリュエーション

日経平均週足とRER18-22倍 日経平均週足とRER18-22倍
・ 世界経済の成長が4-5%の間なら、外需企業主導の利益成長は可能
・ 外需の場合、特に貿易統計や自動車生産、工作機や建機の統計に着目
・ 内需は閉塞感より強まる。
・ 07年は東電などの下方修正によるイレギュラーで未達に終わった「日経平均のEPS1000円時代」、08年には達成可能だろう。

(4)2008年の注目テーマ

2008年の三大イベントとは「7月北海道洞爺湖サミット」「8月北京五輪」「11月の米大統領選挙」であろう。
【北海道洞爺湖サミット】=環境関連
2008年から京都議定書に定められた約束期間に入った。またポスト京都議定書を睨んで2007年末には「バリロードマップ」も採択され、今度は新興国や米国も含めた包括的な枠組みが組まれることになるだろう。地球温暖化阻止、CO2削減などがいわば唯一無二のイデオロギーのように広がるか。米国では新エネルギー法案が成立、「乗用車・小型トラックの燃費を2020年までに4割向上、リッター14.9kmまで引き上げへ。エタノール生産を2020年までに5倍化。白熱電球は段階的に撤廃」と。欧州では欧州委員会が新車のCO2排出量削減義務付け法案を提出、「1km走行当たりの平均CO2排出量を現在の160gから130gに削減することを定める。車種ごとにCO2排出量の上限を定め、自動車メーカーに2012年までの順守を求める」と。世界が競争的に「ちきゅうにやさしい」ルールを競い始めている。「不都合な真実」でノーベル平和賞を受賞したアル・ゴアだが、副大統領時は「スーパーハイウェイ構想」でネットバブルを誘引した経緯がある。現在、氏は有力ベンチャーキャピタルのクライナーパーキンスのパートナーに就任、環境系ベンチャービジネスを支援と。

・ 軽自動車、ハイブリッド、電気自動車、燃料電池車、クリーンディーゼル
・ 原発
・ 太陽電池(ソーラー)
・ 風水力発電
・ コージェネ(熱電供給):エコキュート、エコウィル
・ LED
・ 公害防止技術

【北京五輪】=中国、新興国
目覚しく成長する中国が名実共に世界の大国を宣言する北京五輪。国威発揚の場としての金メダルラッシュは、初めて米ソを越えるのではとも云われている。テーマは「同一個世界、同一個夢想」。中国的には高成長路線を邁進してきて、いよいよ都市型大衆消費社会が花開き、消費・趣味・レジャー・スポーツなどに目が向こう。

・ スポーツ用品
・ 旅客・旅行

【米大統領選挙】
4年に一度の米国の政治の祭典。とりわけ共和党のブッシュ政権2期の後、米国は栄光無き泥沼イラク戦争に辟易しており、「変化」を求めている。既に議会は上下両院において民主党が多数派なだけに、今回の大統領選は民主党が優位かと思われる。ヒラリー、オバマ、エドワーズの順に有力とされるが、どうか。民主党だと歴史的には対日で貿易摩擦などでギクシャクしがち、また、日本を飛ばして中国との関係緊密化を目指す可能性もあるだろう。民主党は経済政策に関しては国内の貧困層や弱者、中小企業を救済するために自由貿易主義を主張する共和党とはやや一線を画し、国内産業保護的立場を取る。環境問題や人権・福祉に関しても、共和党より積極的な政策を取るだろう。共和党が石油・製薬・軍需もしくは重厚長大オールドエコノミー産業などと近いとされたのに対し、民主党はIT・バイオベンチャー・環境関連などと近いと見られる。

(5)世界の株価

世界の株価

【デカップリング論の行方は?】
IMF世界成長率見通し(WEO)
  2007年 2008年
米国 1.9 1.9
ユーロ圏 2.5 2.1
日本 2.0 1.7
中国 11.5 10.0
インド 8.9 8.4
ロシア 7.0 6.5
国際経済での今年の流行語大賞は「サブプライム」と「デカップリング(decoupling)」であったと思う。デカップリングとは「切り離し」の意味で、世界経済の米国からの切り離しを差す。平たく云うと、米国経済が減速しても中国などの新興諸国や欧州・日本などが世界の経済成長を引っ張り、世界経済の拡大が継続するという説。「アメリカが咳をすれば、世界が風邪をひく」といわれた米国依存から脱却し、多極化安定化するというパラダイムシフトへの期待は根強い。2007年はサブプライムローン問題に端を発した金融危機で大揺れに揺れた世界経済だったが、2008年もやはりデカップリング論が試練に晒され続けることになるだろう。これに関しては特段の識見を持つものではないが、私は程度の問題と考えている。依然「消費大国」「世界経済の機関車」米国の存在感はズバ抜けており、急減速もしくはリセッション入りとなると、世界経済への悪影響は免れえまい。ただ、想定されるようなマイルドな減速であれば、世界経済は持ち堪え得ると。論争はエコノミストに任せれば良いが、我々は貿易統計や輸出産業の受注動向を注意して観ていく必要はあるだろう。

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